ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

嗚呼、フジロック早割…。

2012-02-15 16:04:46 | フジロック

なんと! フジロックの早割にハズレました…。実は私、早割が抽選発売されるようになって以来、ハズレたことなかったんです。今年も当たるもんだと思って余裕を構えてたところに「ご用意することが出来ませんでした」的な報が届き、愕然としてしまいました。例年以上にハズレ率高いなんていう噂も聞きますし、やはりローゼス&レディへ効果ですかね~。う~んなんか今年は前途多難な予感。

という訳で、2月18日(土)は渋谷岩盤にレッツ・ゴーな訳です。思えば何年も前の話、当初の早割は岩盤の独占販売で、私もそれをゲットするべく朝早~くから岩盤に並んだもんです。その頃の岩盤は現在のスペイン坂近くのパルコではなく、クラブ・クアトロのある現在ブック・オフになっているビルにあったんですよね。私にとって始発近くに渋谷に向かい、整理券をゲットするというのがフジロックに向けての最初のイベントでした。ですが近年は早割に当たりっぱなしという妙な運の良さを発揮して嬉しい反面、”岩盤に並ぶ”という恒例行事を体験出来ない物足りなさも少し感じていたりで。なので今年は久しぶりに、気合い充分で岩盤へ行ってみたいと思います。ま、入会金と年会費を取られる点が少々引っかかりますけどね、でもそれでも安いですからね!

ただ、問題としては、最近の傾向をまったく知らないということ。整理券を配るのがAM6時ということなので、それを目安に行けばゲット出来るのか? 徹夜する覚悟じゃないととても無理なのか?案外昼頃行っても余裕で買えたりするのか? どうなんでしょうね? ま、6時目標で行きますけど…。

ヴァレンタイン・デー

2012-02-15 00:14:26 | 余話

2月14日、今日はヴァレンタイン・デーですね。男性諸君!チョコレート貰いましたか? 私は無事に妻からケーキを頂きました。丸の内で買って来てくれたそうです。私は杏が大好きなので。チョコレートと杏のケーキだそうです。甘酸っぱくて美味しかったです!

そして恒例、妻のセンスによるジャケ買CDも。ジェイムス・ピーターソンとラッキー・ピーターソン親子の共演盤。随分渋いの選んだな~、という印象。内容的には相当そそられますけどね。でもジャケ写だけで選んだにしてはインパクトに欠けると思うんですが、妻曰く「一番左のギターのヘッドが逆さまになってるから」っていう、なんかマニアックな視点。そう言えば変なギターですよね?ラッキー・ピーターソンっていつもこんなギター使ってるんですか? そういえば、ジェイムス・ピーターソンは一昨年に亡くなられてしまいましたね。しみじみ。これからゆっくりこのCD聴きます。妻に感謝。



JAMES & LUCKY PETERSON / IF YOU CAN'T FIX IT

グラミー賞 パフォーマンスあれこれ

2012-02-14 16:39:05 | ルーツ・ロック
THE BEATLES / ABBEY ROAD

先日行なわれたグラミー賞。私もWOWOWでの中継にかじり付きました。その賞レースもさることながら、お楽しみは何と言ってもパフォーマンス。やっぱり世界で最も権威のある音楽賞と言われるその受賞式の舞台ですからね。みんな気合いが違いますよ! それゆえ歴史に残るパフォーマンスが生まれる。オープニングを務めたロック魂全開のブルース・スプリングスティーン、ファンキー&ソウルフルに決めたブルーノ・マーズ。雰囲気を変えて土っぽい可愛さを見せてくれたテイラー・スウィフト、リアーナ&コールドプレイによる豪華コラボ、トニー・ベネットとキャリー・アンダーウッドの素敵なデュエット、カントリー・レジェンドのグレン・キャンベル、そしてこの夜のヒロイン、アデル。素晴らしいパフォーマンスの連続でしたが、その中でも個人的に特に印象に残ったアクトをいくつか。


まずはアリシア・キーズとボニー・レイットによるエタ・ジェイムスのトリビュート。アリシアがキーボードを弾きながら、ボニーはギターを弾きながらのデュエット。曲はエタがチェス/アーゴに残した名唱の一つ「A Sunday Kind Of Love」。アリシアはジャズっぽくもソウルフルに、ボニーは南部&ブルージーに。プレゼンターとして登場して、サラッと歌ったような感じでしたが、しっとりとしながら熱のこもった素晴らしい歌声でした。短かったのが残念。もっと聴きたかった~。

ビーチボーイズの50周年記念再結成。ブライアン・ウィルソンを含んでの再集結には、彼等にそれ程思い入れのない私もちょっと興奮してしまいましたね。曲は「Good Vibrations」。マルーン5やフォスター・ザ・ピープルなど若いバンドによるトリビュートもさることながら、やはり本物は違うな~と。サマソニ出演の噂もありますが、この再結成で来てくれたらかなりそそられますね。

恥ずかしながらまったくノーマークだった、ザ・シヴィル・ウォーズ。今回のグラミーでフォーク部門やカントリー部門を受賞している男女フォーク・デュオ。テイラー・スウィフトのパフォーマンスを紹介するために登場したようなもので、自分たちをテイラーの前座と称してのステージ。短かったですが妙に格好良かった!

