注意欠如・多動症(ADHD)の症状を和らげる良薬は「運動」であるという研究報告

2015年03月31日 22時27分09秒 | Weblog
http://gigazine.net/news/20140930-exercise-cure-adhd/
注意欠如・多動症(ADHD)の症状を和らげる良薬は「運動」であるという研究報告


注意不足や衝動的な行動をとるなどの特徴をもつ「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」は、原因について脳機能障害説や環境原因説など議論が分かれており、いまだ根本的な治療法が見つかっていません。しかし、ADHDの良薬は「運動」であるという研究結果が発表されています。

A Randomized Trial Examining the Effects of Aerobic Physical Activity on Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Symptoms in Young Children - Online First - Springer
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10802-014-9929-y

Pilot Physical Activity Intervention Reduces Severity of ADHD Symptoms in Young Children
http://jad.sagepub.com/content/17/1/70.refs?patientinform-links=yes&legid=spjad;17/1/70

Exercise Is ADHD Medication - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/health/archive/2014/09/exercise-seems-to-be-beneficial-to-children/380844/

注意欠陥・多動性障害(ADHD)は不注意だったり衝動的な行動をとったりという特徴がある発達障害や行動障害で、脳機能の障害が原因であると考えられており、遺伝的な問題であるとの指摘もありますが、根本的な治療法はいまだ確立されておらず、症状を和らげるために投薬がされることが一般的です。

ADHDの症状を抱える子どもは、幼少期には「ルールに従って行動できない問題児」と捉えられることも多く、衝動的・突発的な行動を抑制するために薬剤が処方されることがありますが、安易に投薬することで子どもに与える副作用の危険性を指摘する見解もあります。


そんな、ADHDに関して近年、「運動」によって症状が改善したという複数の報告が上げられています。

ミシガン州立大学のアラン・スミス教授は、幼稚園児から小学校2年生の児童200人に、12週間にわたって登校前に有酸素運動させる実験を行ったところ、運動プログラムに参加したすべての子どもが算数の学力や国語力がアップし、脳機能の向上が確認できましたが、驚くべき事に、運動プログラムに参加したADHDの症状を持つ子どもは、健常な子どもよりもはるかに脳機能の改善が見られたとのこと。スミス博士は「今回の研究は、ADHDの症状を抱える子どもにとって、座学よりも体を動かす方がはるかに症状の改善に効果的であること示しています」と述べています。また、スミス博士は小学生に8週間にわたって毎日26分間の運動を行わせたところ、ADHDの症状が和らいだことも確認しています。


ハーバード大学のジョン・レイティ准教授は、ほんの軽い運動であってもADHDの症状を改善する効果がある原因について、「運動によって気分が高揚し認知能力が高まるのは脳内にテストステロンやドーパミンが放出されるからで、これは(ADHDの治療薬として投与されている)アデロールのような興奮剤と同様のメカニズムだと考えられます」と述べています。

なお、アメリカでADHDの症状を緩和するために薬を処方された数は2007年から2011年だけを見ても3480万回から4840万回に増加しており、近年、ADHD治療薬の市場は数十億ドル(数千億円)規模にまで拡大してきているとのことで、ADHD増加の背景に莫大な利益を上げる製薬会社の存在も指摘されています。

これまで薬物投与が常識と考えられてきたADHDの治療法として、適度な「運動」が「最良の薬」となるのか、今後のさらなる研究に期待したいところです。




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