BOBBY WOMACK / RAW
2月22日、ラスト・ソウル・マンことボビー・ウーマックのライヴを観に、ビルボードライヴ東京へ行ってまいりました。私が観たのはこの日の1stショー。今回の来日公演の初回ライヴです。
もうね、ボビー・ウーマックが来るっていうだけで結構なミラクルですよ! なにせ17年振りの来日ですから。ソウル・ファンの誰もが待ち望んだ待望の来日公演ですよ!チケットの売れ行きも異様に早やかったようですしね。ちなみに私はカジュアル席、ステージ向かって右サイドから見下ろす感じの席を予約しました。
開演予定時刻から少し遅れて始まったステージ。まずはバンド・メンバーが登場。ドラムス、ベース、ギター、キーボード×2、ホーン隊3名、女性コーラス3名という大所帯。ファンキーなリズムが“ラスト・ソウル・マン”への期待をさらに募らせるなか、程なくして左奥からボビー・ウーマックが姿を現す。いきなり観客の握手攻めに遭いながらステージに上がる。 真っ赤なスーツに真っ赤な帽子。挨拶代わりにロング・シャウトを決める!!本物です!!
いきなり代表曲「Across 110th Street」。72年の映画「110番街交差点」のタイトル曲。ニュー・ソウル~ブラック・シネマというあの時代の名曲ですよね。これを生で聴ける喜び。ホーン隊が良い感じ。そして「シャナナ~」のコーラスが印象的な「Harry Hippie」。この曲ではバック・ヴォーカルの女性の一人が前に出てきて、艶やか且つパンチの効いた美声を披露してくれました。さらにフリー・ソウル界隈でも人気のメロウ・ファンキーな「Daylight」。そこからしっとりスローな「I Wish He Didn't Trust Me So Much」へ。
いつしかボビーはジャケットも帽子も脱いでかなりラフな感じに。その雰囲気はほとんど酔っぱらった田舎のおじいちゃんな態であり、声にもそんな年輪を感じさせる渋みと灰汁が濃厚でありながら、衰え知らずなディープ・シャウトを決めまくる。しかもそれでいてトロットロなソウル感を醸すという、老いてなお盛んな超人振り。いや~、凄いですよ。まさにラスト・ソウル・マンここに有りです! しかも、やたら語る。スローな曲などでは特に曲中で語る。でもその語りが妙にソウルフルで、さらに歌い始めの声でグワッ!と持っていく。その辺のさじ加減にも脱帽。
大名曲「That's The Way I Feel About Cha」。これほどミラーボールが似合う曲もあまりないんじゃないですか? 上から眺めてると会場中がキラキラしてて、それとこの曲のメロウネスが合わさってホント夢心地でした。途中、コーラス隊とは別の女性が一人紹介され、一節を歌っていましたが、誰だったんですかね?ボビーの娘さんですか?ちょっと分かりませんでしたが…。続いてまたも大名曲「Woman's Gotta Have It」。いや~、大好きなんですよ、この曲! ネヴィル・ブラザーズのカヴァーも素敵ですけどね、やっぱり本家本元ですよ!さらに「(You're Welcome) Stop On By」。しかも曲中でマーヴィン・ゲイについて語り出し「What's Going On」を歌い出すという展開。良いですね~。それにしてもこの中盤に70年代前半の名曲を固め打ちされたのには参りましたね。やはりこの時代のボビー・ウーマックは特別ですよね。
71年にユナイテッド・アーティスツからリリースした最初のアルバム、それが「That's The Way I Feel About Cha」を収録した「COMMUNICATION」でした。このアルバムから既にボビー自身のセルフ・プロデュースによって、サザン・フィーリング&ニュー・ソウルな独特の音世界を確立していました。これってかなりヒップな感覚だったと思うんです。ボビーの凄みって言うのは、シンガー、ギタリスト、ソングライターとして超一流であることはもちろんなんですが、それ以上に彼ならではの空気感をものにするプロデュース力にあったと思うんです。そういった空気感て言うのは、もちろんライヴにも顕著だったと思います。バンド・サウンドを自分の手足のように操るボビー。その動きはおじいちゃんの如くに怪しい感じでありながら、その腕の一振りにバンドが着いていく。そしてブラス・セクションを煽り、コーラス隊を鼓舞し、その空気を徐々にディープに染めていく。老いたとは言えまぎれもないボビー・ウーマックのソウル感ですよ!
