「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

代々の褪せし写真や燕来る 鎌形清司 「滝」6月号<滝集>

2015-06-13 04:04:25 | 日記
 会社の社長か学校の校長かそれとも民間人だろうか。時間
につかまえられた人々の写真が並んでいる。窓外には動く時
間を楽しむかのように燕が飛ぶ。遥か南方から何千キロもの
海原をやって来る燕には懷かしさを感じるときがある。南方
から移住したと言われる古代日本人の産土と現在の日本を結
んでいるからであろうか。壮大な燕の移動をナビゲートする
本能もまた彼らの遺伝子に刻まれているのであろう。毎年同
じ軒先に帰ってくる燕の姿は、まさに黄泉帰りとしての虚か
ら実への方向性と力動を感じさせる。代々の写真は色褪せて
も燕の来る限りその建物は決して亡びない。(石母田星人)

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