旅限無(りょげむ)

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麻生総理の健康と社会常識 其の弐

2008-11-27 16:37:27 | 政治
首相は19日に行われた全国知事会議で「医師には社会的な常識がかなり欠落している人が多い」と発言し、謝罪に追い込まれたばかり。
11月26日 読売新聞

■『週刊新潮』の最新号には「『常識欠けた医者が多い』は患者の常識」という刺激的な記事が掲載されております。医師免許を持っている人が揃って仁術を体現した名医になるとは限りませんし、誰でも知っている「藪医者」という言葉が存在するのですから、いろいろと問題がある医師は間違いなく存在します。それが麻生コロコロ首相がざっくりと「多い」という言い方をして良いかどうかは分かりませんが……。それに、この発言の前には自分が「病院を経営しているから言うのではないが」という、もしかしたら政治家としては不穏当な意味になるかも知れない一言が置かれていたはずです。麻生グループの系列病院にだけ「多い」のかも?あるいは九州福岡の選挙区に特に「多い」という意味かも知れません。

■麻生コロコロ首相は自分が急病にでもなったら何処の病院に駆け込むのでしょう?きっとそこには「社会的常識」がまったく欠けていない医者が群を成しているのでしょうから、マスコミの方には是非とも詳細な取材を願いたいものであります。


山梨県富士河口湖町の健康科学大などを運営する学校法人第一藍野学院(小山英夫理事長)で、2005年度に貸付金として計上された2億円が使途不明になっている……。文部科学省や大学関係者によると、法人は05年度の会計で2億円を関係先へ貸し付けたことになっていたが、06年度以降の会計に計上されず、使途不明状態になっている。9月に文科省から調査の指導を受け、法人は今月、弁護士や公認会計士ら9人による調査委員会を設置。貸付金の実態や資金の流れについて関係者から事情を聞く方針という。
11月27日 読売新聞

■「健康科学大学」という学校は、理学療法学科・福祉心理学科・作業療法学科という三つの学科を設けていて、卒業すると理学療法士・作業療法士・社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験の受験資格が得られるのだそうです。広い意味で医療に従事する人材を育成している学校ということになりますが、英語名が「HEALTH SCIENCE UNIVERSITY」というのは、なかなか思い切ったものを感じます。カリキュラムは4年で卒業するように組まれているようですから、4年制大学の分類に入るということなのでしょう。平成20年5月1日現在で1,081名の学生が学んでいるそうです。

■この学校を卒業して国家試験に合格した人達は各地の病院や福祉施設などで活躍しているのでしょうから、生徒の素質に問題があるという話ではありません。しかし、大学沿革を見ると明治時代に岩手県で裁縫塾を開いて以来、徐々に南下して関東に「事業」を展開してコンピュータ技術を経て医療分野にも進出!というユニークな歴史を重ねている様子から、経営者は相当のやり手のような印象を受けますなあ。消えてしまった2億円を追って行くと「創業者一族」だの「組織内企業」だの、定番のお手盛り融資の実態が出て来るような予感がします。

■某仏教系の私立大学は文科省から莫大な助成金を受け取りながらデリバティブの博打にカネを注ぎ込んで100億円を越える焦げ付きを出しているのに比べれば、2億円は微々たるものだと言えそうですが、医療関係者を育てる教育機関が「社会常識に欠ける」ような犯罪行為に手を染めては行けないでしょう。勿論、医学部を持っていない某私立大学の銭ゲバぶりも大学としての使命を忘れた恥ずかしい所業であるのは間違いありません。医者の次にはお坊さんの「社会常識」が問われるかも知れませんなあ。三遊亭円歌さんが、法華の修行で真冬に水垢離を取って倒れたネタを披露する時には「寺から病院に行ったのはオレだけだ。普通は病院から寺に行くもんだ」という名文句が飛び出します。どちらも「社会常識」がないと安心して病気にもなれないし往生も出来ませんなあ。

■麻生コロコロ首相の政治家としての見識が少しでも高くなるのを祈らねばなりませんし、解散絡みでストレスが溜まり倒れてしまわないかも心配です。病院からも教育機関からもカネが消えて行くのですから、「貧すれば鈍する」の諺通りに日本中から常識も人情も正義感も失われてしまわない内に、しっかりとした政策を打って欲しいものであります。
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