旅限無(りょげむ)

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不思議に暇な菅総理 其の四

2011-08-03 13:24:41 | 政治
■「原発に凄く詳しい」菅アルイミ首相は外交、特に日米関係に関してはまったく何も御存じないらしいので次のニュースを聞いても、「へえ」と他人事みたいに無視してしまったのでしょうなあ。これは菅アルイミ首相が長野県で愚にもつかない話をした翌日の7月31日に報道されたものです。

日米両政府は、昨年の日米安保条約改定50周年を機に策定することで合意していた新たな「日米共同宣言」のとりまとめを断念する方向となった。……日本の政局混迷によって9月上旬の菅首相訪米が中止となることが濃厚なうえ、米側が重視する環太平洋経済連携協定(TPP)への参加について日本側が検討を先送りし、経済分野での連携強化を打ち出しにくくなったことなどが理由だ。新宣言は、日米同盟のさらなる強化の象徴となるはずだったが、日本側の政治の機能不全によって、ついに白紙に戻る事態となった。…… 

■原発を止めて全国で1万人以上もの節電熱中症患者を出しても見舞いの言葉もなく、生産現場は電力不足に加えて急激な円高に悲鳴を上げているというのに世界規模の経済対策会議の開催を呼び掛けるでもなく、勿論、沖縄の基地問題を解決する気などさらさらない菅アルイミ首相は現地に一度も足を運びませんし、米国には行きたくても行けない孤独な役立たず総理の生活が続いております。


新たな共同宣言の策定は、昨年11月、横浜でアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれた際に菅首相とオバマ大統領が会談して合意した。〈1〉安全保障〈2〉経済〈3〉文化・人的交流――の3分野について、同盟の次の50年の基本方針を示す文書を作るとし、両政府当局者は、9月上旬の菅首相の訪米時に両首脳が発表する段取りを描いていた。
2011年8月1日(月) 読売新聞 

■3分野のどれ一つを取っても菅アルイミ首相が「凄く詳しい」と啖呵を切れるものはなさそうです。こんなに大事な「基本方針」を作れない無能・無力な総理大臣が、まだ居座って何をしようというのでしょう。いつ仮免許を卒業して本免許になったのかは存じませんが、仮免総理が任命した死刑制度を「勉強中」と平然と言ってのける随分と老けた学生みたいな法務大臣を任命した責任を問う声さえ出て来ない国会という場所も変なのですが……。「基本合意」が作れなければ(1)安全保障では東シナ海の緊張、(2)経済では為替問題と財政問題、そして貿易制度がまったく停滞して身動き出来なくなってしまうでしょう。これも役人を「オオバカ」呼ばわりして身の程知らずの「政治主導」で無邪気にはしゃいだ無能な総理大臣に対する官僚群が仕掛けたサボタージュだとしたら、エライことであります。


中国国家海洋局は30日までに、福島県沖の海水から中国近海の300倍を超える放射性物質セシウム137を検出したと発表した。ストロンチウム90は10倍を超えたほか、セシウム134も検出。「福島県の東から東南方向の西太平洋は明らかに原発事故の影響を受けている」としている。
 同局は福島第1原発事故の海洋への放射能汚染状況を調査するため、6月16日から7月4日まで海洋観測船を派遣。大気と海水、海洋生物のデータやサンプルを採取した。中国が観測結果を公表するのは初めて。同海域の大気には異常はなかったという。 
2011年7月31日(日) 時事通信 

■こうした隣国の厚い友情は有り難くて涙が出そう……などという事は金輪際ありません。どうしてこんなデータを他国から出して貰わねばならないのでしょう?民主党は「情報開示」を金看板にしていたのに原発事故以来、稚拙で強引な情報の隠蔽と操作ばかり繰り返しております。親切ごかして世界中に風評を広げて日本の漁業を壊滅させてしまおうと誰かさんが画策しているのかも知れませんぞ!


31日午前7時25分ごろ、沖縄県・尖閣諸島の魚釣島から北北西約61キロで、中国の海洋調査船「北斗」が航行しているのを海上保安庁の航空機が確認した。海保は日本の排他的経済水域(EEZ)で同意のない海洋調査は認められないと警告。調査船は応答しないまま、午後4時30分ごろにEEZを出た。尖閣諸島周辺では、中国の漁業監視船が30日に魚釣島沖の日本の接続水域を一時航行したが、海洋調査船が確認されたのは今年初めて。
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、北斗は船尾からワイヤのようなもの4本を引きながら航行。11管は同船が海洋資源を調査したとみている。中国の海洋調査船が尖閣諸島沖で確認されたのは昨年3月で、1隻が久場島の北北西沖の日本のEEZを航行していた。
2011年7月31日(日) 時事通信 

■「魚釣島から北北西約61キロ」で放射性物質の調査をしていた筈もなく、菅アルイミ内閣の「柳腰外交」に付けこんで我が物顔で領海を侵して柳腰の限界まで捻じ曲げてみようと試しているとも思えますが、またしても菅アルイミ内閣は最前線の海上保安庁に責任を丸投げして知らん振り!ますます長野県に出掛けてヨタ話をして貴重な1日を潰してしまった31日が惜しまれますなあ。


今月26日に行われた日中防衛次官級協議で、中国人民解放軍の馬暁天副総参謀長が、南西諸島への陸上自衛隊配備計画や、海上自衛隊による東シナ海での警戒・監視活動の強化方針を問題視し、「日本は危険な方向に向かっている」と批判していたことが分かった。これに対し、中江公人防衛次官は、「陸自の配備は日本防衛の空白地域をなくす意味がある。特定の国を想定していない」と説明した。また、「専守防衛という日本の防衛政策の基本方針に変わりはない」と反論した。複数の政府関係者が30日、明らかにした。…… 

■終日訪ねて来る者もなく一人寂しく公邸に佇んでいた菅アルイミ首相にも、この情報は届いているに違いありません。「柳腰外交」を訂正するわけにも行きませんから、防衛関係の専門家を呼ぶ気もなかったのでしょうか?


会談は、防衛省で約4時間行われた。この中で、馬氏は、陸自配備は中国をけん制するものだとの認識を示した。日本が新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)や、先月の日米共同声明で、東シナ海や南シナ海で海洋活動を活発化させている中国を念頭に、「脅威」や「懸念」を表明している点についても、「我々には何ら懸念されるようなことはない。南シナ海問題は(中国と周辺国との)2国間の話であり、米国は関係ない」と主張した。
中江氏は、馬氏に対し、中国の軍事活動の透明性向上に向けた一層の取り組みを求めた。
2011年7月31日(日) 読売新聞 

■「懸念」するかしないかは日本が決めることで、自ら「心配するな!」と決め付けるのはチャイナの流儀なのでしょう。それでも「アメリカを呼び寄せないでね」と弱音とも本音とも取れる主張ではあります。こんな事を言われるのも新しい日米関係の「基本方針」が作れないほど日本外交が衰弱しているからなのでしょうなあ。菅アルイミ内閣が誕生してから、日本の海や島は日に日に危うくなっております。それだけでも政権返上する十分な理由になると思うのですが……。民主党が開けた外交の大きな穴の数々を、仮に政権再交代があったのしても新政権が埋め戻すのは大変な作業になりそうです。嗚呼

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