2年生のA子は、失敗をすると、「私はバカだから」「私はバカだから」と、何度も繰り返して言う癖があった。
かけ算1つのミスでも、廊下を走ってしかられても、担任の私の注意を聞く前に、決まってこのセリフを口にするのだ。それも、私の言葉をさえぎるように、大きな声で言い続ける態度がとても気になった。
失敗した時、誰かに「お前はバカだ」と言われた経験があるのかもしれない。あるいは、もっとひどいことを言われ、人の言葉を耳に入れないようにしているのかもしれない。
私はどうすればいいか迷ったが、「A子さんはバカじゃないよ」と繰り返し言うことにした。しかし、これでは変化がほとんど見られなかった。
A子が自信を持っていることや、私が素晴らしいと思う長所を言葉にして、より具体的に伝えた。「誰よりも木や花の名前を知っていてすごいね」「動物の絵を描くのが上手だよね。みんなほめてるよ」「いつも笑顔でいいね」……。A子が「私はバカだから」と言い続けている間中、私は繰り返しA子をほめ続けた。
根比べだったが、私の言葉を聞いて、A子の表情が少しずつ穏やかになっていくのが分かった。お決まりのセリフが少しずつ減り、2か月後には、ほとんど聞くことがなくなった。
それでも、しばらくの間、A子は何か失敗すると、私の顔を見た。そして私がにっこり笑って見せると、安心したようにうなずき、「ごめんなさい」と自然に謝るようになった。
2年生を修了するころには、いちいち私の顔を確かめることもなくなった。自分に自信を持てるようになったのか、失敗を恐れず、授業中に積極的に手を挙げて、発表をするまでになったのだ。(洋)
◇
筆者は、小学校の男性教諭です。
(2006年8月28日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/hagukumu/kodomo/20060828us21.htm?from=os1
子供に対する記事ですが、対大人でも同じだと思います。
欠点を攻めるより、長所を褒める。忘れないようにしたい。
かけ算1つのミスでも、廊下を走ってしかられても、担任の私の注意を聞く前に、決まってこのセリフを口にするのだ。それも、私の言葉をさえぎるように、大きな声で言い続ける態度がとても気になった。
失敗した時、誰かに「お前はバカだ」と言われた経験があるのかもしれない。あるいは、もっとひどいことを言われ、人の言葉を耳に入れないようにしているのかもしれない。
私はどうすればいいか迷ったが、「A子さんはバカじゃないよ」と繰り返し言うことにした。しかし、これでは変化がほとんど見られなかった。
A子が自信を持っていることや、私が素晴らしいと思う長所を言葉にして、より具体的に伝えた。「誰よりも木や花の名前を知っていてすごいね」「動物の絵を描くのが上手だよね。みんなほめてるよ」「いつも笑顔でいいね」……。A子が「私はバカだから」と言い続けている間中、私は繰り返しA子をほめ続けた。
根比べだったが、私の言葉を聞いて、A子の表情が少しずつ穏やかになっていくのが分かった。お決まりのセリフが少しずつ減り、2か月後には、ほとんど聞くことがなくなった。
それでも、しばらくの間、A子は何か失敗すると、私の顔を見た。そして私がにっこり笑って見せると、安心したようにうなずき、「ごめんなさい」と自然に謝るようになった。
2年生を修了するころには、いちいち私の顔を確かめることもなくなった。自分に自信を持てるようになったのか、失敗を恐れず、授業中に積極的に手を挙げて、発表をするまでになったのだ。(洋)
◇
筆者は、小学校の男性教諭です。
(2006年8月28日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/hagukumu/kodomo/20060828us21.htm?from=os1
子供に対する記事ですが、対大人でも同じだと思います。
欠点を攻めるより、長所を褒める。忘れないようにしたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます