「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

三叉路の家さえづりに傾ぎけり 成田一子

2020-03-02 19:14:10 | 日記
 陽(よう)の中に陰(いん)がある句。その意識の集中に「三叉路」。三叉路はY字路でアルファベットが使われていない時代の表記。その「古さ」と「傾ぎ」に目を奪われながら、春の野鳥たちの明るい和やかな声に包まれている。難儀な選択を迫られている作者も見えてくる。考えは一方に傾き、未来の明るさに通じる方を選ぼうとしているようにも読める。主宰として、決断を迫られることも時にはあるのだろう。3月の「滝」定例句会急遽中止もその一つだったことだろう。新型コロナウィルスの感染を回避するため、念には念を入れた最善策でありましょう。(博子)