迅速と拙速の違いを考える

　何か問題が起きたときに、迅速に行動し解決しようとする姿勢を評価する声は大きいものです。

　でもこれは難しい事ですよね。

　迅速という言葉が「拙速」という言葉と表裏一体であると僕は考えるためで、特に促されて早めの行動をとると、議論や思惑など考えるべき点を脇に置いてしまいかねません。

　日本代表監督選び、そうではないでしょうか？

　ザッケローニ体制が発足する際

　「感得選びが難航している」
　「最初の2試合は原監督代理が指揮を執る」

　という形で落ち着きましたが、随分批判されました。

　そこで、ザッケローニ体制からアギレ体制に収まるまでの時間は確かに短縮できました。

　でも、反対派からすれば

　「監督の身から出た錆」

　でその政権は頓挫してしまいましたが。

　もし、日本サッカー協会が拙速ではなく、本当に必要な事柄、簡単に言えば

　「急がば回れ」

　なら、アギレ監督はわざわざか極東まで、恥をさらす形で決別にはならなかったかもしれません。

　特に遠藤を含む代表選手たちが

　「歴代の監督たちの中でも、指揮は抜群にうまい」
　「僕たちは監督の八百長問題を問題視していない」

　と語りました。

　あれだけ恋い焦がれていた指揮官ならば、最後まで庇ってやる、問題ないとメディアに叫んだらよいのに、と思いました。

　代表監督は一国の大統領、首相のように、その国のサッカーを代弁するもので、簡単に更迭はできません。

　ミラン・マチャラが

　「中東のオーガナイズは無いに等しい」
　「彼らが日本と同じ勤勉さを持てば、それは素晴らしい」

　と過去に語っていたように、彼らは簡単に監督交代を決断します。

　拙速と熟成は、それだけ難しい事柄なのでしょうか。

アディダス、ストリートに訴える感性の大きさ

　アディダスは２００５年でしたか、看板商品であるスーパースターの生誕３５周年を記念して、限定モデルを沢山発表しました。

　サッカー絡みですと

　「キャプテン翼」

　モデルが登場し、高橋陽一先生もこのスーパースターをお持ちなんですよ。

　アディダスはナイキやプーマ以上に

　ストリートに訴えかける感性
　その感性を最大限活用するノウハウ

　に優れている印象があります。

　例えば倉石一樹氏によるスニーカーの監修もそうですし、最近ではニゴさんがスーパースターのデザインを担当しました。

　「ランＤＭＣが行ったように紐なしで履ける工夫をしてあります」

　と語ったように、スニーカーを紐なしで履くという発想はスリップオン型以外だと、まず無かった発想です。

　それは単純にナイキよりもアディダスのほうが歴史が古いということもあるでしょうし、アディダスのジャージを着用することがストリートで受け入れられた側面も大きいと思います。

　日本でジャージを着るというのは、過去

　部活での帰り道
　学校名が刻印されている

　という、運動着としての形が強かったわけですしね。

　逆説的ですが、コンバースはコンバースを模倣した靴がたくさんあります。

　アディダスの場合には

　「アディマウス」

　のような、過去模倣というよりもパロディや、完全なる海賊版が随分現れましたが、これもアディダスが持つ威光が関与しています。

　アディダスはブラジル・ワールドカップでのスパイク着用率が一段を上昇しましたが、この勢いをさらに膨らませようとユナイテッドと契約したわけですが、聊か早計だったかもしれません。

