「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

月光の曲ゆるりと弾けずこの春は 芳賀翅子

2020-04-10 03:43:46 | 日記
翅子さんのピアノ教室に行きたいとずっと思っている。子供の頃「ピアノを習いたい」と言ったら算盤教室に入れられた。さぼってピアノ教室の向かいの家のブロック塀に凭れて漏れてくるピアノの音を聴いていた。息子二人が大学入試の間際まで弾いていたピアノは奏でられずに何年もカバーが掛かったままだ。楽譜もたくさんあり、ベートーベンの「月光」の第一章は右手が三連符、左手が全音符でゆったりとはじまる。しかし句の「ゆるりと弾けず」は、テンポではなく、感情移入が出来ないという事なのでしょう。「この春は」と、令和二年の春の作者の心を乱している事象は何なのでしょうね。(博子)