■とうとう北京五輪の開催が1年後に迫ったのだそうで、テレビ画面からも熱気と祝祭気分を盛り上げようとする、矢鱈に真紅に塗り込められた暑苦しい事この上ない天安門の風景が放送されていましたなあ。いくら「行儀良くしろ!」などと言われても、冷房装置の無い北京市内の住宅に暮らす人達は、半裸姿になって少しでも風通しの良い物陰で涼むしか夏を過ごす手立てが有りません。そんな北京の暑気を無理やり思い出させる映像でありました。来年の今頃、本当に世界のアスリートがあの場所に集まって朝から晩まで、あの暑気の中で走り回るのでしょうか?テレビ放映の関係なのか政治的な理由なのかは知りませんが、欧州で勝手に作り上げたスケジュールを世界中に当て嵌めるのはイカガなものでしょう?たった1ヶ月でも開催日程を後ろに下げれば、随分と快適な環境を提供できるでしょうに!?
■1年前を祝う式典では、スーツ姿の人や民族衣装に身を包んで踊る群集の姿が見えましたなあ。無闇に頭が巨大な獅子舞を担当している人達はサウナ風呂の中で「ブート・キャンプ」をやらされているようなものですぞ。こんな所にも人命軽視、人権無視の風潮が透けて見えるような気もしますなあ。何万人も集めて歌って踊って花火を上げて、熱中症の犠牲者は一人も出なかったのでしょうか?テレビのニュース映像では、人間がゴマ粒にしか見えない遠景と、インタヴュー要員として準備されていたとしか思えない市民のアップ映像をつないで放送していましたなあ。あの大掛かりな式典を催すために、この暑い最中に一体、何日間の団体練習をやらされたのでしょう?通例では、参加する市民は昼夜逆転の生活を強いられます。日暮れ時から早暁まで、絶対に失敗しなくなるまで訓練が続いたはずですなあ。昼間は疲れ切って眠り、その日の夜に備えねばなりませんから、参加者の日常生活も仕事もメチャクチャになってしまいます。その流儀で大会本番を乗り切る計画が練られているはずですから、表沙汰にならない経済的・人的被害は莫大なものになるでしょう。
■北京市内の競技施設が開催日までに本当に完成するのか?という基本的な疑問も有るようですが、五輪開催に便乗した悪辣(あくらつ)な土地収用が加速して強制的にホームレスになってしまう家族がどんどん増えているという問題も有ります。犯罪に等しい地上げと追い出しは、バブル時代の東京などとは比較にならないほど情け容赦の無い物のようです。夜中に拉致されたり、食事中に建設機械が解体工事を始めてしまうなどという、被害者の証言が日本でも報道されています。日本のバブル時代に横行した嫌がらせや買収まがいの地上げは、最終的にはヤクザが請け負う構造になっていたわけですが、少なくとも日本の警察や裁判所は住民側に立って組織暴力と対決するのが建て前になっていますが、チャイナは両者の間に明確な区別が無い!というが問題なのでしょうなあ。
■違法な地上げを訴えると、被害者が逮捕されてしまうなどという、カフカの幻想文学みたいな事が現実に起こっているのですから、どれほどの不満が溜め込まれているのやら……。五輪大会を手放しで喜んでいる様子を海外のマスコミに見せてくれる人々には二種類有って、ヤラセ動員に応じている弱い立場の人達と、五輪景気で甘い汁を吸った連中です。汁を腹いっぱい吸った者と、工事現場で雫を舐めた程度の人までいろいろでしょうが……。物事には裏と表があるものですが、チャイナという場所はそれが露骨に表れる特色が有るようです。
2007年8月8日、2008年に夏季オリンピック大会を控える北京は今、市民の公衆道徳向上をめざし、さまざまな対策を打ち出しているが、どれも効果はいまひとつだという。北京市共産党委員会劉淇(リュウ・チー)書記は、「ハード面(建設分野)の環境整備は簡単だが、ソフト面(国民のモラル)の環境改善は困難」として、中国人の悪しき習慣を早急に改める必要性を強調。北京オリンピック組織委員会執行部の蒋孝愚副主席も「北京市民のモラル向上も含む、ソフト分野全般のサービス向上は、北京市にとって最大の挑戦」との見方を示している。
■どんな建設計画を進めているのかは知りませんが、昔の「大躍進」でも上役が喜び、自分の出世に都合の良い報告が提出されたばかりに、巨大なピラミッド型の権力構造を上に上って行く内に、奇跡か神憑りとしか思えない凄まじい数値が積みあがって行ったのです。北京五輪も、信じられない予算と信じられない少人数と信じられない短期間内で、すべての施設が完成しつつある、という報告が集まっているのではないでしょうな?!暢気なギリシア人は、アテネ大会直前まで土木工事をやっていて世界中の五輪ファンをやきもきさせましたが、あの大会では多くの既存施設をリニューアルして使用したので何とかなったようなものの、北京大会は市全体の風景をがらりと変えてしまうような大工事を続けているのですから、本当に間に合うのかどうか?
