goo

マトリックス.18

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。

********************************************


【chapter.19/取り引き】

このシーンは、ネブカドネザル号のクルー「サイファー」がメンバーを裏切り、エージェントと取引を行うシーン。

正直、このシーンはあまり大切なメッセージは見いだせずにいます。

ただ、この「サイファー」というキャラクターは、宗教に登場する色々なもののメタファーだと言われておりますので、そこら辺をご紹介しておきたいと思います。


「裏切り者」という設定から、福音書に登場する十二使徒の一人「イスカリオテのユダ」のメタファーである、というのは結構メジャーなお話。

彼がエージェントと取引するのが「レストランで食事を取りながら」というシーンで描かれているのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画でも有名な『最後の晩餐』から来ているとも言われています。


また、それと同時に「堕天使ルシファー」のメタファーでもある、と噂されています。

堕天使は、天使の身でありながら主なる神に反逆し、天界を追放された者。

キリスト教を題材とした作品において、堕天の理由はいくつかの観点で語られているのですが、この「サイファー」というキャラクターは、その全ての理由を引き継いで描かれています。


◎堕天の理由その1「高慢」

天界において、神の直下の座で天使の統括を行う「大天使長」であったルシファー。強大な権威と力を持つ彼に「自分は神をも凌ぐ力を持っているのではないか」という驕りが現れます。

「高慢・慢心」は煩悩の一つ。その気持ちがそのまま自分を苦しめる要因となってしまいます。


◎堕天の理由その2「嫉妬」

神は人間に対し、天使以上の愛情を注いだ。その様子に反発したのは神からもっとも信頼を得ているとされる大天使ルシファーだった。人間には、天使ほどの権威もなければ力もない。なのに…自分達天使より下位な存在である人間が、これほどの寵愛を受けるなんて!
神に対し、並々ならぬ愛情を抱いていたルシファー。その強い愛情はいつしか嫉妬心から怒りを生み出していた。

「嫉妬・羨望」も、煩悩の一つ。誰かや何かを羨む気持ちは、結局自分を苦しめます。

この映画では、トリニティをめぐる、ネオへの嫉妬が描かれていますね。


◎堕天の理由その3「自由意思」

神が天使を創り出した理由。それは、自分自身を尊重させる為。神は意図的に天使に自由意思を持たせ、自分を崇めても崇めなくてもよいようにしました。それは、天使自らが自発的に崇めることができるか、無の心中から自分自身への愛情を芽生えさせることが出来るかどうか、という試みがあったから。
しかし、自由な意思を持つ天使達には、自分から神に従おうとする服従心はありませんでした。その結果、彼らは天界から追放され地上で人間に変わり、またさらに深く堕ちた者は悪魔となりました。

ちなみに、この説によれば人間は天使になれるとされ、悪魔は天使に戻れるとされています。

つまり、表現の方法はだいぶ違いますが、見方によっては「六道輪廻」の西洋的解釈になるかと思います。


さて。

今日のところはこの辺で。


←あれだね。毎日更新しないと、やっぱすぐ下がるもんなんだね。

コメント ( 18 ) | Trackback ( )