溝に落ちつかむかたちに軍手凍つ 山村 史
旧日本軍が残したもので最も身近にある「軍手」左右の区
別をつけずに作られる。使っているうちにその人の手に馴染
む。この句の軍手は土木工事か農作業に使われたものか。溝
に落ちて汚れている。何をつかもうととしているのだろう。
否、これは何かを求め訴えているのではないか。だれかの叫
びかもしれぬ。摑もうとして摑めず、訴え叫んでも届かず、
凍っている。たった一つの軍手ながら、背後に背負っている
ものは重くかなしい。「軍手」の呼び名が残る限り、その哀
切は消えぬ。(平成5年)
旧日本軍が残したもので最も身近にある「軍手」左右の区
別をつけずに作られる。使っているうちにその人の手に馴染
む。この句の軍手は土木工事か農作業に使われたものか。溝
に落ちて汚れている。何をつかもうととしているのだろう。
否、これは何かを求め訴えているのではないか。だれかの叫
びかもしれぬ。摑もうとして摑めず、訴え叫んでも届かず、
凍っている。たった一つの軍手ながら、背後に背負っている
ものは重くかなしい。「軍手」の呼び名が残る限り、その哀
切は消えぬ。(平成5年)
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