ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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2011年 ベスト・アルバム  2位~3位

2012-02-10 14:32:49 | 2011年総括
第2位

BUDDY MILLER / THE MAJESTIC SILVER STRINGS
バデ・ミラーのソロ作と言うより、ザ・マジェスティック・シルヴァー・ストリングスというグループの作品と考えた方が良いかもしれません。メンバーはバディ・ミラーを中心にマーク・リボー、ビル・フリゼール、グレッグ・リーズという、現代のルーツ音楽シーンにおいて最も個性的で、最も面白く、最も信頼出来るギタリスト達。この4人が一同に会したグループ、それがザ・マジェスティック・シルヴァー・ストリングス。セッション・ギタリストとして、とりわけ音空間の演出に長けた4人が織りなす、深淵にして茫漠たるアメリカーナの風景。リズム隊はジェイ・ベルローズ(ds)&デニス・クロウチ(b)。こんなの素晴らしいに決まってるじゃないですか!

グレッグ・リーズの幻想的なスティール・ギターとビル・フリゼールの流麗な旋律に導かれる「Cattle Call」。マーク・リボーとビル・フリゼールによるロッキンなエレキ・ギターの絡み合いにバディ・ミラーのバリトン・ギターが割り込んでいく「No Good Lover」。そしてクレオール・フィドラーのキャンレイ・フォンテノットの名曲「Barres De La Prison」はマーク・リボーが選曲し彼自らが歌う曲。少ない音数で幽玄の広がりを魅せる彼等のバッキングがまた素晴らしい! それにしてもこのマーク・リボー。この人の存在感というのはやはり格別で、映画「駅馬車」で知られる名曲「Bury Me Not On The Lone Prairie」でのアコギによる暗澹たるフリーキーな表現も流石の一言。そのアコギに絡むノイジーな音響系ギターはおそらくビル・フリゼール。 そのビル・フリゼールの小気味良いピッキングが楽しめる「Freight Train」は、中盤からグレッグ・リーズのスティール、バディ・ミラーのバリトン、マーク・リボーのアコギも全面に繰り出し、その華麗なアンサンブルが素晴らしい。まあ、とにかく4人の織りなす、妖しく魔術的なギター・サウンドと、その麗しいカントリー・テイストに酔いしれます。ゲスト・ヴォーカルにはエミルー・ハリス、パティ・グリフィン、リーアン・ウーマック、ジュリー・ミラー、チョコレート・ジーニアスなどが参加。バディ・ミラーらしい人選と、彼らしいカントリーとブラック・ミュージックの邂逅も垣間見せてくれます。ラストを締める、ビル・フリゼールが作曲し、バディ&ジュリー夫妻が歌う静かなゴスペル曲「God's Wing'ed Horse」も絶品!


第3位

BEYONCE / 4
ビヨンセ最強!! 第3位ですけどビヨンセ最強!! とにかくビヨンセの歌唱、これにつきます。スタジオ作でこれだけ生々しく歌えるシンガーが他にいますか? とにかく圧倒されます。所謂ヒップホップ以降のR&Bというジャンルには、トラック至上主義と言いますか、ことスタジオ作においては「歌も楽曲の1パーツ」的な風潮が確かにあると思います。もちろんそれが間違いだとも思いませんが、私はもっと歌からソウルを、歌からリズムを感じたいんです。さて、そこでビヨンセです。そういう意味でも彼女のライヴが凄まじいことは周知の事実でしょうが、スタジオ作においても枚数を重ねるごとに歌に対する比重を確実に上げてきています。今作はそんな彼女の4枚目のソロ・アルバム。ドキドキしながら聴き始めた1曲目「1+1」から彼女のスピリチュアル且つリアリスティックな歌唱にゾクゾクさせられました。その後はただただ歌の波に飲み込まれていく感じ。まさに歌!歌!歌! 最後までビヨンセの生々しい歌声が躍動しまくります。もう堪りません。これほど肉感的な歌声というのはちょっと他にないですよ。

作風としては前作、そしてそれに伴うツアーの路線を引き継いだ印象。特にツアーの熱気とスケール感をそのままスタジオに持ってきたような感じ。まさにビヨンセ流の王道路線。しかしその分、あまりにも王道すぎるという難点もあったりするんですが、ビヨンセの歌そのものから感じる興奮度はそれを軽く凌駕します。スロー/ミドル中心の楽曲なのに、ビヨンセの歌声から受ける印象はやたら力強く弾力的。声のハリとキレが半端ない。エモーショナルな感情表現と同時に、バネのようなリズム感を醸し出す。抜群の声量と伸びやかな歌唱は突き抜けるような開放感を感じさせる。ベイビー・フェイスの美メロを昂揚感たっぷりに歌い上げる「Best Thing I Never Had」、軽やかな弾け具合に心が躍るザ・ドリーム&シェイ・テイラーによるアップ・ナンバー「Love On Top」、そしてスイッチが関わった脅威のエギゾチック・ナンバー「Run The World (Girls)」など。でかい音で、桁違いの歌唱を存分に堪能したいアルバム。


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