(戦争が廊下の奥に立ってゐた) 渡辺白泉 の句を思い
起こす。真っ黒な煙をはいて機関車が驀進してくる。三月の
死を引きずって東京からか、六月の死を引きずって沖縄から
か、広島から、長崎から、日本中のあちこちから、毎年機関
車は八月と共にやってくる。敗戦から七〇年たっても、その
間平和ボケでいたとしても、八月はこういう形で私たちの前
に現れるのだ。これからもずうっと私たちは八月を祈り、平
和であることを祈る。(小林邦子)
起こす。真っ黒な煙をはいて機関車が驀進してくる。三月の
死を引きずって東京からか、六月の死を引きずって沖縄から
か、広島から、長崎から、日本中のあちこちから、毎年機関
車は八月と共にやってくる。敗戦から七〇年たっても、その
間平和ボケでいたとしても、八月はこういう形で私たちの前
に現れるのだ。これからもずうっと私たちは八月を祈り、平
和であることを祈る。(小林邦子)