旅限無(りょげむ)

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捨石ごろごろ民主党 其の参

2011-12-06 15:18:07 | 政治
■瓢箪から駒が転がり出して政権与党になってしまった寄り合い所帯の民主党にとって権力の美酒はこの上も無く美味い酒であるようで、燗酒好きの野田ドジョウ首相は同じ趣味の一川シビリアン防衛相といつまでも一緒に飲み続けていたいらしく恥も外聞も無い国会答弁を繰り返している由。権力という美酒は相当にアルコール度数が高いらしく歴代民主党代表は揃いも揃って皆が酩酊状態になってマニフェストのことなどすっかり忘れて深酒を重ねているようにも見えます。総選挙でたっぷりと冷水を浴びせられれば酔いも醒めましょうが、その後の二日酔いはずっと続くのかも知れませんぞ。政権交代というのは実に悪い酒であります。

一川防衛相は衆院議員を3期務めた後、2007年の参院選石川選挙区で当選し、民主党参院政審会長などを歴任した。農水省出身の農政通として知られる。野田政権で初入閣し、9月2日には防衛相就任について、記者団に「安全保障に関しては素人だ」と発言し、波紋を呼んだ。周囲からは、「思ったことを正直に口に出してしまう性格」とされている。
昨年4月には、地元の石川県小松市で開かれた会合で党支持者の批判に「別に民主党を支援してもらわなくてもいい」と応じるなど、地元では、「舌禍」を不安視する向きもあった。
自民党の森元首相は衆院石川2区で何度も戦ったライバルだ。民主党の小沢一郎元代表が率いた新進、自由両党を経て、民主・自由両党の合併で民主党に所属した。民主党内では小沢グループに所属している。
2011年12月4日(日)11時3分 讀賣新聞 

■衆議院で3期当選したものの、選挙区の石川2区では森喜朗に連敗で重複立候補していた比例北陸信越ブロックで復活当選し続けたいわゆるゾンビ議員だった割には偉そうな態度が目立つのは世襲議員3代目という出自と25年間奉職した農林水産省で染み付いた官僚臭が原因なのか?クラッシャー小沢の脱党・新党・解党・新党騒動には「付いて行きます下駄の雪」となって寄り合い所帯の民主党に流れ着いたものの2005年(平成17年)の第44回衆議院議員総選挙では地元石川2区でやっぱり森元首相にに敗れ、この時ばかりは比例復活もできなかったようですから支持層に偏りがあるのかも知れませんなあ。仄聞しますに組閣人事の参議院枠を握る輿石参議院会長の強力な後押しで初入閣を果たした一川シビリアン防衛相は、どれほど怨嗟の声が上がっても輿石・小沢ラインという虎の尾を踏みたくない野田ドジョウ首相の臆病風に救われて首の皮一枚残して閣僚に留まっているそうであります。

■つまり小沢グループ内での古参顔と参議院議員の身分があればこその初入閣だったわけでありますが、既に反自民政権の風が吹き始めていた2007年(平成19年)の第21回参議院選挙に鞍替え出馬して自民党候補に約4千票の僅差で競り勝つという辛勝ぶりを知れば、民主党石川県連が別の候補者の擁立に失敗したことでお鉢が回って来て、政権交代の風に乗って当選した農政通の議員を選りに選って難問山積の防衛大臣に任命してしまう誰かさんの責任は重大ですぞ。輿石参議院会長の下で政策審議会長を務めていた頃に気に入られ、長年苦労を共にした友達の少ないクラッシャー小沢の援護射撃もあっての入閣となれば国民不在・政策不在は明らかでありましょう。取り返しのつかない大失敗をする前に舌禍事件が機に身を引いて貰うことが国益に叶う選択と申せましょうなあ。党内の論功行賞で短い間であっても大臣を経験したことを個人的な大事な思い出として石川県にお帰りになって余生を過ごすのが最善でしょう。何の仕事もしなかったけれど、取り敢えずはお疲れさまでした。

■一川・山岡に始まる問責決議の連発から野党は審議拒否に走り、財務省直伝の増税法案が宙吊りになる危険性が高まりそうですから、間も無く鬼より怖い財務省から陰湿な攻撃が始まって野田ドジョウ内閣は血達磨・火達磨になって国会内を転げまわりながら数々の国民負担を置き土産に文字通り黒焦げになった「捨石」となるのかも知れません。焼け焦げたドジョウなど誰も食べませんが……。


