旅限無(りょげむ)

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やっと辞めます菅総理 其の参

2011-08-15 15:43:40 | 政治
■気まぐれ場当たり的な発言が多く、実りがほとんどない不思議な1年2箇月。そう言えば2011年1月5日午前に開かれた年明け初の閣議で、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題を念頭に、「国を開き、『平成の開国』を断固やる!」と言い出し、同月30日には呼ばれてもいない?ダボス会議に割り込んで「開国」を10回以上も繰り返してTPP参加を世界中に発信して参加するかどうか6月をメドに結論を出すと約束して来たのでした。大震災と原発事故が起こる前から党内から反対意見が出て玩具に飽きた子供のように「平成の開国」も「農業再生と開国の両立」も語らなくなったのでありました。『マニフェスト』に謳った個別所得補償制度とTPPとの関係もウヤムヤになって内政・外交ともに信頼を失って文字通りの政策漂流が続いております。

■「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の3点セットもいつの間にやら何処に仕舞い込んでしまったらしく、「最小不幸社会」の実現と一緒に消えてしまったようです。首相に就任する前には「自由主義と社会民主主義を統合・融合した第三の道」とかいう遠大な構想らしきものも話していたようですが、2回も改造した内閣から「第三の道」への入り口は見付からなかったようです。脱厳罰解散もせず、思いつき解散もしないまま、不毛な菅降ろし騒動の中で民主党から「第三の総理」が誕生することだけは確かなようですが、嗚呼、またかいなあ?と被災民の皆さんだけでなく多くの国民は酷暑・節電の中で嘆息しているに違いありません。

■どうやら震災復興を進める上で野党の協力が得られないから、というのが菅降ろしの最大の理由だったようですが、そもそも国会がネジレてしまったのは政権交代後に菅アルイミ首相が挑んだ参院選挙で議席を激減させてしまったからで、その責任逃れをするために閣僚ポスト等を餌に共犯者を大量に増やして責任の水増し工作で党内を抑え込もうなどと強引な手法を取ったばかりに、何の実績も残せないまま2回も内閣改造を行なう自転車操業状態に陥ってしまったのでした。よほど政権与党の住み心地が良いと見え、ポスト欲しさに政権批判を控えていた議員たちも、さすがに支持率が低下して危険水域に入ったと見るや次の選挙が心配になって後継候補も決めないまま、一斉に菅降ろしに走り出したのですから政治空白はますます進んで無色透明、無政府・無内閣状態になってしまったのかも?

■国会をネジレさせた参院選に幹事長として挑んで大敗した責任を問わずに官房長官に抜擢してくれた菅アルイミ首相への恩義も忘れ果てた枝野幸男官房長官は、6月8日の記者会見で、菅政権の1年間の成果について、「この1年で飛躍的に大きな成果を挙げたというようなことになっていない部分が多いのは間違いないと思っている」と相も変わらず持って回った弁護士口調で、1年間の菅アルイミ内閣に「成果なし」と素直に認めてしまっているくらいですから、誰にも惜しまれず、慰労もされずに追い出されてしまうのも当然でありましょう。菅アルイミ首相が総理の椅子にしがみ付いて醜態を晒して政治を停滞させ続けていれば、民主党自体の支持率が奈落の底に転げ落ちて行きますから、苦笑しながら我慢していられない人が出て来るのは当然であります。


民主党の鳩山由紀夫前首相が海江田万里経済産業相に対し、3日の原子力損害賠償支援機構法案の成立後、直ちに辞任するよう促したことが分かった。……鳩山氏は1日、海江田氏に電話で「原子力損害賠償支援機構法案が成立したら辞めるべきだ」と強く辞任を促したという。
2011年8月3日(水) 毎日新聞 

■やはり止めを刺すには旧トロイカの残り2人鳩山・小沢が手を組んで鳩山サセテイタダク前首相は内閣崩壊を仕掛け、クラッシャー小沢の方は不信任案の再提出を匂わせての燻り出しという内と外からの挟み撃ち作戦が浮上して、菅アルイミ首相も荷物をまとめ始めたように見えましたぞ。


「菅直人首相を辞めさせないと代表選はないんだぞ。『ポスト菅』の連中がどれだけ真剣に『菅降ろし』をやるのか。俺はそれをジッと見ているんだ」民主党の小沢一郎元代表は1日に続いて2日も東京・赤坂のきのこ料理店に中核グループ「一新会」の面々を招集した。刺し身をつまみながら小沢氏はこうも漏らした。「俺たちに菅降ろしをやらせておいて果実だけ取るのは駄目だ!」「ポスト菅」候補は知名度アップに躍起だが、100人を超える小沢系の支持がなければ代表選を制することは難しい。これに目をつけた小沢氏は「ポスト菅」レースを「菅降ろし」レースに変えてしまおうと考えたようだ。小沢氏は6月2日の内閣不信任決議案採決が失敗に終わったことを今も悔いている。「次は失敗は許されない」。そう考えるといつもは3合と決めている日本酒は4合、5合とかさを増した。「お盆までに首相が辞めなかったら動かないといけないな…」…… 

■腹立ち紛れに酒量を増やすのは身体に宜しくありません。いざ!という時に脳梗塞など起こさないように用心した方がよいでしょう。それにしても「お盆まで」とはクラッシャー小沢も随分と慎重ですなあ。今更後悔しても仕方がないのですが、土壇場で不信任案に賛成しなかった真の理由が未だに不明なのは不気味であります。「次は失敗しない」というからには一撃必殺のトドメを刺す秘策が練られているということなのでしょう。新聞やテレビはポスト菅レースの下馬評をネタに大はしゃぎを始めているようなのですが、それもクラッシャー小沢の活躍如何に関わっているというのは何処か皮肉な物を感じるのですが……。

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