そして案外この日のハイライトは次の曲だったかもしれません。まずバックの演奏無しでボビーが「ア~~~~~」と渋いシャウトで唸り出す。もうこの声が素晴らしく味わい深くて、さらに「ワズボ~~ン」と来てバンドのリズムが合流。場内から割れんばかりの拍手。「A Change Is Gonna Come」です。サム・クックですよ! ボビー・ウーマックってソロ・デビュー前はヴァレンティノスとしてサム・クックのサー・レコードに所属してたんですよね。サム・クックのバックでギターも弾いてました。言わば師匠ですよ。なんか感慨深かったですね~。さらにこの曲では先程とは違う女性バック・ヴォーカルの一人がフューチャーされてまして、実は後で知ったことなんですが、この女性、サム・クックのお孫さんらしいです。
そしてそのヴァレンティノス時代の「Looking For A Love」。この曲ではボビーのもう立っちゃおうよ!的なジェスチャーで観客総立ちに。81年「POET」からのヒット曲「If You Think You're Lonely Now」。これも良い曲ですよね~。ボビー・ウーマックならではのメロウな感覚が堪らない! さらに『ジーザス!~』というサビが印象的な曲。この曲はちょっとよく分からなかったんですが、どうやら「Jesus Be A Fence Around Me」という曲だったようです。99年のゴスペル作「BACK TO MY ROOTS」に収録された曲ですね。作者はなんとサム・クック! ソウル・スターラーズ時代の曲ですね。元々ボビーはゴスペル・グループからキャリアを始めたことを考えれば、それを伺わせるこういう選曲も嬉しいですね。
さらにアルトサックスの素晴らしいイントロから始まった「 (No Matter How High I Get) I'll Still Be Looking Up to You」。このスローも味わい深かった!そしてラストはこれも名曲「Love Has Finally Come At Last」。ボビーの込み上げるようにソウルフルな歌唱にゾクゾクさせられました。またコーラス隊との兼ね合いも見事! 最後は真っ赤なジャケットを着直し、帽子も被り、そして再び握手攻めに遭いながら退場。まさにラスト・ソウル・マン!
1時間20分ぐらいだったでしょうか?もう少し演ってたのかな?かなり押してたようですけどね。全盛期やもう少し若い頃のボビー・ウーマックを体験している方々にとっては、色々な意味で感慨深いものがあったかもしれません。でも私は今回が初めてだったので、まず、観れて良かった! そしてボビー・ウーマックのソウルを充分過ぎる程、堪能出来ました。67歳ですからね。歩く時は杖を突いてましたし、体調も悪いという噂もあります。確かに椅子に座って歌っている時間も長かったかも。それでも1日2ステージ×2日ですからね。凄いです!天晴です!!
あ、そう言えば、何処かの曲のイントロでボビーは一回だけアコースティック・ギターを弾いてました。でももどの曲だったか忘れてしまいました…。正直、そのギタープレイについては、良いんだか悪いんだかよく分からないうちに終わってしまったような感じでしたが、何はともあれ、ボビーがギターを弾く姿が観れて良かったです!
セットリストは以下のような感じだったようです。(間違いがあったらごめんなさいね)
01. Opening
02. Across 110th Street
03. Nobody Wants You When You're Down & Out
04. Harry Hippie
05. Daylight
06. I Wish He Didn't Trust Me So Much
07. That's The Way I Feel About Cha
08. Woman's Gotta Have It
09. (You're Welcome) Stop On By
10. A Change Is Gonna Come
11. Looking For A Love
12. If You Think You're Lonely Now
13. Jesus Be A Fence Around Me
14. (No Matter How High I Get) I'll Still Be Looking Up to You
15. Love Has Finally Come At Last
BOBBY WOMACK(Vocals)
LISA FRAZIER(Vocals)
LISA COULTER(Vocals)
ZEKKUJCHAGULA ZEKKARIYAS(Background Vocals)
CORI JACOBS(Keyboards)
SUNDRA MANNING(Keyboards)
CHARLES GREEN(Saxophone)
BRIAN MANTZ(Trumpet)
Ermuelito Navarro(Trombone)
WOODWARD APLANALP(Guitar)
ELBERT ALLEN JR(Bass)
ARNOLD RAMSEY(Drums)
*写真は会場で買ったボビーのCD。2010年リリースのアンプラグド的なライヴ盤のようです。
2月22日、ラスト・ソウル・マンことボビー・ウーマックのライヴを観に、ビルボードライヴ東京へ行ってまいりました。私が観たのはこの日の1stショー。今回の来日公演の初回ライヴです。
もうね、ボビー・ウーマックが来るっていうだけで結構なミラクルですよ! なにせ17年振りの来日ですから。ソウル・ファンの誰もが待ち望んだ待望の来日公演ですよ!チケットの売れ行きも異様に早やかったようですしね。ちなみに私はカジュアル席、ステージ向かって右サイドから見下ろす感じの席を予約しました。
開演予定時刻から少し遅れて始まったステージ。まずはバンド・メンバーが登場。ドラムス、ベース、ギター、キーボード×2、ホーン隊3名、女性コーラス3名という大所帯。ファンキーなリズムが“ラスト・ソウル・マン”への期待をさらに募らせるなか、程なくして左奥からボビー・ウーマックが姿を現す。いきなり観客の握手攻めに遭いながらステージに上がる。 真っ赤なスーツに真っ赤な帽子。挨拶代わりにロング・シャウトを決める!!本物です!!