授賞式直前に亡くなられたホイットニー・ヒューストンを偲んでジェニファー・ハドソンが歌った「I Will Always Love You」。素晴らしい歌声でしたね。あまりにも突然訪れた死の悲しみに会場全体が包まれていくようでした。特に前半のしっとりとした歌唱には胸打たれました。

グラミー賞では珍しいDJスタイルのデヴィッド・ゲッタ、そしてデッドマウス。このパフォーマンスはヤバかった。画面越しにもその爆音振りが伝わってくるような感じ。クリス・ブラウン、リル・ウェインという鉄板ゲストを向かえてパーティ感満載なデヴィッド・ゲッタもさることながら、ネズミ頭をギラギラ光らせて、空間が歪むようなビート感で独自の世界観を見せつけたデッドマウスにはやられました。ちょっとグラミーらしからぬ毒っ気が痛快でしたね。途中にフー・ファイターズを挟んだ演出も秀逸。ちなみにデッドマウスは授賞式開演前、あのネズミ頭でレッドカーペットを歩いてましたからね~。

新人賞にノミネートされていた女性ラッパー、ニッキー・ミナージュ。まさに怪演。新人らしからぬ個性とポテンシャルを見せつけてくれました。奇抜な演出と、過剰な演技力に目が釘付けでしたが、それ以上にリズムのキレが半端なく、彼女のラップにグイグイと引き込まれていきました。

では今回のグラミー賞におけるベストパフォーマンスは誰か?と問われたら、私は何だかんだでポール・マッカートニーですね。前半に登場しダイアナ・クラールのピアノとジョー・ウォルシュのアコギをバックに歌った「My Valentine」も素敵でしたが、何と言っても大トリを務めてのアビー・ロード・メドレーでしょう。「Golden Slumbers」~「Carry That Weight」~「The End」の3曲。やっぱあのメドレーは胸が熱くなる。特に「The End」。エイブ・ラボリエル・ジュニアがドラム・ソロを叩いている間に、ブルース・スプリングスティーンとジョー・ウォルシュ、そしてフー・ファイターズのデイヴ・グロールがギターを持って登場し、ポールもギターを持ち、バンド・メンバーのラスティー・アンダーソンとブライアン・レイを加えたギタリスト6人が一列に並ぶ。そしてオリジナル・アルバムではポール、ジョン、ジョージが繰り広げたあのギター・バトルをこの6人でギンギンに回しまくる。豪華! そしてみんな楽しそう! やっぱギターって良いですよね。ロックですよ! そしてエンディングへ向かう感じがまた良いんです。名曲! 終わった後、ビートルズの「ABBEY ROAD」を聴きたくなっちゃいました。


あとLL・クール・Jの司会も良かったですね。そしてWOWOWの中継も、番組として楽しかったです。

グラミー賞 受賞作品あれこれ

2012-02-13 23:33:59 | ルーツ・ロック
ADELE / 21

年に一度のお楽しみ、グラミー賞! 今年はアデル!アデル!アデル~!な一夜でした。『Record Of The Year』、『Album Of The Year』、『Song Of The Year』、主要3部門総なめを含む6部門の受賞。しかもノミネート6部門の受賞6部門という10割ですからね。強かった! あと主要部門は逃したものの、フー・ファイターズの強さも印象的でした。その分、レディー・ガガ、リアーナ、ブルーノ・マーズなんかは残念でしたね。

さて、そんな表舞台はさておき、「ルーツな日記」的に気になる受賞作品をピックアップ。



『Best Pop Duo/Group Performance』
Tony Bennett & Amy Winehouse / Body And Soul
エイミー、おめでとう! 厳密にはトニー・ベネットのデュエット作からということなんですけどね。



『Best Pop Instrumental Album』
Booker T. Jones / The Road From Memphis
これがポップ・インストなのか?という疑問はさておき、ブッカー・Tの受賞は素直に嬉しいですね。バックを務めたザ・ルーツにも拍手。



『Best R&B Performance』
Corinne Bailey Rae / Is This Love
コリーヌ・ベイリー・レイ「THE SEA」の2枚組デラックス盤にも収録されたボブ・マーリーのカヴァー。これは本当に素晴らしいカヴァー。



『Best Rap Album』
Kanye West / My Beautiful Dark Twisted Fantasy
計4部門を受賞したカニエ・ウェスト。今年も主要部門には縁がなかったようですね…。



『Best Americana Album』
Levon Helm / Ramble At The Ryman
ライ・クーダー、エミルー・ハリス、ルシンダ・ウィリアムスなど、大好きなアーティストが並んだ個人的激戦区。栄冠を手にしたのはレヴォン・ヘルムのライヴ盤。08年、ライマン・オーディトリアムにて豪華ゲストを招いて行なわれたライヴを収録。



『Best Blues Album』
Tedeschi Trucks Band / Revelator
ここも個人的激戦区。ノミネートされていたのはグレッグ・オールマン、マーシャ・ボール、ウォーレン・ヘインズ、ケブ・モ、テデスキ・トラックス・バンド。もう全員受賞して欲しかった!でもブルース部門というよりブルースっぽい部門って感じですけどね…。何はともあれ、テデスキ・トラックス・バンドの受賞に納得。


『Best Folk Album』
The Civil Wars / Barton Hollow
授賞式でのパフォーマンスを見て速攻で気に入り、早速今日買って来たこのCD。かなり良いです! ジャケ写通りの男女デュオ。結成は09年で、これが初スタジオ・フル・アルバムだそうです。『Best Country Duo/Group Performance』部門も受賞。



『Best Regional Roots Music Album』
Rebirth Brass Band / Rebirth Of New Orleans
今回、部門数が大幅に削減されてるんですけど、『ザディコ部門』が無くなって、変わりに出来たと思われるのがこの部門。ザディコの他、ブラスバンド、ハワイアン、ポルカと、雑多な音楽がノミネートされてました。受賞したのはニューオーリンズのリバース・ブラス・バンド!! このアルバムは最高です!!



『Best World Music Album』
Tinariwen / Tassili
砂漠のブルース、ティナリウェン! フェミ・クティの「Africa For Africa」もノミネートされてたんですけどね~。



『Best Historical Album』
Paul McCartney & Wings / Band On The Run (Paul McCartney Archive Collection - Deluxe Edition
この部門、大好きです。今回はウィングスの名盤「Band On The Run」のデラックス・エディション。これは話題になりましたものね~。


もちろんこの他にも色々と気になるところはあるのですが、全部書いていったらきりがないので今日はこの辺で。次回は印象に残ったパフォーマンスのことなど。

サマーソニック

2012-02-12 21:01:02 | フェス、イベント
RIHANNA / TALK THAT TALK

先日、サマーソニックの出演者第1弾がオフィシャルサイトにて発表になりました。以下の13組。

GREEN DAY
RIHANNA
SIGUR ROS
NEW ORDER
ADAM LAMBERT
DEATH CAB FOR CUTIE
THE CARDIGANS
PASSION PIT
GYM CLASS HEROES
GROUPLOVE
SBTRKT
THE KNUX
ICEAGE


リアーナ!! とりあえずリアーナが夏フェスで観れるというのは魅力ですね。清水社長のコメントによりますと、上4バンドが今年の主軸だそうですので、ひょっとしてマリンとマウンテンのトリは出揃ったんですかね? 個人的にはビョークにちょっと期待してたんですけどね…。

まだ今年のサマソニは行くかどうか分かりませんが、行くとしたらリアーナが出る日、1日だけですかね~。まあ、もちろんこのあとの発表次第ですけど。例えば今年1月の来日時に「夏に戻って来たい」と言っていたCSSがもしサマソニに出るとかってなれば、迷わず行きますしね。あと最近ビーチ・ステージも侮れないんですよね~。

それと清水社長のコメントですが、最後を「昨年のような熱いけど清々しい夏の2日間を期待して、フェスまでの約半年間をFun,Fun,Fun、一緒に楽しみましょう。」と結んでまして、これが次の発表に向けた仕込みなのではと、ツイッターを中心に騒がれていたり。つまり「Fun,Fun,Fun」はビーチ・ボーイズが来るというヒントなのでは?ということです(「Fun,Fun,Fun」はビーチ・ボーイズが64年にリリースした名曲)。なるほど~、確かに唐突に英語でFun,Fun,Funと言われるのはちょっと不自然ですもんね。ま、ビーチ・ボーイズなのか?ブライアン・ウィルソンなのか?という問題もありますけどね。

他に「Fun,Fun,Fun」ってないのかな?と思ってまっさきに思い出したのが昨年サマソニに出演したバウ・ワウ・ワウの「ジャングルでファン・ファン・ファン」。もしやアナベラまた来るのかな!? と思いきや、あれ元題は全然「Fun,Fun,Fun」じゃないんですよね…。となればやっぱりビーチ・ボーイズか…。っていうかアレがヒントなのかもそもそも定かではないんですけどね。そんなことも含めて次回の発表が楽しみです。



後日追記:先日のグラミー賞授賞式で、ビーチボーイズがブライアン・ウィルソンを含めたメンバーで50周年記念の再結成をしていることを知りました。4月からリユニオン・ツアーも行なわれるとのこと。これは凄い!そこにサマソニも加わるのか?どうなのか?


テデスキ・トラックス・バンド@渋谷公会堂

2012-02-12 10:22:40 | ルーツ・ロック
TEDESCHI TRUCKS BAND / REVELATOR

2月9日、渋谷公会堂にてテデスキ・トラックス・バンドを観てまいりました。今回の来日公演、最終日です。

このバンドを観るのは09年のフジロック以来2度目。ただあの頃はまだバンド名が「デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンド」だったように思いますし、今回はこのバンドとしてのデビュー作「REVELATOR」をリリース後、初めての来日であり、初めての単独公演ということで、2度目というよりは、あらためて初めて観るような、そんなワクワクした気持ちで臨むことが出来ました。

ほぼ開演時間通りにメンバーがステージに現れる。スーザン・テデスキ、デレク・トラックス、夫婦揃っての登場に場内割れんばかしの拍手。ドラムスはJJ・ジョンソン、タイラー・グリーンウェルによるツイン・ドラム、ベースはオテイル・バーブリッジ。鍵盤にはその弟コフィ・バーブリッジ。さらにマイク・マティソンを含むコーラス隊&ホーン・セクションが付く。ギターを持ってマイクに向かうスーザン・テデスキ。その向かって左側にデレク・トラックス。そして演奏が始まる。ふくよか且つ円やかなサザン・グルーヴ。もう1曲目から至福の空気が漂い始めます。そしてメンバーが観客に手拍子を促す。しかも2拍4拍ではなく、1拍目、3拍目も含む、緩い4つ打ちみたいな感じで。しかもこれが妙に南部っぽくてなんか堪りませんでしたね。曲は「Everybody's Talkin'」。フレッド・ニール~ハリー・ニルソンのフォークっぽい曲なんですが、それがこうもサザ~ンなノリになってしまうとは! スーザン・テデスキの土っぽくもソウルフルな声が響き、間奏ではデレクのギターが唸りを上げる。もう言う事ありません。

さらに2曲目は「Comin' Home」。デラニー&ボニーですよ!ほとんどハイライトとして演奏されてもおかしくないこのカヴァーがこんな序盤に登場するとは!もう感無量ですよ。 サザン~スワンプ色濃いサウンドに嬉々としていると、次は「Days Is Almost Gone」。デレク・トラックス・バンドの「ALREADY FREE」に収録されていた曲ですが、こちらはブルージー且つ古いR&Bの息吹を伝える演奏。ホーン隊(ケビ・ウィリアムス(sax)、モーリス・ブラウン(tp)、ソンダース・サーモンス(tb)の3人)が良い味わいを醸してましたね。スーザンの歌声も良い。途中の1節をマイク・マティソンがソウルフルに歌い上げると、場内から一際大きな拍手が(そもそも「ALREADY FREE」でこの曲を歌っているのはマイク・マティソンですからね)。そして何よりデレクのスライドですよ! ウェットな質感でジュルジュルと決めまくってました。格好良い~!

