まるで星月夜に、コモド国立公園のコモドドラゴンの保護員が詠んだような作品だが、作者の感受した「寝息たて」は、今見ている星は過去の光という時間のさかのぼりがあって、地球も星に違いなく、その経て来た時間の中に生き物に過酷な氷河期があったことなどふと思われたのではなかっただろうか。コモドドラゴンは約5千万年前に出現し、ジャワやオーストラリアでオオトカゲだったものが3万年ほど前に今の姿になったと言われ、その後の氷河期を火山が活発な活動を繰り返していたとこで温度がかろうじて保たれ、ドラゴンは生き延びたそうだ。大昔は陸続きだった インドネシアは、その地下火山活動で無数の島々に別れる事となり、必然的にドラゴンの生息範囲は狭められ、コモド島に生息することになり「コモドドラゴン」と呼ばれるようになったらしい。毒を持つ最強のトカゲだが、今は保護の対象とされ、コモド国立公園が生息地。遠いその地に居るドラゴンの寝息を「秋澄む」「秋の声」などの季語も踏まえて「星月夜」に託され、心の中に聞いていると、字面だけを追えばそんな感じなるが、爬虫類好きの私はドラゴンを見てみたい、触ってみたいと思うが一般的には「恐い物」である。天敵をもたず、人間も捕食対象であることを思えば、今、人類を脅かしている新型コロナウイルスの比喩とも思われる。一旦感染者が減っているのはドラゴンが眠っているからで、目覚めたら・・・と、星月夜の変わらない美しさを仰ぎ憂慮の作者なのかも知れませんね。(博子)