「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

卓上のきいちの塗り絵遠花火 菅野経子 「滝」9月号〈滝集〉

2015-09-19 04:17:26 | 日記
きいちとは、大正三年生まれの画家蔦谷喜一のこと。昭和
一五年頃からぬり絵の仕事をしていたが、戦争で中断。二三
年から本格的にぬり絵の仕事に専念する。ふっくらほっぺに
まあるい目。振袖姿や、りぼんで飾った女の子、パーマをか
けたドレスの子、当時の少女たちの憧れだったろう。一時衰
退するも、昭和五三年に復活。世界でもっとも美しいぬり絵
といわれ、九一歳で亡くなるまで情熱は失わなかったという。
現在は、脳の活性化にも一役かっているようで、掲句のぬり
絵は、そんな使い方をされているのかも知れない。
 音だけの花火だが、手元のクレヨンが花火の色をも塗って
しまっているようだ。(小林邦子)

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