続いてマディ・ウォーターズの「Rollin And Tumblin」。スーザンの歌いかたや、ホーンリフが入る辺り、エルモア・ジェイムスを下敷きにしたのかもしれませんね。地を這うようなワン・コードをバックにスーザンがギター・ソロをとったのも良い感じでした。デレクのようなしなやかさはありませんが、その分より泥臭く無骨な感じ。歌だけでなくギターも姉御肌! さらに新作からの「Learn How To Love」ではブルージーな長尺ジャムとなり、デレクとスーザンによるギター・バトル的展開に。二人が向かい合ってギターを弾く様は絵になりましたね~。この曲ではフリーキーに暴れるサックス・ソロも圧巻でした。

そしてもう一人のコーラス・メンバー、マーク・リヴァースが素晴らしく艶のある歌声を聴かせてくれたスピリチュアル・ナンバー「Wade In The Water」。この人の声はいかにも黒人的なふくよかさがあって良かったですね~。そしてブルースあり、ゴスペルありの、こういう選曲に痺れましたね。面白いのはこのあと、トロンボーン奏者のソンダース・サーモンスが美しいテナー・ヴォイスを披露するんですが、なんて言いますか、コーラス隊の皆様どれだけ歌上手いんですか?みたいな。まさに人材豊富。さらにそのまま歌いながらメンバー紹介に入るという洒落た展開。甘いテナー・ヴォイスが次々にメンバーの名前を歌い上げていく。面白い!

そしてこの夜のハイライトの1曲と言っても良い「Darlin Be Home Soon」。ジョン・セバスチャンがウッドストックで歌った曲ですね。これまでの南部ノリとはまた違う、原曲のイメージをさほど壊さない浮遊感のあるメロウな雰囲気。この曲でのデレクのスライドっていうのはホント神がかってましたよ! 常に横向いた体勢で表情もほとんど変えずにまるで飛翔するが如くの昂揚感。あれはデレクならでは! そしてフジロックでもやってた「Nobodys Free」。これはサビを歌うスーザンのシャウトが凄かった! いったいどんな喉してるんでしょう? ハスキーなのにぶっとい芯がある。魂の咆哮。めちゃくちゃソウルフル!! そして間奏になると、デレク&コフィ・バーブリッジのジャム・セッション。デレクのジャズ/フュージョン的な展開やコフィのフルート・ソロなどジャム・バンドとしての資質も存分に見せてくれる。そして最後にはスーザンがまたもサビを強力シャウト! 堪りません~。

しかしスーザンの凄みはまだこれからでした。ボビー“ブルー”ブランドの「That Did It」。このブルージーなシャウトにも痺れましたね~。彼女の喉はホント凄い。この曲はフジロックでもやってたので、スーザンの十八番なんでしょうね。この人の本質はブルースに有りですよ! それぐらい堂に入った歌唱でしたね。そしてまたしてもスーザン自身がギター・ソロを弾く。現代のブルース・レディー、ここにあり!

いよいよステージも終盤。スティーヴィー・ワンダーの「Uptight」。弾力あるバンドの演奏が良かったですね。ファンキーなトランペット・ソロから、オテイルが6弦ベースをスキャットしながら弾きまくり、さらにドラムソロへ。二人のドラマーが重戦車の如くリズムを繰り出す。ディープでした。ラストは新作から「Bound For Glory」。この曲は良い曲ですね~。暖かくソウルフルなメロディーと、先程のシャウトとはまた違うオーガニックな響きを聴かせるスーザンのハスキー・ヴォイス。そしてコフィが素晴らしいオルガンを聴かせる。さらにデレクのスライド・ギターが駆け上り、バンド一丸となっての南部ソウル的盛り上がり。圧巻でした。拍手喝采のなか本編終了。

そしてアンコール。デレクのスライドに導かれて始まった「Midnight In Harlem」。これも最新作収録曲ですが、ゆったりとしたグルーヴが気持ち良い名曲ですね。スーザンの歌声と、コフィの弾くオルガンの音色、間奏で聴かせるメロウなサックス・ソロ。何もかも素晴らしかったです。そしてこういう曲で聴かせるデレクのスライド・ソロがまた強力! まるで徐々に解放されていくようなスピリチュアルな快感! ラストはファンキーな「Love Has Something Else To Say」。イントロが始まった瞬間にコーラス隊&ホーン隊が楽しそうに踊り出す。これが最後という幸福感全開の演奏。途中、ビートルズの「Why Don't We Do It In The Road?」を挟むという粋な展開。やっぱりスーザンは格好良かったです!

ほとんどMCなしで進められたステージ。最後にスーザンが少し喋っていましたが、その声がびっくりする程可愛らしい!! あの歌声にこの話し声?っていうギャップがまた素敵でした。


いや~、ホント素晴らしいライヴでした! なんて言いますかね、全体的にバンドの醸す空気感が良かったですね! ファンキーで、南部的で、そしてソウルフル。、ちょっと一口では言い表せないジャム・バンド的なミクスチャー・サウンド。そしてブラス隊&コーラス隊も含めて彼等がみな楽しそう! そしてそれを強烈な歌声でひっぱるスーザン・テデスキ! 彼女の堂々とした歌声には参りましたね。そしてやはりデレク・トラックスのギターですよ!! 流石でしたね。まず音色。鳴った瞬間から鳥肌もの。ソロはもちろん、スーザンのヴォーカルに対応するようなオブリガードもいちいち滲みる。やはりデレク・トラックス!!