いきなり代表曲「Across 110th Street」。72年の映画「110番街交差点」のタイトル曲。ニュー・ソウル~ブラック・シネマというあの時代の名曲ですよね。これを生で聴ける喜び。ホーン隊が良い感じ。そして「シャナナ~」のコーラスが印象的な「Harry Hippie」。この曲ではバック・ヴォーカルの女性の一人が前に出てきて、艶やか且つパンチの効いた美声を披露してくれました。さらにフリー・ソウル界隈でも人気のメロウ・ファンキーな「Daylight」。そこからしっとりスローな「I Wish He Didn't Trust Me So Much」へ。
いつしかボビーはジャケットも帽子も脱いでかなりラフな感じに。その雰囲気はほとんど酔っぱらった田舎のおじいちゃんな態であり、声にもそんな年輪を感じさせる渋みと灰汁が濃厚でありながら、衰え知らずなディープ・シャウトを決めまくる。しかもそれでいてトロットロなソウル感を醸すという、老いてなお盛んな超人振り。いや~、凄いですよ。まさにラスト・ソウル・マンここに有りです! しかも、やたら語る。スローな曲などでは特に曲中で語る。でもその語りが妙にソウルフルで、さらに歌い始めの声でグワッ!と持っていく。その辺のさじ加減にも脱帽。
大名曲「That's The Way I Feel About Cha」。これほどミラーボールが似合う曲もあまりないんじゃないですか? 上から眺めてると会場中がキラキラしてて、それとこの曲のメロウネスが合わさってホント夢心地でした。途中、コーラス隊とは別の女性が一人紹介され、一節を歌っていましたが、誰だったんですかね?ボビーの娘さんですか?ちょっと分かりませんでしたが…。続いてまたも大名曲「Woman's Gotta Have It」。いや~、大好きなんですよ、この曲! ネヴィル・ブラザーズのカヴァーも素敵ですけどね、やっぱり本家本元ですよ!さらに「(You're Welcome) Stop On By」。しかも曲中でマーヴィン・ゲイについて語り出し「What's Going On」を歌い出すという展開。良いですね~。それにしてもこの中盤に70年代前半の名曲を固め打ちされたのには参りましたね。やはりこの時代のボビー・ウーマックは特別ですよね。
71年にユナイテッド・アーティスツからリリースした最初のアルバム、それが「That's The Way I Feel About Cha」を収録した「COMMUNICATION」でした。このアルバムから既にボビー自身のセルフ・プロデュースによって、サザン・フィーリング&ニュー・ソウルな独特の音世界を確立していました。これってかなりヒップな感覚だったと思うんです。ボビーの凄みって言うのは、シンガー、ギタリスト、ソングライターとして超一流であることはもちろんなんですが、それ以上に彼ならではの空気感をものにするプロデュース力にあったと思うんです。そういった空気感て言うのは、もちろんライヴにも顕著だったと思います。バンド・サウンドを自分の手足のように操るボビー。その動きはおじいちゃんの如くに怪しい感じでありながら、その腕の一振りにバンドが着いていく。そしてブラス・セクションを煽り、コーラス隊を鼓舞し、その空気を徐々にディープに染めていく。老いたとは言えまぎれもないボビー・ウーマックのソウル感ですよ!