北京市民の非文明的行為について全国政協の資華ジュン委員は「新4害」と名づけた。それは、ゴミのポイ捨て、列の順番無視、どこでも喫煙しタンやつばを吐く、言葉遣いが悪い、の4行為。これ以外にも、不衛生な公衆トイレや熱狂的中国人サポーターによる暴動行為などが「国家の恥」となるとして、国民への教育の徹底が叫ばれている。はたして北京五輪までに間に合うのか?
8月8日 Record China
■改革開放時代に入ってから、少なくとも北京市内では人々の表情が温和になり、街角の怒鳴り合いや死角のゴミの山など、いろいろと改善が見られました。外資を大規模に導入してインフレ経済政策を進めたのですから、現金収入が急増した人々は殺伐とした生活から、一時的には脱出出来たのです。その後、猛烈な物価高騰が続き、とうとう株バブルと土地バブルの発生を見ているわけですから、以前に比べれば数段上の生活レベルを手に入れた上で、やっぱり人口過多と「安心・安全な」商品の不足でまたまた殺伐とした空気が生まれているようです。北京五輪を開催することで莫大な投資が行われたわけですが、富の分配を受ける階層は二つに分裂しているようです。地方から食うや食わずで工事現場に潜り込んだ人達と、強力なコネを持っている人達です。勿論、前者の分け前はちょっぴりで、後者にはバカみたいな役得が転がり込んでおります。
■1年前を祝う式典では、スーツ姿の人や民族衣装に身を包んで踊る群集の姿が見えましたなあ。無闇に頭が巨大な獅子舞を担当している人達はサウナ風呂の中で「ブート・キャンプ」をやらされているようなものですぞ。こんな所にも人命軽視、人権無視の風潮が透けて見えるような気もしますなあ。何万人も集めて歌って踊って花火を上げて、熱中症の犠牲者は一人も出なかったのでしょうか?テレビのニュース映像では、人間がゴマ粒にしか見えない遠景と、インタヴュー要員として準備されていたとしか思えない市民のアップ映像をつないで放送していましたなあ。あの大掛かりな式典を催すために、この暑い最中に一体、何日間の団体練習をやらされたのでしょう?通例では、参加する市民は昼夜逆転の生活を強いられます。日暮れ時から早暁まで、絶対に失敗しなくなるまで訓練が続いたはずですなあ。昼間は疲れ切って眠り、その日の夜に備えねばなりませんから、参加者の日常生活も仕事もメチャクチャになってしまいます。その流儀で大会本番を乗り切る計画が練られているはずですから、表沙汰にならない経済的・人的被害は莫大なものになるでしょう。
■北京市内の競技施設が開催日までに本当に完成するのか?という基本的な疑問も有るようですが、五輪開催に便乗した悪辣(あくらつ)な土地収用が加速して強制的にホームレスになってしまう家族がどんどん増えているという問題も有ります。犯罪に等しい地上げと追い出しは、バブル時代の東京などとは比較にならないほど情け容赦の無い物のようです。夜中に拉致されたり、食事中に建設機械が解体工事を始めてしまうなどという、被害者の証言が日本でも報道されています。日本のバブル時代に横行した嫌がらせや買収まがいの地上げは、最終的にはヤクザが請け負う構造になっていたわけですが、少なくとも日本の警察や裁判所は住民側に立って組織暴力と対決するのが建て前になっていますが、チャイナは両者の間に明確な区別が無い!というが問題なのでしょうなあ。