この夜のセットリストはこんな感じだったようです↓

01. Everybody's Talkin'
02. Comin' Home
03. Days Is Almost Gone
04. Rollin And Tumblin
05. Learn How To Love
06. Wade In The Water
07. Stevie Groove
08. Darlin Be Home Soon
09. Nobodys Free
10. That Did It
11. Uptight
12. Bound For Glory
--------------------------
13. Midnight In Harlem
14. Love Has Something Else To Say


他の日のセットリストもネットに出回ってますが、曲順などかなりシャッフルされているものの、選曲自体はそれほど大きく変わってないかな?という印象でした。新作からのチョイスが若干違ったり、カヴァーではスライの「I Want to Take You Higher」やビートルズの「I've Got A Feeling」を演った日もあったようです。



*執筆当初、「Comin' Home」をデレク&ドミノスと記してしまいましたが、デラニー&ボニーですね。自分で書いてなんか違和感を感じて、よ~く思い出したらデラボニだよ!みたいな。訂正しました。すいませんでした…。


2011年 ベスト・アルバム  第1位!!

2012-02-11 19:15:36 | 2011年総括
PRESERVATION HALL JAZZ BAND & THE DEL McCOURY BAND / AMERICAN LEGACIES

なんか第1位が地味ですいません。でも個人的にはこのジャケ写を見ただけでガッツ・ポーズ!! な1枚なのです。

プリザベーション・ホール・ジャズ・バンドとデル・マッコーリー・バンドの共演盤。ニューオーリンズ・ジャズとブルーグラスです。異ジャンル同士のコラボレーションであり、黒人音楽と白人音楽の邂逅です。しかもそれぞれが古き良き伝統を守ってきたレジェンダリー・バンドですからね! ジャケット写真の佇まいからして、なんか歴史を切り取った1枚のような感じがしませんか?

ニューオーリンズ・ジャズ。1900年代初頭に隆盛を極め、現在まで続くジャズと呼ばれる全ての音楽の原点であります。発祥の地となったのはその名の通りニューオーリンズ。そのニューオーリンズはフレンチ・クウォーターの一角に「プリザベーション・ホール」という小さなジャズ・ホールがあります。1961年に開店したこのホールを根城とし、伝統のニューオーリンズ・ジャズを守り、後世に伝えているのがプリザベーション・ホール・ジャズ・バンドです。トランペット、トロンボーンなどの管楽器を中心に、ドラムス、ピアノ、バンジョーがリズムを担います。

一方、ブルーグラスは1940年代にビル・モンローのバンドが形作ったカントリー音楽の一形態。ドラムレスで、ギター、バンジョー、マンドリン、ウッド・ベース、フィドルといった弦楽器で編成されます。デル・マッコーリー・バンドは、60年代にそのビル・モンローのバックを務めたデル・マッコーリーを中心に、彼の息子達を加えて作られたバンド。多様化するブルーグラス・シーンにあって、その伝統的スタイルを守り続けているバンドです。

そんな両者、まさにアメリカン・レガシー、アメリカの遺産を守る2バンドによるコラボレーション。これが実に楽しい! 『プリザベーション・ホール・バンドが街にやって来た、デル・マッコーリーが街にやって来た~』と歌われる「The Band's In Town」で始まります。スウィンギーなリズムにのって管楽器、弦楽器が和気あいあいに同居し、ヴォーカルとコーラスのコール&レスポンスも楽しい。端的に言えば管楽器主体のジャズ・バンドと弦楽器主体のブルーグラス・バンドの合流な訳ですが、両者ではその“ノリ”が大分違うはず。ですがここでは見事に融合しています。これが音楽の面白いところであり、素晴らしいところ。

2曲目以降も「One Has My Name (The Other Has My Heart)」「Shoeshine Blues」「You Don't Have To Be A Baby」など、ニューオーリンズ・ジャズであり、ブルーグラスでもある、いや、それらとはまた違うアメリカン・ミュージックなのかもしれない、オールド・タイムでありながら、今生まれたような瑞々しさを持った音楽、そんな芳醇そのものな演奏が続きます。とにかくブラスとストリングスが織りなす多彩な色彩に心が躍ります。アップテンポの「Banjo Frisco」はバンジョーのアルペジオに加えてブラス・バンドっぽいノリのホーン隊が格好良い!そして誰もが知っているカントリー・クラシックでありニューオーリンズ・クラシックでもある「Jambalaya」。ラテンっぽいノリとチューバの低音グルーヴが堪らなく良いですね。 さらにゴスペル曲「I'll Fly Away」。ワンコーラス目はおそらくサックス奏者のClint Maedgenと思われる荒々しくもソウルフルな歌声が素晴らしく、2コーラス目にはデル・マッコーリーを中心にブルーグラスなコーラスを聴かせてくれる。そして間奏で弦楽器ソロから、クラリネットに引き継がれ、さらにホーン隊が入ってきてミューオーリンズな盛り上がりをみせる!堪りませんね!

また、デル・マッコーリーが作曲し、クラリネット、バンジョー、ピアノ、チューバというプリザベーション選抜コンボをバックに歌う「50/50 Chance」も良い味わいですし、ラストを締めるオールド・カントリーな風合いの「One More 'Fore I Die」も素晴らしい。この曲はプリザベーション・ホール・ジャズ・バンドのオリジナル曲のようですね。こういう曲を聴いてると、カントリーもジャズもあまり変わらないな、とさえ思えてくる。ニューオーリンズ音楽が好きで良かった! カントリーが好きで良かった! アメリカン・ルーツ・ミュージックが好きで良かった!

