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マトリックス.17

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。

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えー…

最近、この連載を楽しみにしてくれている人の多さに驚いております。

と、言うわけで、お待たせしました。「マトリックスシリーズ」の連載に戻りますよぅ。


【chapter.18/深く静かに潜行】

モーフィアスの携帯に伝えられるクルーからのメッセージ。


「緊急事態発生」


場面は変わって、古い汚水管の中を進むネブカドネザル号の操縦席。

その操縦席には、イカの様な触手を持つ敵機「センチネル」のホログラム画像が映し出されています。


「イカ野郎が来る。」

「イカ?」

「攻撃部隊よ。目的は一つ。」

「敵を捜して撃滅。」

「そこへ隠れろ。」

「パワー・オフ。」



船のエンジンを停止し、静かに隠れるネブカドネザル号。


「静かに。」


息を潜めて隠れるネブカドネザル号のメンバー達。

そして無事、センチネルに見つかることなく、窮地を脱しました。


さて。

この「センチネル」もまた「自我」のメタファーです。

つまりは現実世界で人間達の動きを見張る「監視人」。

「エージェント」と同じ意味合いです。

でも。

ちょっと「sentinel」という、この敵の名前に注目してみたいと思います。

「sentinel」は、ズバリ、「歩哨」「見張り」「番兵」「監視員」といった意味の英単語。

なのですが、この意味の単語は、現在ではふつう「sentry」が使われるんだそうです。

「sentinel」は、同じ意味でも古めかしいニュアンスの単語。


だとしたら…

この「センチネル」は同じ「自我」でも、特に「古くから抱え続けている自我」と捉えてみることが出来るんじゃないだろうかと、僕は思っているんです。


「ニュー・アース」の中で「ペインボディ」と表現されている、古い記憶を引きずることで出来上がった感情的な苦痛の集積体(ネガティブなエネルギー場)。

それが、この「センチネル」なんじゃないだろうか。


※この「ペインボディ」を具体的に説明しようとすると、それだけで一つの連載になっちゃうぐらい長くなりそうなので、出来ましたら『ニュー・アース』の第五章「ペインボディ――私たちがひきずる過去の古い痛み」をご参照ください。


そして、その「心が引きずる古い痛み」から自分を引き離すために必要となるのが、「今にある」という静謐(せいひつ)な状態。(リラックスした、静寂な心の状態)


心を静かに落ち着かせることで、自然とペインボディは自分から遠のいてゆく――

「ネブカドネザル号のパワー・オフ」というこのシーンは、そのことを指した表現に見えるのです。



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