運動とがん

2007年02月21日 00時48分43秒 | Weblog
 がんは、予防が有効な病気です。1996年にハーバード大学がん予防センターから発表された、米国人がん死亡の原因では、喫煙(30%)、食事(30%)、運動不足(5%)、飲酒(3%)の合計で全体の68%になるということです。これらのがん死亡は、生活習慣の見直しによって予防できたものと考えられます。国によって生活習慣や環境は違い、がんの原因の割合も異なります。しかし、生活習慣の改善で多くのがんが予防できることについては、日本でも米国と同様です。

 東京ガス健康開発センターでは、同センターの定期検診を受診した男性9,677人(平均年齢36.4歳)を、1.運動不足、2.やや運動不足、3.平均的、4.比較的運動している、5.積極的に運動している、の5グループに分け、平均15年間にわたってすべての種類のがんの死亡率を比較検討しました。その結果、がん死亡率は「運動不足グループ」が最も高く、「平均グループ」の2倍以上、「積極的に運動しているグループ」の4倍近いことが分かりました。すなわち、「よく運動している人ほど、がんによる死亡の危険度が低い」という調査結果です。

 また米国国立がん研究所によると、運動は大腸がん、とくに結腸がんの危険度を平均40~50%、乳がんの危険度を30~40%減らすと関連づけています。さらに最近の米国の研究では、これまでに乳がんにかかったことがある人のうち運動習慣のある人は、その後の乳がん再発率と死亡率が低くなる、ということが示されました。運動不足により子宮体部がん、前立腺がん、肺がんの危険度が上がるという関連を示した疫学調査の報告もあります。

 運動が大腸がんの発生を抑える機序として、次のようなことが考えられています。運動をすると大腸内の内容物の通過が促進されます。その結果、発がん物質と大腸粘膜の接触時間が短くなるので大腸がんにかかりにくいという考えです。また、がんの中には性ホルモンやプロスタグランディンというホルモンが過剰に分泌されることが発生に関わるものがありますが、運動はこれらのホルモンの過剰分泌を抑えることが知られています。がんの成因のひとつとして、活性酸素によって遺伝子が傷つくことが考えられていますが、定期的な運動を続けることでその活性酸素から身を守る働きが高まることも知られています。さらに、持久的な運動ががんの発生、増殖を抑制する免疫機能を高めるとの報告もあります。

 具体的には、週2~3回、1回の時間は30分以上、体全体に汗がにじむ程度で体を動かすとよいでしょう。運動の種類は、歩行、ジョギングなどいつでもどこでもできる運動がおすすめです。ただし、激しすぎる運動をすると関節障害や心臓疾患の原因になりやすく、免疫力が逆に下がる場合もありますので、ニコニコと続けられる程度の運動をこころがけましょう。
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000300/hpg000000219.htm

最新の画像もっと見る

コメントを投稿