民主党の小沢一郎元代表は1日夜、都内で開かれた同党衆院議員のパーティーであいさつし、野田佳彦首相が目指す消費増税について「政権交代の原点に返り、国民の信頼に応えないといけない。国民を無視してばかにすると必ず大きな鉄ついが下されると心配している」とけん制した。小沢氏はこの後、自らを支持する中堅・若手議員の会合に出席。同席者によると、同氏は「来年は衆院選になる可能性は十分ある」との見方を示した上で、「選挙に出撃した人のほとんどは帰ってこられない。自分は特攻していく兵士を見送る指揮官にはなりたくない」と述べた。 
2011年12月1日(木)20時41分 時事通信  

■。


民主党の小沢一郎元代表は30日夜、側近の三井辨雄政調会長代理らと都内で会談し、野田佳彦首相が意欲を示す消費税増税について「いま消費税率を上げれば党が二つに割れる。政調としてどうするか、よく考えてほしい」と懸念を表明。「このまま衆院解散になれば戻ってくるのは50人ぐらいだ」とも述べた。
2011年12月1日(木)0時48分 産経新聞 

■この「(当選して)戻って来るのは50人ぐらい」との予測を聞いた時には「そんなに多く戻れるのかいなあ?」と思ったり、クラッシャー小沢の子飼いの議員に対する温情を感じたりしたものであります。歴代の党代表3人は立候補すれば必ず落選するような気がしますし、閣僚経験者も軒並み落選するのではないでしょうか?それも民主党らしいと言えなくもないのですが、一枚看板の「政権交代」を担ぎ回って政見も政策もまったく違う政治家が寄り集まって雪ダルマ式に出来上がった政党ですから、次の選挙では「政権交代」の看板は使えず、ウソ八百を書き並べた『マニフェスト』が一夜にして重い借金証文に変じて政策転換の説明をあちこちで求められるでしょうし、うっかり夢よ再びと甘い気分で選挙に立候補したら「嘘吐き」「ペテン師」呼ばわりは覚悟せねばなりますまい。怖くて近づけない沖縄はもとより、橋下維新旋風が吹き荒れる近畿地区で掻き集めた議席を守るのは至難の業でありましょう。温情溢れるクラッシャー小沢の皮算用が的中したら250以上もの「捨石」が日本全国あちこちに転がることになりますなあ。

■そうなる前に一度は大臣になって位人臣を極めた気分を是非とも味わいたい!と身の程知らずの夢を見ている人もいれば、一度座った大臣の椅子の座り心地の良さに正気を失ってしがみついて離れない人もおりましょう。玉川カルテットの名調子に「カネも要らなきゃ女も要らぬぅ~あたしゃも少し背が欲しい~」というのがありますが、「カネは要らないから大臣を続けさせてくれ!」という風潮があるようです。


一川保夫防衛相は2日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に絡む田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言に対する自らの監督責任について、給与の自主返納を含めた対応を検討していることを明らかにした。田中氏の処分とあわせて判断する。……1日の参院東日本大震災復興特別委員会で平成7年の米海兵隊員らによる少女暴行事件を「正確な中身を詳細には知ってはいない」と答弁したことについて「知ってはいたが、委員会の場で詳細に説明する事案と異なる」と弁明した。……
2011年12月2日(金)11時37分 産経新聞 

■世界一危険な普天間飛行場が恒常化するという恐ろしい可能性がシビリアン防衛相の「給与の自主返納」で消え去るのか?!他に言うことが無いから仕方なく一般的な責任の取り方を思いついたのかも知れませんが、どこまでも事態の深刻さが分かっていない大臣のようであります。大男3人が中学生を強姦したという凶悪犯罪について、「詳細は知らない」と答えた時の顔は決して「委員会の場で説明すべきことではない」などという高尚な政治的判断をしているようには見えませんでした。「こちらの方が大事だ」とブータン国王夫妻歓迎の晩餐会を欠席して駆けつけた同僚議員の集金パーティに関して国会で追求された時、謝罪する相手の名前を知っているのか?と問い詰められると間髪入れずに後ろに控えていた役人からメモを回してもらった一川シビリアン防衛相のことですから、平成7年の事件に関して本当に「詳細は知らない」まま大臣の椅子に座っていたのであったとしか思えません。「知らない」と言った時の照れ笑いのような締まらない表情も実に不快でありました。

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