旅限無(りょげむ)

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昔の誼(よしみ) 其の参

2008-10-21 21:57:24 | 外交・世界情勢全般
■冷戦が終わった!と世界中が大喜びしたのはブッシュ父とゴルバチョフとが地中海のマルタ島に軍艦を乗り付けて1989年の12月に会談した時でした。同じ月にはルーマニアでチャウチェスク大統領夫妻が処刑され、チェコスロバキアとポーランドがあっと言う間に民主化され、東側陣営の親分だったソビエト連邦も2年後に崩壊したのでしたなあ。プーチンのロシアが台頭して来たのはブッシュ息子大統領1人の責任ではないでしょうが、いくらでも拡大解釈の出来る「対テロ戦争」という実に便利な錦の御旗をロシアにもチャイナにも手渡したのは大間違いでした。日本も尋常して「対テロ戦争用原爆」の開発を認めさせたら良かったかも?9.11同時多発テロからイラク戦争までの間だったら、混乱していたブッシュ政権がうっかり承認してしまったかも知れませんぞ。

■改選前の米国大統領が死に体になるのは毎度のことですが、今の現職大統領はそれだけではなく、2期8年の間に失敗ばかりしていたので誰も寄って来ないようです。たまたま世界的な金融危機の震源地になりましたから、何かと発言が注目されたり緊急会議の会場になったりしますが、ブッシュ政権と手を携えて頑張ろう!と言ってくれる国は無いようです。何せ米国追従しか能が無い日本でさえも次の大統領に興味が移ってしまっているくらいですからなあ。それに引き換えロシア詣での賑やかさは、閑古鳥が鳴いているホワイトハウスとは見事な対照を成しております。石油価格が急落したら、ロシアには安くで丈夫な武器しか輸出製品は有りませんから、これから何事かに備えようと思っている貧しい国々はロシアの上客になるのでしょうなあ。

■その点、米国製の武器は世界最高の性能を誇ってみても高くて買えない代物が多くなっているようですし、最新鋭の戦闘機「F22」などは最新技術と機密の塊になっているので日本にさえも売りたくない!などという変な事になっています。1機100億円を軽く越えるというのに輸出も出来ないようではコスト削減は無理でしょう。まあ、機密がぼろぼろと漏れて行く日本のような間抜けな同盟国でなければ、相応の値段で商談に応じてくれるのでしょうが……。


米国防総省は3日、台湾に対する総額64億6300万ドル(約6800億円)の武器売却を明らかにした。台湾への防衛目的の武器供給を定めた台湾関係法に基づく決定で、5月に発足した台湾の馬英九政権には大きな支援となる。売却が決まった武器は、弾道ミサイルの迎撃能力を持つ地対空ミサイル「パトリオット」(PAC3)330発……対戦車ヘリ「アパッチ」30機、対艦ミサイル「ハプーン」32発など……。米台間で協議対象となっていた通常型潜水艦は米政府の内部審査を理由に見送られた。台湾側で要請の強い改良型のF16戦闘機売却には米側が正式協議に応じておらず、今回は台湾空軍の保有する現有機への部品供給にとどまった。……台湾の袁健生駐米代表(駐米大使)は……増強が進む中国の弾道ミサイルへの迎撃能力や、台湾に侵攻する上陸部隊を水際で阻止するための装備について、強化の必要を指摘していた。
2008年10月4日 産経ニュース

■備えだけはしっかりしておかないと、防衛は「後悔先に立たず」では済まない重大な事ですから、相手の出方を徹底的に研究してそれに対応する方法と道具を用意しておかねばなりません。日本の防衛力は人員不足という難問を抱えたまま、陸・海・空の統制とバランスに大きな問題があるとの指摘があるのに、何処で何をすれば国益を守れるのか、はなはだ心細くなるような現状のままだと言われていますなあ。次に核兵器が使われる危険性が高い場所は、ペルシア湾岸や印パ国境ばかりでなく、台湾海峡や日本海もふくまれているわけで、それだからこそ台湾同様に、バカ高いPAC3を日本もせっせと買い揃えているのでしょう。三段構えで敵国のミサイルを撃墜しても、核物質が搭載されていたら日本の何処かに破片と共に中身が降り注ぐことになるのですが、国会では「想定外」の悪夢として考えないようにしているようですなあ。

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