まあ、とにかく聴けば聴く程幸せになるようなアルバムですよ!


ちなみにこのコラボレーションはこの年各地でライヴを行ない、あのジャム・バンドの祭典ボナルー・フェスティヴァルにも出演しました。しかも「Bonnaroo (Feel the Magic )」というテーマ・ソングまで製作してしまいましたからね。この曲がまた良いんですよ!なんかセカンドライン&ブルーグラスな感じで。ま、それはまた別の話ですが、とにかく、アルバムだけでは終わらない活躍振りだった訳です。(フジロック、呼んでくれないですかね~。)




2011年 ベスト・アルバム  2位~3位

2012-02-10 14:32:49 | 2011年総括
第2位

BUDDY MILLER / THE MAJESTIC SILVER STRINGS
バデ・ミラーのソロ作と言うより、ザ・マジェスティック・シルヴァー・ストリングスというグループの作品と考えた方が良いかもしれません。メンバーはバディ・ミラーを中心にマーク・リボー、ビル・フリゼール、グレッグ・リーズという、現代のルーツ音楽シーンにおいて最も個性的で、最も面白く、最も信頼出来るギタリスト達。この4人が一同に会したグループ、それがザ・マジェスティック・シルヴァー・ストリングス。セッション・ギタリストとして、とりわけ音空間の演出に長けた4人が織りなす、深淵にして茫漠たるアメリカーナの風景。リズム隊はジェイ・ベルローズ(ds)&デニス・クロウチ(b)。こんなの素晴らしいに決まってるじゃないですか!

グレッグ・リーズの幻想的なスティール・ギターとビル・フリゼールの流麗な旋律に導かれる「Cattle Call」。マーク・リボーとビル・フリゼールによるロッキンなエレキ・ギターの絡み合いにバディ・ミラーのバリトン・ギターが割り込んでいく「No Good Lover」。そしてクレオール・フィドラーのキャンレイ・フォンテノットの名曲「Barres De La Prison」はマーク・リボーが選曲し彼自らが歌う曲。少ない音数で幽玄の広がりを魅せる彼等のバッキングがまた素晴らしい! それにしてもこのマーク・リボー。この人の存在感というのはやはり格別で、映画「駅馬車」で知られる名曲「Bury Me Not On The Lone Prairie」でのアコギによる暗澹たるフリーキーな表現も流石の一言。そのアコギに絡むノイジーな音響系ギターはおそらくビル・フリゼール。 そのビル・フリゼールの小気味良いピッキングが楽しめる「Freight Train」は、中盤からグレッグ・リーズのスティール、バディ・ミラーのバリトン、マーク・リボーのアコギも全面に繰り出し、その華麗なアンサンブルが素晴らしい。まあ、とにかく4人の織りなす、妖しく魔術的なギター・サウンドと、その麗しいカントリー・テイストに酔いしれます。ゲスト・ヴォーカルにはエミルー・ハリス、パティ・グリフィン、リーアン・ウーマック、ジュリー・ミラー、チョコレート・ジーニアスなどが参加。バディ・ミラーらしい人選と、彼らしいカントリーとブラック・ミュージックの邂逅も垣間見せてくれます。ラストを締める、ビル・フリゼールが作曲し、バディ&ジュリー夫妻が歌う静かなゴスペル曲「God's Wing'ed Horse」も絶品!


第3位

BEYONCE / 4
ビヨンセ最強!! 第3位ですけどビヨンセ最強!! とにかくビヨンセの歌唱、これにつきます。スタジオ作でこれだけ生々しく歌えるシンガーが他にいますか? とにかく圧倒されます。所謂ヒップホップ以降のR&Bというジャンルには、トラック至上主義と言いますか、ことスタジオ作においては「歌も楽曲の1パーツ」的な風潮が確かにあると思います。もちろんそれが間違いだとも思いませんが、私はもっと歌からソウルを、歌からリズムを感じたいんです。さて、そこでビヨンセです。そういう意味でも彼女のライヴが凄まじいことは周知の事実でしょうが、スタジオ作においても枚数を重ねるごとに歌に対する比重を確実に上げてきています。今作はそんな彼女の4枚目のソロ・アルバム。ドキドキしながら聴き始めた1曲目「1+1」から彼女のスピリチュアル且つリアリスティックな歌唱にゾクゾクさせられました。その後はただただ歌の波に飲み込まれていく感じ。まさに歌!歌!歌! 最後までビヨンセの生々しい歌声が躍動しまくります。もう堪りません。これほど肉感的な歌声というのはちょっと他にないですよ。

作風としては前作、そしてそれに伴うツアーの路線を引き継いだ印象。特にツアーの熱気とスケール感をそのままスタジオに持ってきたような感じ。まさにビヨンセ流の王道路線。しかしその分、あまりにも王道すぎるという難点もあったりするんですが、ビヨンセの歌そのものから感じる興奮度はそれを軽く凌駕します。スロー/ミドル中心の楽曲なのに、ビヨンセの歌声から受ける印象はやたら力強く弾力的。声のハリとキレが半端ない。エモーショナルな感情表現と同時に、バネのようなリズム感を醸し出す。抜群の声量と伸びやかな歌唱は突き抜けるような開放感を感じさせる。ベイビー・フェイスの美メロを昂揚感たっぷりに歌い上げる「Best Thing I Never Had」、軽やかな弾け具合に心が躍るザ・ドリーム&シェイ・テイラーによるアップ・ナンバー「Love On Top」、そしてスイッチが関わった脅威のエギゾチック・ナンバー「Run The World (Girls)」など。でかい音で、桁違いの歌唱を存分に堪能したいアルバム。

