理事長ブログ 心と体を癒やす

健康とは「健体康心」の略語です。体が健やかで心が康らかな状態を指します。心身の健康をセルフケアする方法を紹介しています。

円心五法の真髄529 認知症は本当に予防できるのか?

2016年02月10日 | Weblog
年齢とともに気になってくるのが認知症です。自分が自分でなくなってしまう認知症、誰しもがなりたくないと思いながらも、どうしたら予防できるのか分からないのが現状です。

会員の方からアルツハイマー病の予防の方法について質問があり、色々調べた中に「OMRONの健康コラム」の記事が参考になりましたので、抜粋してご紹介いたします。

認知症には、アルツハイマー病のほかに脳血管性認知症、レビー小体型認知症が知られています。このうちアルツハイマー病は、世界では認知症の約70%を占め、日本でも高齢化にともなって患者数が急速に増加しています。

アルツハイマー病の特徴は、進行性の認知症であり、現在遺伝子レベルでの研究が進められているものの、治療法がまだ分かっていないのが現状です。

記憶をつかさどる脳の海馬が最初にダメージを受けるため、初期症状として記憶障害(人や物の名前を忘れる)がもっとも多くみられます。次第に、記憶だけでなく判断機能や身体機能も低下していき、日常生活に支障をきたすようになるのがアルツハイマー病です。

人によって違いがありますが、親しい人の名前を忘れる、同じ話や質問を何度もくり返す、約束を忘れる、置き忘れが増える、片付けられない、計画的な作業ができない、日時や場所が分からなくなる、趣味に関心がなくなる、人格が変化する(温厚な人が怒りやすくなる)などの症状がみられます。

こうした深刻な状態になる前に、予防はできないのでしょうか。最近の多くの研究から、アルツハイマー病につながる予兆が、発症の10年~20年以上も前からみられることが分かり、軽度認知障害のような早い段階なら予防や改善が可能だと考えられるようになってきています。

アルツハイマー病では、β(ベータ)アミロイドやタウと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積したり、過剰なリン酸化を起こしたりすることで、海馬の委縮や神経伝達組織の機能低下が起こると考えられています。脳内で起こるこうした負の現象の改善には運動が有効であることが分かってきました。

運動をすると、βアミロイドを分解する酵素が活性化され、βアミロイドの蓄積を防ぐ報告があります。また、運動で筋肉細胞から放出されるホルモン(イリシン)が、脳の細胞死を抑制する栄養因子を増やし、海馬の神経細胞の活性化や神経伝達機能を向上させるとの報告もあります。

さらに、運動が体内の酸化ストレスを減少させ、同時にインスリン分解酵素を活性化させて、タンパク質のリン酸化や蓄積を防ぐ効果があることも指摘されています。

効果的な運動はウォーキングや軽いジョギング、サイクリングやエアロバイクなどの有酸素運動がいいようです。30分程度の運動を毎日楽しみながら続けることが大切です。

また、運動をしながら、脳を使うことも大切で、簡単な計算、例えば、100から3を引き続ける計算をしたり、2~3人でしりとりをしながら歩く方法などがお勧めです。

運動と並んで、予防に効果があると考えられているのが、睡眠です。睡眠中の脳の活動の1つに、老廃物の排出があります。日中の活動で生じた老廃物を、脳脊髄液が循環して回収していますが、同時に不要なβアミロイドも回収・排出されています。

睡眠にはもう1つ、昼寝の習慣を持つこともアルツハイマー病の予防に効果的とされています。30分適度の昼寝をすると、午後からの仕事や勉強の効率が高まることは知られていましたが、昼寝の習慣はアルツハイマー病の発症リスクを5分の1に下げることが報告されています。

また、糖尿病やその予備軍ともいえる人はアルツハイマー病を発症するリスが、健康な人の4.6倍にものぼるという報告もあり、生活習慣に気をつける必要があります。

喫煙と過度の飲酒も問題です。喫煙はアルツハイマー病だけでなく脳血管性認知症のリスクを高めることも分かっています。特に喫煙と過度の飲酒習慣が重なった場合、脳の認知機能の低下が36%も早まることが指摘されています。

認知症を予防するには、症状が出る前から、毎日の生活習慣に気をつけながら、楽しく運動を続ける習慣や快適な睡眠を心がけることが大切です。これらを良く見ると「円心五法」の実践そのものではないでしょうか。

それでは本日はこの辺で。

NPO法人日本フットセラピスト協会
理事長 本山 硯士