夏目ちゃんのナイキトップス、話題沸騰中

　今ナイキで一番ホットな商品は何でしょうか？

　これは日本市場のみで、海外の流行は省きます。

　サッカーで言えばティエンポでもなければ、マーキュリアルでもありません。

　バスケットで言えばレブロン・ジェームズやブレイク・グリフィンが履くバッシュでもなく、ネイマールを軸にする契約選手の愛用品でもないのです。

　それはきっと、今秋水曜日に放送されたテレビ朝日「マツコ・有吉怒り新党」の中で、夏目ちゃんが着用した

　「ナイキとサカイのコラボレーション・トップス」

　でしょう。

　このトップス、番組冒頭から話題沸騰だけでなく、僕以外の視聴者も

　「夏目ちゃんの着ているトップスはナイキの商品なの？」
　「どこで販売しているのか？」

　と随分騒がれています。

　これは衣装担当の方が準備したものでしょうが、放送直後から問い合わせが多いことを事前に想像できたかわかりませんが、ナイキとしては嬉しい話だと思います。

　サカイというのは日本の女性が手掛けるブランドだそうで、ナイキではバッシュの名品「ダンク」も、このトップスのようなアレンジを加えて発売しているとの事。

　スポーツ・ブランドがデザイナーを起用することは、そう珍しいことでもありません。

　ディアドラ　１９９４年のアズーリ・ジャージをアルマーニに監修してもらう
　アディダス　ヨウジ・ヤマモトとステラ・マッカトニーを招く
　アシックス　タイガーシューズとアパレルをアンドレア・ピンポリオと手掛ける

　という形です。

　特にアディダスはレアルのジャージをヨウジ・ヤマモトに依頼し、あの龍の透かしが入る、画期的なデザインで発表しましたよね。

　今後もスポーツ用品にデザイナーを率先起用する形は続くと感じます。

モウリーニョは本当に、ユナイテッドの指揮官になるのか

　ユナイテッドはファンハールの後任にモウリーニョを指名する、と囁かれています。

　ファン・ハールが５－３－２という基本布陣でワールドカップを戦い、メンフィス・デパイにダレイ・ブリントを見事に活用できたのは、短期決戦の賜物だったのでしょうか。

　オランダと言えば

　４－３－３で両翼を最大限に活用するサッカー
　ＧＫにも巧みな技術を求める

　事で知られています。

　ティム・クルルをＰＫ直前に出場させる「荒業」は、絶賛と議論を巻き起こしましたが、仮にリーグ戦で不調の今、同様の事をすれば。

　メディアは相当の批判を彼に浴びせるでしょうね。

　短期だからこそ初戦のスペイン戦に集中する
　そこで買ったからこそ、５－３－２は信用得た

　形になるわけですが、勝つ、しかも鮮やかにという点を見慣れているユナイテッドのファンは、ぜいたくなのかもしれません。

　モウリーニョが来るとすれは、ある種の

　「アディダス繋がり」

　としては最適です。

　インテル時代、契約するナイキのスパイクではなく、アディダスの三本線が輝いていることを見ると、アディダスはモウリーニョ招聘の手助けになるかもしれません。

　チェルシーもレアルもアディダスでしたけどね。

　ただ、モウリーニョがじっくり腰を据えて戦うよりも、常に自分の身をあらゆる立場に追い込むことで本領を発揮することを考えれば。

　ユナイテッドは数年後にも、今と同じ懸念を抱えることになるのです。

　それだけファーガソン政権が稀であるという意味にもなります。

チェルシー、１－２でＰＳＧに破れる

　１－２でパリ・サンジェルマン戦を落としたチェルシー。

　試合終了後にはセスクとイブラの間で口論があったようで、後味の悪い形となりました。

　前者が

　ラベシを中国に売却しても影響なし
　２位との勝ち点差は２４でいまだに無敗でリーグ１を独走

　ということで、鬼門と囁かれるチャンピオンズ・リーグ８強以上を目指すには、今季は充実の季節と言えます。

　では仮に、チェルシーが２０１２シーズン以来の欧州王者に輝いたとしましょう。

　もしビッグイヤーを勝ち取れば、今季は「終わりよければすべてよし」になるでしょうか。

　やはりなりませんよね。

　１・モウリーニョ、ヒディンクと繋いだ監督人事
　２・エディン・アザルを軸とした移籍を志願していると囁かれる選手の存在
　３・新監督は果たして過去の事例、ヴィラス・ボラスにスコラーリ、ディ・マテオのような、短期で終えるかもしれない契約

　これらを考えれば、むしろアカデミーとトップの一体化を進めるシティ、監督、ファン、選手が団結を見せるスパーズのほうが優位と思えます。

　チェルシーには

　アディダスと横浜タイヤを軸にする巨額のスポンサー料

　が入る一方で、ファンの人種差別を含む問題行動がしばしば指摘されます。

　ドログバ、テリーと屋台骨を支えてきた人物を袂を分かち、クルトワやセスクが今後の軸になるでしょうが、チェルシーの監督はユナイテッドのそれよりもやりにくい印象があります。