■違法な地上げを訴えると、被害者が逮捕されてしまうなどという、カフカの幻想文学みたいな事が現実に起こっているのですから、どれほどの不満が溜め込まれているのやら……。五輪大会を手放しで喜んでいる様子を海外のマスコミに見せてくれる人々には二種類有って、ヤラセ動員に応じている弱い立場の人達と、五輪景気で甘い汁を吸った連中です。汁を腹いっぱい吸った者と、工事現場で雫を舐めた程度の人までいろいろでしょうが……。物事には裏と表があるものですが、チャイナという場所はそれが露骨に表れる特色が有るようです。
2007年8月8日、2008年に夏季オリンピック大会を控える北京は今、市民の公衆道徳向上をめざし、さまざまな対策を打ち出しているが、どれも効果はいまひとつだという。北京市共産党委員会劉淇(リュウ・チー)書記は、「ハード面(建設分野)の環境整備は簡単だが、ソフト面(国民のモラル)の環境改善は困難」として、中国人の悪しき習慣を早急に改める必要性を強調。北京オリンピック組織委員会執行部の蒋孝愚副主席も「北京市民のモラル向上も含む、ソフト分野全般のサービス向上は、北京市にとって最大の挑戦」との見方を示している。
■どんな建設計画を進めているのかは知りませんが、昔の「大躍進」でも上役が喜び、自分の出世に都合の良い報告が提出されたばかりに、巨大なピラミッド型の権力構造を上に上って行く内に、奇跡か神憑りとしか思えない凄まじい数値が積みあがって行ったのです。北京五輪も、信じられない予算と信じられない少人数と信じられない短期間内で、すべての施設が完成しつつある、という報告が集まっているのではないでしょうな?!暢気なギリシア人は、アテネ大会直前まで土木工事をやっていて世界中の五輪ファンをやきもきさせましたが、あの大会では多くの既存施設をリニューアルして使用したので何とかなったようなものの、北京大会は市全体の風景をがらりと変えてしまうような大工事を続けているのですから、本当に間に合うのかどうか?
北京市民の非文明的行為について全国政協の資華ジュン委員は「新4害」と名づけた。それは、ゴミのポイ捨て、列の順番無視、どこでも喫煙しタンやつばを吐く、言葉遣いが悪い、の4行為。これ以外にも、不衛生な公衆トイレや熱狂的中国人サポーターによる暴動行為などが「国家の恥」となるとして、国民への教育の徹底が叫ばれている。はたして北京五輪までに間に合うのか?
8月8日 Record China
■改革開放時代に入ってから、少なくとも北京市内では人々の表情が温和になり、街角の怒鳴り合いや死角のゴミの山など、いろいろと改善が見られました。外資を大規模に導入してインフレ経済政策を進めたのですから、現金収入が急増した人々は殺伐とした生活から、一時的には脱出出来たのです。その後、猛烈な物価高騰が続き、とうとう株バブルと土地バブルの発生を見ているわけですから、以前に比べれば数段上の生活レベルを手に入れた上で、やっぱり人口過多と「安心・安全な」商品の不足でまたまた殺伐とした空気が生まれているようです。北京五輪を開催することで莫大な投資が行われたわけですが、富の分配を受ける階層は二つに分裂しているようです。地方から食うや食わずで工事現場に潜り込んだ人達と、強力なコネを持っている人達です。勿論、前者の分け前はちょっぴりで、後者にはバカみたいな役得が転がり込んでおります。
大会まで色々なことが起こり、色々なことが隠されそうですね。注意してみておかないといけないと思います。