2011年 ベスト・アルバム  4位~10位

2012-02-09 13:28:37 | 2011年総括
第4位

JIM LAUDERDALE / REASON AND RHYME
日本では特に地味な存在かもしれませんが、アメリカン・ルーツ・ミュージック界において確かな足跡を残してきたジム・ローダーデイル。近年はカントリー・ロック作とブルーグラス作を交互に出している印象ですが、今作はブルーグラス作品。私はジム・ローダーデイルが大好きで、当ブログでもことあるごとにプッシュしてきたつもりですが、今作は彼の最高傑作と言っても過言ではない名盤ですよ! いわゆるブルーグラスなんですが、とにかく曲が良い! なんて言いますか響きがロマンチックなんですよ。前作に引き続き作詞家ロバート・ハンター(グレイトフル・デッドで有名なあの方)との共作。そういう点では、アメリカーナ/カントリー・ロック作だった前作に対して、こちらはそのブルーグラス編と考えてもいいかもしれません。プロデュースを務めたRANDY KOHRSの仕事も見事!彼のスライド・ギターの妙技を含む弦楽器のアンサンブルが奏でる、スピード感と哀愁たっぷりのブルーグラス。 もちろんジムの歌も良い!


第5位

BLACK DUB / BLACK DUB
名プロデューサー、ダニエル・ラノワのバンド作。これは格好良い! 正直な話、某CDショップで試聴したときはピンと来なかったんですけど、ラノワ来日の報を聞いて購入してみたらすこぶる良かったという。メンバーは、ダリル・ジョンソン(b)、ブライアン・ブレイド(ds)、トリクシー・ウィートリー(vo)。やはりラノワのギターを中心にした音響空間に魅せられる。黒々とした立体感はなるほどダビーな質感。そして女性シンガーのトリクシー・ウィートリーが良い!! 白人の方らしいのですが、もの凄く黒っぽい。スロー・ナンバー「Surely」のソウルネスには参りました。宇宙観たっぷりの「Ring the Alarm」も格好良い!(本国では2010年リリースのようですが、日本盤は2011年に出たので、強引にこちらに入れさせて頂きました。)


第6位

REBIRTH BRASS BAND / REBIRTH OF NEW ORLEANS
今やニューオーリンズを代表するブラス・バンドであるリバース・ブラス・バンドの最新作。ギラギラと艶光りするホーンの音色が縦横無尽に交差する。これぞブラス・バンド! これぞニューオーリンズですよ! 1曲目「Exactly Like You」の出だしからもう嬉しくなっちゃいましたね。私がリバースを知った90年代初頭の頃はまだ血気盛んな若手のイメージでしたが、もはやベテランの風格と味わいすら感じさせる。スーザフォンがリードする「I Like It Like That」のようなファンキー曲も最高。パシパシと硬い音でハネまくるスネアがまた素晴らしい! こういうバンドがニューオーリンズをパレードする様が目に浮かんでくるよう。


第7位

RON SEXSMITH / LONG PLAYER LATE BLOOMER
これ程までにグッド・メロディが詰まったアルバムもそうそうないと思われる傑作。「Get In Line」「The Reason Why」「Miracles」「No Help At All」など、まるで緩やかな陽光のような爽やかさの中で、蒼く切ない風景がフラッシュバックしていくような感じ。プロデュースはボブ・ロック。彼の作り出す粒立ちのはっきりした艶やかな音像が、ロン・セクスミスのポップ感を全面に押し出し、今作をキラキラと輝かせています。「Believe It When I See It」や「Love Shines」のめくるめくメロディー・ラインとそれを鮮やかに際立たせる絶妙のアレンジ。ロンの物憂げな歌声も素敵です。良いメロディと、素朴なエモーショナル、それを可能なかぎり暖かく表現したような名盤です。


第8位

G.LOVE / FIXIN' TO DIE
G・ラヴ流のルーツ作品。アヴェット・ブラザーズがプロデュース他全面強力。1曲目「Milk And Sugar」から土っぽく猥雑なノリが炸裂。独特に跳ねたグルーヴと軽妙なモグラップに胸が躍ります。タイトル曲「Fixin' To Die」はブッカ・ホワイト~ボブ・ディランのカヴァー。泥臭く唸るように歌うG・ラヴ流ブルース表現と中盤のハーモニカ・ソロにやられます。アンニュイなメロディーをブルージーな小品に仕立てた「Heaven」も秀逸。ポール・サイモンの「50 Ways To Leave Your Lover」のカヴァーも技ありの格好良さ!これまでにないカントリー・スタイルを強く感じさせる作品ながら、いかにもなG・ラヴらしいヒップ感を濃厚に感じさせられるあたりに脱帽です。


第9位

SEUN ANIKULAPO KUTI & EGYPT 80 / FROM AFRICA WITH FURY: RISE
アフロビートの始祖フェラ・クティの後継者シェウン・クティ。彼がフェラのバック・バンドだったエジプト80を率いたソロ2作目。大地からめらめらと沸き上がるようなビートに、踊るようにうねりまくるベースライン、そこへ畳み掛けるホーン隊、全てがエネルギッシュに絡み合いながら押し寄せる超強力アフロビート! これ以上にない弾力性と、しなやかな切れ味を持ちながら、いつ尽きるとも知れないドロドロな無限グルーヴ。シェウンの精悍さを感じさせる歌声も良い! アフリカの土着性とアーバンなファンクが渾然一体となって攻め寄せる!


