Macbeth

2005年02月27日 19時21分04秒 | Weblog
Macbeth
主な登場人物

ダンカン王 スコットランド国王 Duncan, King of Scotland マルカム ダンカン王の息子 Son of King Duncan
ドナルベイン ダンカン王の息子 Son of King Duncan マクベス 国軍の将軍 Macbeth
バンクォー 国軍の将軍 Banquo マクダフ スコットランド貴族 Macduff
フリーアンス バンクォーの息子 Fleance シートン マクベスに使える士官 Seyton
門番   Porter マクベス夫人 マクベス夫人 Lady Macbeth
マクダフ夫人 マクダフの妻 Lady Macduff 三人の魔女   Three Witches
ヘカット 魔女の女神 Hecat 亡霊   Apparitions

あらすじ

スコットランド国王ダンカンは、ノルウェイとの戦いで活躍した将軍マクベスに、恩賞として領地コーダァを与える。同時に、ダンカンは自分の息子マルカムを王位継承者と定める。マクベスと将軍バンクォウは荒野で三人魔女に出会い、マクベスは「いずれは王となられるお方」という予言を、バンクォウは「王様を生むだろうよ、自分じゃなれないが」という予言をそれぞれ聞く。そこでマクベスは国王の座も手に入れようと、妻と共に国王暗殺の計画を立てる。

インヴァネスにあるマクベスの城では、国王を迎えるための宴会が催されている。そこから一人抜け出したマクベスは、怯え、暗殺計画を中止にしようとするが、マクベス夫人に後押しされ、深夜、ダンカンを殺害する。

翌朝、ダンカンの死体が発見される。マクベスは前日門番をしていた二人が暗殺者であると言い、二人を殺害する。その場にいた国王の二人の息子は身の危険を感じ、スコットランドを離れる。しかしスコットランドの貴族であるマクダフは、真犯人はマクベスであると気付き、同じく貴族であるロスにそのことを告げるのである。

フォレスでは、国王となったマクベスを祝うために宴会の準備が進んでいた。そこでマクベスは、自分の息子を国王にしようとしているバンクォウが邪魔になり、殺害をに依頼する。宴会が始まり、マクベスが席に着こうとすると、自分の席にバンクォウの亡霊が座っているのが見える。他の貴族たちには見えるはずもなく、マクベスは一人で恐れおののき、叫ぶ。

マクベスは三人の魔女に会い、再び彼女たちからの忠告を耳にする。その予言は、「マクダフに気をつけろ」、「思いきってやるのだ。女から生まれた者にマクベスは負けるはずはない」、「マクベスは滅びることはないぞ、バーナムの森がダンシネインに近づいてくるまでは」という三つであった。そこで彼はファイフに使いをやり、マクダフを暗殺させようとするが、そこには妻とその息子がいて、暗殺者は彼らを殺してしまう。

一方、マルカムに会うためにイングランドに来ていたマクダフは、国王の暗殺者はマクベスであることを告げる。そこへロスがやって来て、マクダフは自分の妻子が殺されたことを知る。そしてマルカムとマクダフは共にマクベスへの復讐心を燃やすのだった。

スコットランドの貴族たちはマクベスを倒すため団結し、マルカム、マクダフが指揮をとり、マクベスの城のあるダンシネインに軍を進めていた。その知らせを聞いたマクベスは魔女たちの予言を思い出し、臆することなく城で待機している。しかしそこで、今や夢遊病者となってしまったマクベス夫人の自殺を聞いて、彼は愕然とするのである。

とうとう軍隊が城に到着し、戦いがくり広げられる。やがてマルカム軍の勝利を知らせるトランペットが城内に鳴り響き、マクダフがマクベスの首を持ってマルカムの前に現れる。マルカムはスコットランド王となり、再びトランペットが吹かれて、この劇の終わりを告げる。

作成 深津美帆
みどころ

この劇はスコットランドを舞台にし、暗く、緊迫した雰囲気の中、最後の悲劇的結末に進んでゆく。マクベスは冒頭で、ノルウェイとの戦いに勝利を治め、領主にもなり華々しく登場するが、ダンカン王を殺害し、スコットランドの秩序を破壊してからの彼は、ただ転落の一路をたどるのみである。

マクベス夫人はこの作品でとても重要な役割を果たしている。国王暗殺の際には、劇中何回か登場する三人の魔女たちよりも、悪女ぶりを発揮していて、気の小さいマクベスに対して、度胸のある女性であることが分かる。しかし国王の死後、彼女は良心の呵責にさいなまれ、夢遊病になってしまう。妻の死を知ったマクベスは、愕然となり、生の無意味を痛感する。この時がまさに、彼にとっての絶望の淵であり、それは彼の破滅を意味しているのである。

確かに、謀反を起こしたマクベスが殺害され、元からの王位継承者が国王となる筋書きは道徳的である。しかし私たちは、奈落の底に落ちた彼が人生の空しさ、人生への絶望感を説くとき、その言葉に同感してしまう。それはマクベスをただ悪党として見ているのではなく、儚い夢を抱いた野心家に同情の念を持たずにはいられないからである。

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