旅限無(りょげむ)

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不思議に暇な菅総理 其の弐

2011-08-02 16:10:50 | 政治
■さてさて、菅アルイミ首相夫妻が梯子酒ならぬ梯子メシを怪しいイタリア人と楽しんだ夜から1個月後の7月27日のお話であります。

衆議院厚生労働委員会は、東京電力福島第一原発の事故を受けて、放射線の健康への影響について専門家から参考人質疑を行い……参考人質疑には、放射線や食品安全、それに原子力などの専門家ら6人が出席しました。……東京大学先端科学技術研究センター教授の児玉龍彦氏は「放射線による障害を考えるときは放射線の総量を見るが、政府や東京電力からは今回の福島第一原発から出た放射線の総量がどれくらいであるかはっきりした報告がない。放射線は幼い子どもにとって非常に危険で、政府は子どもを守るために全力を尽くしてほしい」と述べました。
2011年7月27日 NHK 

■これはお上品なNHKの報道ですが、児玉教授の舌鋒は実に鋭く激しい「怒り」を爆発させていたのであります。既に「満身の怒り」の映像はユーチューブで20万回以上も再生されて現在も怒りを共有する人たちが増えている由。大震災以後、天皇陛下のお言葉を拝聴して以来、久々に心に響く真実の言葉を聞いた思いが致します。東京大学にも御用学者でないエライ先生が存在するのでありますなあ。児玉教授は一刻も早く「測定と除染」に全力を傾注せよ!という至極当然の仕事を政治に求めているのですが、菅アルイミ内閣には人間の耳と心を持っている人が居ない模様です。

■そして、児玉教授が「満身の怒り」で「政府は、一体、何をしているのですかあ!」と血涙を絞るように叫んだ翌日。政府が何をやっているのかがよく分かる象徴的な小さな出来事がありました。


国民新党の亀井静香代表が28日、郵政改革法案を審議入りさせない民主党に激怒して……「あんた、今日中に付託すると約束しただろ? 午後5時までにやらなかったら補佐官を辞任する」亀井氏は28日朝、菅首相に電話でこう通告した。慌てた菅首相は国民新党の自見庄三郎郵政改革担当相の目の前で、民主党の岡田克也幹事長に電話で審議入りを指示するパフォーマンスも演じたが、自民党の反発を懸念する岡田氏から色よい返事はなかった。
菅首相は同日午後、「5日の付託は責任を持つ。最後のお願いだ」と亀井氏に電話で懇願して事なきを得たが、亀井氏からは「1週間の執行猶予だ。約束を破ったら決定的な対決に入るぞ!」と再び脅される始末だった。
2011年7月29日 ZAKZAK 

■これほど卑屈な態度を取らねばならなくなったのも自分が先頭に立って参議院選挙でボロ負けして国会が捩れてしまったからであります。選挙後には菅アルイミ首相を含めて誰も責任を取らなかったのに、こんな時だけは「責任を持つ」のですなあ。やはり震災復興や原発事故の対応よりも政権維持が大事だということがよく分かります。菅アルイミ首相が美食家だと聞いたことはありませんが、総理大臣になったのだからと奥さんにオネダリされての食道楽にしても、そんな暢気なことをしていられるのも、毎晩、悪夢に魘(うな)されもせずぐっすり安眠できるのも唯一の仕事が政権維持と自分の延命だけだからかも?


民主党の安住淳国対委員長は2日午前、国会内で国民新党の下地幹郎国対委員長と会談し、自民党の反発で審議日程が決まっていない郵政改革法案について、衆院郵政改革特別委員会で審議入りすることを5日までに決める方針を伝えた。
2011年8月2日(火) 産経新聞 

■この対応の速さは電光石火と申せましょうなあ。こんな事だけは素早い菅アルイミ内閣であります。捩れた参議院で否決される可能性が高いのに、僅かな議席を借りたいばかりに他の重要法案より先に審議を進めざるを得ない民主党政権は、やはり参議院選挙に敗北した段階で実質的に終わっているのでしょうなあ。

■亀井代表から脅迫電話を受けて菅アルイミ首相が顔面蒼白になったのは28日で、その翌日に海江田経産相の号泣事件が起こるのであります。


20分以上問い詰められた末の涙でした。海江田経済産業大臣が耐え切れずに涙を流しました。「忍」の姿勢では今回は耐え切れなかったようです。
海江田経済産業大臣:「こらえてください、お願いします、頼みます」
自民党・赤沢亮正衆院議員:「私は国民のためにこらえられないです。総理がまさに条件を出して、それができるまでは辞めないと言うから、そのことで国民は皆、迷惑を被っているんです。同じ手法を海江田大臣が取られることないでしょ」
海江田経済産業大臣:「何度もお答えしてますが、(出処進退は)自分で決めさせて頂きます」
自民党・赤沢亮正衆院議員:「大臣は今、本当につらいのは理解しますけど、しかしながら、そういう精神状態で閣僚を務められて、この国の将来が本当に安心できるか国民は心配してるんですよ。この国が本当にどうなるんだと、そういう身に自分を置かないようにきちっとやって頂きたい」
再生可能エネルギー法案の審議をする委員会で、自民党議員からいつ大臣を辞めるのか、菅総理と同じじゃないかと20分以上も問い詰められ、海江田大臣は我慢ならなかったようです。しかし、「手のひらに『忍』の文字を書くぐらいなら、辞めてから発言すべき」と自民党の批判のボルテージは収まりそうにありません。
2011年7月29日 テレビ朝日 

■海江田経産相が号泣した理由は「菅総理と同じだ!」の一言だったという説があるようですが、確かに今の日本で「お前は菅総理とそっくりだな!」と言われて大喜びする人は居ないでしょうなあ。まあ、どんな口喧嘩であろうと国会以外でそんな事を言ったら、言った方も恥ずかしくなってしまいましょうが……。

■同じく7月29日に与党・民主党を含む超党派の拉致議連が、中井元大臣による北朝鮮高官との極秘会談や菅総理大臣の資金管理団体による巨額献金問題を追及する調査委員会の設置を決めたそうです。北朝鮮拉致事件の容疑者と深い関連がある怪しい団体に合計6250万円もの税金を横流ししたことが本当なら、正にフザケルナ!という話になりましょうし、小泉劇場を稚拙に模倣して平壌電撃訪問で国民をあっと言わせて支持率アップを狙うなど言語道断の暴挙ですからなあ。残念ながら強制捜査権は無いものの調査委員会には頑張って頂きたいものであります。

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