第10位

LUCINDA WILLIAMS / BLESSED
ルシンダ姐さん!! この存在感抜群の歌声。やられますね~。ささくれだった質感から時折、吐息のように憂いが漏れる。とにかく引き込まれる。彼女の歌声は何度も聴いているのに聴く度に新鮮。そしてバックの演奏が良い。 特にギター! ヴァル・マッカラム、グレック・リーズという名手に加え、数曲でエルヴィス.コステロも弾いてるようです。どこを誰が弾いているのか私にはよく分からないものの、その響きといい、フレージングといい、とにかく格好良い! どっぷりとしたアメリカーナにギラリとしたロック感が光る作品。

2011年 ベスト・アルバム 11位~20位

2012-02-09 00:49:28 | 2011年総括
第11位

Warren Haynes / Man in Motion
オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリストであり、ガヴァメント・ミュールを率いるウォーレン・ヘインズのソロ作。バックにはジョージ・ポーター・JR.、アイヴァン・ネヴィル、レイモンド・ウェバーといったニューオーリンズ勢が参加。しかも固定バンドとしてレコーディングされたようで、トータル的なバンド感が濃厚。しかしニューオーリンズ的ではなくあくまでもウォーレン・ヘインズの世界。でも何故かこのグルーヴ感が私にとってことのほか気持ち良いのは、やはりニューオーリンズの成せる技でしょうか?


第12位

Kelly Price / Kelly
ゴスペル育ちのR&Bシンガー、ケリー・プライス。彼女の通算5作目(クリスマス・アルバムを除いて)となる最新作。1曲目「Tired」から深くパワフルな歌声に持っていかれます。「The Rain」での終盤へ向けてソウルを貯めていくようなスケール感は鳥肌もの。モータウンを思わせるアップ曲「Vexed」の弾けっぷりにもやられます。こういう作品を聴くと、まだまだR&Bも捨てたもんじゃないな、と思いますね。


第13位

EMMYLOU HARRIS / HARD BARGAIN
全体を貫く、幽玄としながらも人肌の暖かさをもったサウンドが素晴らしい。落ちついたエミルーの歌声は凛として優しい。グラム・パーソンズと過ごした日々を歌ったという「The Road」や、2010年に亡くなったケイト・マクギャリグル(エミルーの前作にもコーラスで参加していた)に捧げた「Darlin' Kate」など。タイトル曲「Hard Bargain」はロン・セクスミスのカヴァー。


第14位

CORNELL DUPREE / DOIN' ALRIGHT
コーネル・デュプリーの最新ソロ作にして遺作となってしまったこのアルバム。故郷テキサスで録音。これは制作側のコーネル・デュプリー愛を感じさせる作品ですね。まさにこういうコーネル・デュプリーが聴きたかった!いぶし銀の魅力ながら、まるでギターが語りかけてくるようなフィーリング。このタイム感が堪らない。


第15位

VA / THE LOST NOTEBOOKS OF HANK WILLIAMS
カントリー界のみならず、広くアメリカン・ミュージックに多大な影響を残した伝説的人物ハンク・ウィリアムス。彼は53年に29歳という若さで逝ってしまいましたが、その時歌詞や曲のアイデアが書かれたノートが残されました。時を経てそのノートを元に、ボブ・ディラン、ノラ・ジョーンズ、ルシンダ・ウィリアムス、レヴォン・ヘルムなどが新たな命を吹き込んだのがこの作品。なんかロマンを感じますよね。こういうの好きです。


第16位

ARETHA FRANKLIN / ARETHA: A WOMAN FALLING OUT OF LOVE
クイーン・オブ・ソウル、アレサ・フランクリンの最新作。クリスマス・アルバムを覗けば03年の「SO DAMN HAPPY」以来8年振りだそう。まあ凄いですよ!全てを包み込むような大きな歌。自由奔放でいて包容力に溢れてる。自作の「How Long I've Been Waiting」も素晴らしいですし、カレン・クラーク・シェアードと魂をぶつけ合うのようなゴスペル曲「Faithful」も強力。


第17位

MARCIA BALL / ROADSIDE ATTRACTIONS
ルイジアナ/テキサスのピアノ・ウーマン、マーシャ・ボール。1曲目「That's How It Goes」からスワンプ臭濃厚なノリに嬉しくなってしまいます。弾力抜群の鍵盤も、貫禄すら感じさせる歌声も、気持ち良い程絶好調! ホーンもゴキゲンな「We Fell Hard」も良いですし、スロー・ナンバー「This Used To Be Paradise」も味わい深い。


第18位

JOLIE HOLLAND + THE GRAND CHANDELIERS / PINT OF BLOOD
バックにSHAHZAD ISMAILYとGREY GERSTENという切れ者達を従えたジョリー・ホランドの最新作。この人の歌声が作る空気感というのは特別なものがありますね。オルタナティヴのようでもあり、古いブルースのようでもある。陰影の深いニュアンスでアメリカーナの移ろいを描いていくよう。バックの演奏も秀逸。1曲でマーク・リボーも参加。


第19位

Booker T. Jones / Road from Memph
ブッカー・Tとザ・ルーツがまさかこれ程までに相性が良いとは! ジム・ジェームス、ルー・リードなど豪華ゲスト・ヴォーカル陣を配しながらも、インスト曲がすこぶる格好良い! クエストラヴを中心にキレのあるしなやかなグルーヴを提供するザ・ルーツに対し、あくまでも無骨なプレイに徹するブッカー・T のハモンド。一見ミス・マッチな両者の邂逅がミラクルを生んでます。


第20位

TEDESCHI TRUKS BAND / REVELATOR
デレク・トラックス&スーザン・テデスキ夫妻によるニュー・バンド。スーザンの土っぽくもソウルフルな歌声に、デレクの天翔るスライド。もちろん熟練のバンドも最高。 サザン・ロックに加え、ジャム・バンド世代ならではの風通しの良い爽快なサウンドが気持ち良い。で、実は楽曲も相当良い!