旅限無(りょげむ)

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不思議に暇な菅総理 其の壱

2011-08-02 16:10:16 | 政治
■米国の国債が暴落するのしないのと世界中は先進国の借金上積み競争に巻き込まれて右往左往しておりますが、専門家が解説に使う「消去法」による円買いというムチャクチャな話を聞く度に、今の菅アルイミ政権の延命とぴったり重なっているような印象を受けます。大震災が発する直前の3月初旬には既に命脈が付き掛けていた菅アルイミ政権でしたが、「国難だあ!」の一言で政局を語る者は国賊扱いされ、テレビを中心に「日本は一つだ」の大運動が起こり南北戦争に際してリンカーンが語った「急流を渡っている時に馬を換えるな」という歴史的な金言?が見事に悪用されて、我慢強い日本人は駄馬を承知で現政権に震災からの復旧復興と原発事故の対応を期待したのでした。

■間も無く震災から5箇月になろうと言うのに、菅アルイミ首相は日本中でただ一人、否、奥さんも加えると二人、妙に元気なのであります。しかも妙に暇そうに見えるのは実に不思議ですなあ。


菅直人首相は31日夜、民主党の江田五月法相、藤田一枝衆院議員ら菅グループのメンバーと首相公邸で懇談した。出席者によると、首相は、赤字国債発行に必要な特例公債法案について「成立しないと誰が首相になっても苦労する。(国会会期末の)8月31日までにできず9月にずれ込んでも、自分の段階でまとめたい」と述べ、今国会で成立しない場合の続投を明言した。…… 

■禍を転じて福と為すは言いますが、未曾有の国難を自分の延命に利用し尽くす所存のようであります。この「誰が首相になっても」に菅アルイミ首相の本音が透けて見えているような気がしてなりませぬ。野党ばかりでなく党内からも「辞めろ」コールが湧き起こっても、差し当たり次期総理として自分の背後に迫って来る者が居ない。それは次期総理に相応しい政治家の名を問うた世論調査の結果を見ても常にドングリの背比べなのですから、権力の妄執が見せる幻想とばかりも申せませんが……。


首相は6月2日の党代議士会で、東日本大震災の復興や福島第1原発事故の収束に「一定のめどが付けば若い人に責任を引き継ぎたい」と退陣を表明。同27日の記者会見で「一定のめど」の判断として、2011年度第2次補正予算、再生エネルギー特別措置法案、特例公債法案の成立の三つを挙げた。しかし、その一方で「私自身は辞めるという言葉を使ったことはない」などと、退陣時期を明確にしないため、自民党などは「3条件を満たしても辞める保証はない」と首相への不信感を募らせ、公債法案成立に応じる条件をつり上げていた。
3条件のうち、2次補正は既に成立。自然エネルギーで起こした電力を電力会社に買い取らせるエネルギー法案については、野党も基本的に評価しており、焦点は公債法案の行方となっている。首相としては残り会期が1カ月となり、同法案が成立しない場合の続投を明言することで、野党をけん制する狙いがあるとみられる。 
2011年8月1日(月) 時事通信 

■苦笑交じりに国民の口に膾炙(かいしゃ)した「一定のメド」よりも「責任を引き継ぐ」という言葉の意味の方が重要かも知れません。これを「辞意」と報道機関が一斉に解釈して発信したのですが、就任以来、一度も為政者の筆頭として「責任」を全うしたことがない矛盾だらけの思いつき・食い逃げ首相から「責任」を引き継げる筈もなく、「若い人」がクラッシャー小沢以外を意味するという穿った読み解き方をする人もいたようですが、「誰か適当な人に」では延命目的のウソが透けて見えてしまうし、「閣僚経験者」などの具体的な条件を付けたら政治記者は下馬評記事作りに熱中し始めて自分の影が一瞬で薄くなると考えた菅アルイミ首相が党内にごろごろしている若手一年生議員の同情を買って不信任案賛成の炎を消し止める切り札にしたのではなかったか?タチの悪い意味不明の辞意表明モドキを投げつけて、愚かな党員・議員にその謎解きをさせて時間を稼ぎ、その間に次の一手を考えれば辞任の時期はどんどん先に延ばせる、何とも恐ろしいバルカン政治家の計算力であります。菅アルイミ首相は大嫌いだけど与党議員の地位は大好き!もたもたしている間に閣僚になれちゃうかも?要するに選挙は怖いし大嫌いだ!という圧倒多数の党内世論が菅アルイミ首相を空中楼閣に安住させてくれているだけのことなのですが……。


菅直人首相が7月31日夜に江田五月法相ら民主党菅グループの議員と首相公邸で懇談した際、海江田万里経済産業相を厳しく批判していたことが1日、出席者の話で分かった。……海江田氏が7月21日の参院予算委員会に、「忍」の字を左手に書いて臨んだことが話題になり、首相は「経産省には腹に据えかねることがたくさんあり、海江田氏にも思うところがある。俺だってこらえている」と強調。「執務室に『忍』の字が飾ってある」と明かした。途中からは首相の伸子夫人も会話に参加。同29日の衆院経産委で、野党に即時辞任を迫られた海江田氏が涙を見せたことがやり玉に挙がり、伸子夫人は「泣くような人に大臣は任せられない」と断じると、首相に向かって「あなたが泣いたら別れるわよ」と冗談を飛ばしたという。
一方、首相は「自民党は解散させようとしてくるが、その思惑には乗らない」と、早期の衆院解散も改めて否定したという。 
2011年 8月1日(月) 時事通信 

