「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

蜻蛉の産卵つづく静かかな 菅原鬨也 「滝」9月号<飛沫抄>

2015-09-04 04:25:53 | 日記
 子供の頃、ため池のほとりや小さな川の淵で、シオカラト
ンボがしっぽの先を水にちょんちょん付けている様子や、イ
トトンボが二匹つながって水草に止まってじっとしているの
を、友達と飽かず見入っていたことを思い出した。この句を
鑑賞するのに、トンボの産卵でネットを開いてみたら、あの
時と同じ情景が、写真や動画で載っていたのに少なからず感
動した。蜻蛉の産卵の仕方も様々あることを知った。作者の
やんちゃだった頃の思い出かもしれないが、「静かかな」は
命の連鎖をじっと見つめていたあの頃の静かさと、あのころ
を懐かしんでいる心の静かなのだろう。今、どこに行ったら
この様な風景を見ることが出来るのか。もう一度、湧き上が
るように現れる数の蜻蛉を追っかけまわしてみたい。(小林邦子)