そして案外この日のハイライトは次の曲だったかもしれません。まずバックの演奏無しでボビーが「ア~~~~~」と渋いシャウトで唸り出す。もうこの声が素晴らしく味わい深くて、さらに「ワズボ~~ン」と来てバンドのリズムが合流。場内から割れんばかりの拍手。「A Change Is Gonna Come」です。サム・クックですよ! ボビー・ウーマックってソロ・デビュー前はヴァレンティノスとしてサム・クックのサー・レコードに所属してたんですよね。サム・クックのバックでギターも弾いてました。言わば師匠ですよ。なんか感慨深かったですね~。さらにこの曲では先程とは違う女性バック・ヴォーカルの一人がフューチャーされてまして、実は後で知ったことなんですが、この女性、サム・クックのお孫さんらしいです。
そしてそのヴァレンティノス時代の「Looking For A Love」。この曲ではボビーのもう立っちゃおうよ!的なジェスチャーで観客総立ちに。81年「POET」からのヒット曲「If You Think You're Lonely Now」。これも良い曲ですよね~。ボビー・ウーマックならではのメロウな感覚が堪らない! さらに『ジーザス!~』というサビが印象的な曲。この曲はちょっとよく分からなかったんですが、どうやら「Jesus Be A Fence Around Me」という曲だったようです。99年のゴスペル作「BACK TO MY ROOTS」に収録された曲ですね。作者はなんとサム・クック! ソウル・スターラーズ時代の曲ですね。元々ボビーはゴスペル・グループからキャリアを始めたことを考えれば、それを伺わせるこういう選曲も嬉しいですね。
さらにアルトサックスの素晴らしいイントロから始まった「 (No Matter How High I Get) I'll Still Be Looking Up to You」。このスローも味わい深かった!そしてラストはこれも名曲「Love Has Finally Come At Last」。ボビーの込み上げるようにソウルフルな歌唱にゾクゾクさせられました。またコーラス隊との兼ね合いも見事! 最後は真っ赤なジャケットを着直し、帽子も被り、そして再び握手攻めに遭いながら退場。まさにラスト・ソウル・マン!
1時間20分ぐらいだったでしょうか?もう少し演ってたのかな?かなり押してたようですけどね。全盛期やもう少し若い頃のボビー・ウーマックを体験している方々にとっては、色々な意味で感慨深いものがあったかもしれません。でも私は今回が初めてだったので、まず、観れて良かった! そしてボビー・ウーマックのソウルを充分過ぎる程、堪能出来ました。67歳ですからね。歩く時は杖を突いてましたし、体調も悪いという噂もあります。確かに椅子に座って歌っている時間も長かったかも。それでも1日2ステージ×2日ですからね。凄いです!天晴です!!
あ、そう言えば、何処かの曲のイントロでボビーは一回だけアコースティック・ギターを弾いてました。でももどの曲だったか忘れてしまいました…。正直、そのギタープレイについては、良いんだか悪いんだかよく分からないうちに終わってしまったような感じでしたが、何はともあれ、ボビーがギターを弾く姿が観れて良かったです!
セットリストは以下のような感じだったようです。(間違いがあったらごめんなさいね)
01. Opening
02. Across 110th Street
03. Nobody Wants You When You're Down & Out
04. Harry Hippie
05. Daylight
06. I Wish He Didn't Trust Me So Much
07. That's The Way I Feel About Cha
08. Woman's Gotta Have It
09. (You're Welcome) Stop On By
10. A Change Is Gonna Come
11. Looking For A Love
12. If You Think You're Lonely Now
13. Jesus Be A Fence Around Me
14. (No Matter How High I Get) I'll Still Be Looking Up to You
15. Love Has Finally Come At Last
BOBBY WOMACK(Vocals)
LISA FRAZIER(Vocals)
LISA COULTER(Vocals)
ZEKKUJCHAGULA ZEKKARIYAS(Background Vocals)
CORI JACOBS(Keyboards)
SUNDRA MANNING(Keyboards)
CHARLES GREEN(Saxophone)
BRIAN MANTZ(Trumpet)
Ermuelito Navarro(Trombone)
WOODWARD APLANALP(Guitar)
ELBERT ALLEN JR(Bass)
ARNOLD RAMSEY(Drums)
*写真は会場で買ったボビーのCD。2010年リリースのアンプラグド的なライヴ盤のようです。