■やはり、菅アルイミ首相は「解散しない」から民主党の代表で居られるのですなあ。経産相が国会の場で号泣するほど追い詰められているのを笑っている首相夫婦という図は何とも不気味なものがあります。そんな調子で被災地や避難所で苦労している皆さんの様子をテレビで見て下劣な冗談でも言い張っているのではありますまいな?!「泣くような人に大臣は任せられない」なら、自分の亭主が無能な総理大臣を続けていることをどう思っているのでしょう?大統領夫人でもないのに、日本のマスコミが無責任に「ファースト・レディ」などと持ち上げているから、勘違いも甚だしい首相夫人が続出するのかも知れませんが、今回の「ファースト・レディ」は旦那に負けず劣らず憲政史上最悪のようであります。是非、前代未聞の夫婦列席で記者会見を開いて貰いたいものです。


……東日本大震災直前に発覚した在日韓国人からの違法献金疑惑に続き、首相の資金管理団体が拉致事件容疑者の親族関連団体に多額の政治献金を行っていたことも発覚。さらに、閣内での調整もないまま思いつきで打ち出した「脱原発」宣言にも、あるイタリア人の影がちらつく…。6月29日夜、首相はすし店、焼き肉店とはしごし、3軒目にイタリア料理店へと向かった。そこで首相や伸子夫人とテーブルを囲んだのは、長年「反原発」を唱えてきた弁護士で、ジャーナリストの肩書も持つイタリア人、ピオ・デミリア氏だ。……首相とは20年来の家族ぐるみの付き合いだという。首相はデミリア氏が東日本大震災の被災地を回り書いた著書「放射能という津波」の母国での出版を祝おうと、わざわざ駆けつけたのだ。…… 

■一体、どんな胃袋をしているのかは存じませんが、食い道楽の一夜を過ごしていたこの6月29日という日は、「忍」の海江田万里経済産業相が午前中に定期検査で停止中の九州電力玄海原発2、3号機の再稼働に理解を求めるため佐賀県玄海町を訪問して岸本英雄町長らと会談していたのです。そして首相夫妻が飲み食いを始めた頃にはトラブル続きだった福島第1原発の放射性物質を含む汚染水の浄化システムが再び停止して現場は大騒ぎをしていたのです。普通の神経の持ち主なら「何も喉を通らない」はずなのですが……。


「首相には『日本も脱原発を決めたイタリアと同じく、原発の是非を国民投票でやりなさい』と言った」デミリア氏は首相との会合についてこう証言する。「その場では政治的な会話は何もなかった」とも語るが、首相はこの日以降、「脱原発」へとアクセルを踏み込んだ。デミリア氏はどんな人物か。かつて日本に住む外国人に義務付けられていた指紋の押捺を外国人記者として初めて拒否し、何度も日本への再入国の許可を取り消されたのは有名だ。 さらに、イタリアの極左テロ組織「赤い旅団」との関係も指摘されている。過激派「赤軍派」の元議長、塩見孝也氏によると、「本人から、『赤い旅団』メンバーの弁護をしたという趣旨の話を聞いた」という。これに関し、デミリア氏本人は真っ向から否定する。…… 

■北朝鮮に続いてイタリアの過激派ともコネクションがあるような人物がよくぞ日本の総理大臣にまで昇り詰めたものであります。菅直人という政治家について日本のマスコミは真面目に情報を集めて報道していたのでしょうか?鳩山サセテイタダク前政権の時代に自民党の安倍政権が動かし始めた憲法改正を含めた国民投票制度の設置案がほんの少し前進したものの、菅アルイミ内閣になったらそんな話は無かったことにされてしまった観がありましたが、たとえイタリアの過激派からの入れ知恵であろうと、国民投票制度を作って唯一の政治的業績として辞めるのも一つの手かも知れません。


首相の人脈には北朝鮮につながる「闇」も見え隠れする。首相や民主党側から、拉致事件で国際手配されている森順子容疑者とよど号ハイジャック犯の故田宮高麿元リーダーを両親に持つ長男が所属する政治団体の派生団体に、総額で2億円以上の献金が行われてきたことが判明した。「首相が多額の寄付をした団体の代表者は、マルクス・レーニン主義者であることを隠してはいない。思想的には極左だ。極左と民主党が切っても切れない関係にある」。自民党の礒崎陽輔氏は7月7日の参院予算委員会でこう迫っている。さらに首相には平成元年、北朝鮮の元工作員で拉致実行犯、辛光洙(シングァンス)容疑者の助命・釈放嘆願書に署名した過去もある。在日韓国系金融機関の元男性理事から計104万円の献金を受けていた問題では、東京地検に立件の可否を問われる事態になっている。公安関係者は「首相をはじめ反権力を掲げる市民運動家出身の政治家は極左関係者につけ入られやすい。思想的に偏った人物とばかり会っているのも疑問だ」と警鐘を鳴らす。首相と外国との不透明な関係は今後、さらに追及されそうだ。
2011年8月1日(月) 産経新聞 

■こんなに怪しい人脈なのに、アノ田中角栄元首相の人脈で大騒ぎしたマスコミが当時に比べれば何も追及していないも同然なのは何故でしょう?田中金脈は日本の政治を大きく歪めた金権政治の温床であったかも知れませんが、菅人脈は日本そのものを危うくする怪しい闇が巣食っているような気がしてなりません。もしかすると菅アルイミ首相にとってはレーニンもマルクスも金日成も、そして「革命」も学生運動も労働運動も女性解放運動も、すべては自分が総理大臣になるために利用した踏み台でしかなかったのかも知れないのですが……。

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