旅限無(りょげむ)

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不思議に暇な菅総理 其の参

2011-08-03 13:12:13 | 政治
■さて、そんな激動の1週間が過ぎまして、福島原発も収束は遠く地震と津波の被災地では苦しい生活が続いているというのに、7月30日の「首相動静」を覗いてみたら仰天してしまいましたぞ!

首相動静(7月30日)

午前8時現在、公邸。朝の来客なし。
午前中は来客なく、公邸で過ごす。
午後も来客なく、公邸で過ごす。
31日午前0時現在、公邸。来客なし。
時事通信 7月31日(日)0時3分配信 

■土曜日だからのんびり休日を過ごしたというだけの話で済むのか?打ち合わせや相談事をする相手も現われなかったのは、何か重大な事柄をじっくり一人沈思黙考するために面会謝絶にしていたのか、単に「原発解散」「暴発解散」の脅しが効き過ぎて数少ない側近たちも地元に帰って選挙の幻に怯えて必死の形相で再選のお願いをして歩いていたのか?それとも都内に残って仕事をしていた閣僚や議員は誰も菅アルイミ首相と相談する用件がまったく無かったのか?米国の国債が暴落するかも知れぬと急激な円高が進んでいたのに財務大臣とも会わず、チャイナでパクリ新幹線が大事故を起こしたのに国交省やJRの専門家とも会わず、勿論、放射性セシウム汚染の広がりが牛肉から米へと進み国民が不安の中で大騒ぎしているのですから農林省にも重要な用事が有る筈なのに、菅アルイミ首相は誰にも会わず何処にも出掛けない土曜日を過ごしていたのでした。

■またこの日には米国で、使用済み核燃料の処分のあり方を検討していた有識者委員会から受け入れ能力の高い「中間貯蔵施設」や「最終処分場」の建設をオバマ大統領に提言する中間報告というとても大事な発表があったのです。5月9日付けの毎日新聞が「核処分場:モンゴルに建設計画 日米、昨秋から交渉 原発ビジネス拡大狙い」というスクープ記事を掲載して、その後も7月に他紙が後追い記事を書いていたと思いますが、推進派は勿論のこと脱原発であろうと減原発であろうと、高レベル廃棄物の最終処分は必ず解決しなければならない大問題ですから、財務省の思惑に乗せられて東電と銀行と株主を増税で救済する支離滅裂な仕組みなど作っている暇があったら、「一定のメド」に最終処分を検討する専門組織作りでも入れたら如何なものでしょう?そんな事を考えていたら、翌日曜日は打って変わって菅アルイミ首相は忙しく動き出したのであります。


首相動静(7月31日)

午前10時現在、公邸。朝の来客なし。
午前11時26分、公邸発。
午後1時45分、長野県茅野市の諏訪東京理科大学着。同46分、理事室へ。
午後1時47分、福山哲郎官房副長官が入った。同49分、田坂広志内閣官房参与が加わった。同57分、全員出た。
午後2時22分、同室を出て、同24分、621教室へ。「みんなのエネルギー・環境会議」に出席し、あいさつ。
午後3時37分、同室を出て、同38分、理事室へ。同43分、同室を出て、同45分から同47分まで報道各社のインタビュー。「きょうのシンポジウムの感想を」に「非常に前向きで建設的な議論がなされていた」。同48分、同所発。
午後7時27分、公邸着。
午後7時30分から同9時50分まで、江田五月法相、民主党の津村啓介、藤田一枝両衆院議員ら。
1日午前0時現在、公邸。来客なし。
2011年8月1日(月) 時事通信 

■菅アルイミ首相は6月15日の夜、国会内で行われた「再生可能エネルギー促進法の早期制定を求める集会」に呼ばれもしないのに飛び入りして、かの有名な「国会には『カンの顔だけは見たくない』という人が結構いる。そういう人たちには『本当に見たくないのなら、早くこの法案を通した方がいい』と言おうと思いまーす」という暴言をジョークか猥談でも楽しむかのようなニヤニヤ顔で叫んだのでありました。それから1箇月半、今度は長野県茅野市に出掛けて何を言うのやら、と心配していましたら、嗚呼、やっぱり「薬害エイズ」の思い出話を持ち出して原発政策を論評したのでした。これが反原発運動をしている市民運動家や評論家などの口から出たのならば傾聴にも値しましょうが、総理大臣がこんな他人事みたいな話をしている場合なのでしょうか?菅アルイミ首相はそのままトンボ返りで東京の公邸に戻り、震災と原発事故に続いて豪雨に襲われて「避難は6箇所目」と肩を落としている被災者がいる福島県西部には足を向けなかったのでした。一体、何がそんなに忙しいのやら……。


菅直人首相は31日、長野県茅野市で開かれた原発や再生エネルギーに関する会議で、今後のエネルギー政策に関し「大きな方向性としては原子力に対する依存度を低減させる」と重ねて表明した。同時に短期、中期、長期の3段階でエネルギー政策を見直す政府方針に触れ「工程表をきちんとつくる」と強調した。経済産業省原子力安全・保安院のやらせ問題に関し「私が厚生相の時の薬害エイズの構造とそっくりで、根本的な問題だ」と指摘。「国民の安全を担当する厚生省が天下りをして、逆にメーカーの利益を尊重する薬務行政になっていた。安全性を国民の立場でチェックしなければならない保安院が、推進する側のお手伝いをしている」と批判した。
2011年7月31日 産経ニュース 

■原発事故が起こってから、日本の原発行政の闇が次々と暴かれまして、国民は少々食傷気味になっているくらいに膨大な情報が噴出しております。その中で「薬害エイズの構造とそっくり」な官・産・学・マスコミの共犯関係は3月末には日本中の人々が知っておりましたぞ。そんな話を被災地にも行かずに長野くんだりまで出掛けて披露して公邸を半日も留守にしてしまう総理大臣とは何なのでしょうなあ。もしも本気で「3段階でエネルギー政策」を策定するのなら任期はぐっと延びて来年夏まででも足りなくなりそうですが……。

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