ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

2011年 ベスト・アルバム  4位~10位

2012-02-09 13:28:37 | 2011年総括
第4位

JIM LAUDERDALE / REASON AND RHYME
日本では特に地味な存在かもしれませんが、アメリカン・ルーツ・ミュージック界において確かな足跡を残してきたジム・ローダーデイル。近年はカントリー・ロック作とブルーグラス作を交互に出している印象ですが、今作はブルーグラス作品。私はジム・ローダーデイルが大好きで、当ブログでもことあるごとにプッシュしてきたつもりですが、今作は彼の最高傑作と言っても過言ではない名盤ですよ! いわゆるブルーグラスなんですが、とにかく曲が良い! なんて言いますか響きがロマンチックなんですよ。前作に引き続き作詞家ロバート・ハンター(グレイトフル・デッドで有名なあの方)との共作。そういう点では、アメリカーナ/カントリー・ロック作だった前作に対して、こちらはそのブルーグラス編と考えてもいいかもしれません。プロデュースを務めたRANDY KOHRSの仕事も見事!彼のスライド・ギターの妙技を含む弦楽器のアンサンブルが奏でる、スピード感と哀愁たっぷりのブルーグラス。 もちろんジムの歌も良い!


第5位

BLACK DUB / BLACK DUB
名プロデューサー、ダニエル・ラノワのバンド作。これは格好良い! 正直な話、某CDショップで試聴したときはピンと来なかったんですけど、ラノワ来日の報を聞いて購入してみたらすこぶる良かったという。メンバーは、ダリル・ジョンソン(b)、ブライアン・ブレイド(ds)、トリクシー・ウィートリー(vo)。やはりラノワのギターを中心にした音響空間に魅せられる。黒々とした立体感はなるほどダビーな質感。そして女性シンガーのトリクシー・ウィートリーが良い!! 白人の方らしいのですが、もの凄く黒っぽい。スロー・ナンバー「Surely」のソウルネスには参りました。宇宙観たっぷりの「Ring the Alarm」も格好良い!(本国では2010年リリースのようですが、日本盤は2011年に出たので、強引にこちらに入れさせて頂きました。)


第6位

REBIRTH BRASS BAND / REBIRTH OF NEW ORLEANS
今やニューオーリンズを代表するブラス・バンドであるリバース・ブラス・バンドの最新作。ギラギラと艶光りするホーンの音色が縦横無尽に交差する。これぞブラス・バンド! これぞニューオーリンズですよ! 1曲目「Exactly Like You」の出だしからもう嬉しくなっちゃいましたね。私がリバースを知った90年代初頭の頃はまだ血気盛んな若手のイメージでしたが、もはやベテランの風格と味わいすら感じさせる。スーザフォンがリードする「I Like It Like That」のようなファンキー曲も最高。パシパシと硬い音でハネまくるスネアがまた素晴らしい! こういうバンドがニューオーリンズをパレードする様が目に浮かんでくるよう。


第7位

RON SEXSMITH / LONG PLAYER LATE BLOOMER
これ程までにグッド・メロディが詰まったアルバムもそうそうないと思われる傑作。「Get In Line」「The Reason Why」「Miracles」「No Help At All」など、まるで緩やかな陽光のような爽やかさの中で、蒼く切ない風景がフラッシュバックしていくような感じ。プロデュースはボブ・ロック。彼の作り出す粒立ちのはっきりした艶やかな音像が、ロン・セクスミスのポップ感を全面に押し出し、今作をキラキラと輝かせています。「Believe It When I See It」や「Love Shines」のめくるめくメロディー・ラインとそれを鮮やかに際立たせる絶妙のアレンジ。ロンの物憂げな歌声も素敵です。良いメロディと、素朴なエモーショナル、それを可能なかぎり暖かく表現したような名盤です。


第8位

G.LOVE / FIXIN' TO DIE
G・ラヴ流のルーツ作品。アヴェット・ブラザーズがプロデュース他全面強力。1曲目「Milk And Sugar」から土っぽく猥雑なノリが炸裂。独特に跳ねたグルーヴと軽妙なモグラップに胸が躍ります。タイトル曲「Fixin' To Die」はブッカ・ホワイト~ボブ・ディランのカヴァー。泥臭く唸るように歌うG・ラヴ流ブルース表現と中盤のハーモニカ・ソロにやられます。アンニュイなメロディーをブルージーな小品に仕立てた「Heaven」も秀逸。ポール・サイモンの「50 Ways To Leave Your Lover」のカヴァーも技ありの格好良さ!これまでにないカントリー・スタイルを強く感じさせる作品ながら、いかにもなG・ラヴらしいヒップ感を濃厚に感じさせられるあたりに脱帽です。


第9位

SEUN ANIKULAPO KUTI & EGYPT 80 / FROM AFRICA WITH FURY: RISE
アフロビートの始祖フェラ・クティの後継者シェウン・クティ。彼がフェラのバック・バンドだったエジプト80を率いたソロ2作目。大地からめらめらと沸き上がるようなビートに、踊るようにうねりまくるベースライン、そこへ畳み掛けるホーン隊、全てがエネルギッシュに絡み合いながら押し寄せる超強力アフロビート! これ以上にない弾力性と、しなやかな切れ味を持ちながら、いつ尽きるとも知れないドロドロな無限グルーヴ。シェウンの精悍さを感じさせる歌声も良い! アフリカの土着性とアーバンなファンクが渾然一体となって攻め寄せる!


第10位

LUCINDA WILLIAMS / BLESSED
ルシンダ姐さん!! この存在感抜群の歌声。やられますね~。ささくれだった質感から時折、吐息のように憂いが漏れる。とにかく引き込まれる。彼女の歌声は何度も聴いているのに聴く度に新鮮。そしてバックの演奏が良い。 特にギター! ヴァル・マッカラム、グレック・リーズという名手に加え、数曲でエルヴィス.コステロも弾いてるようです。どこを誰が弾いているのか私にはよく分からないものの、その響きといい、フレージングといい、とにかく格好良い! どっぷりとしたアメリカーナにギラリとしたロック感が光る作品。

2011年 ベスト・アルバム 11位~20位

2012-02-09 00:49:28 | 2011年総括
第11位

Warren Haynes / Man in Motion
オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリストであり、ガヴァメント・ミュールを率いるウォーレン・ヘインズのソロ作。バックにはジョージ・ポーター・JR.、アイヴァン・ネヴィル、レイモンド・ウェバーといったニューオーリンズ勢が参加。しかも固定バンドとしてレコーディングされたようで、トータル的なバンド感が濃厚。しかしニューオーリンズ的ではなくあくまでもウォーレン・ヘインズの世界。でも何故かこのグルーヴ感が私にとってことのほか気持ち良いのは、やはりニューオーリンズの成せる技でしょうか?


第12位

Kelly Price / Kelly
ゴスペル育ちのR&Bシンガー、ケリー・プライス。彼女の通算5作目(クリスマス・アルバムを除いて)となる最新作。1曲目「Tired」から深くパワフルな歌声に持っていかれます。「The Rain」での終盤へ向けてソウルを貯めていくようなスケール感は鳥肌もの。モータウンを思わせるアップ曲「Vexed」の弾けっぷりにもやられます。こういう作品を聴くと、まだまだR&Bも捨てたもんじゃないな、と思いますね。


第13位

EMMYLOU HARRIS / HARD BARGAIN
全体を貫く、幽玄としながらも人肌の暖かさをもったサウンドが素晴らしい。落ちついたエミルーの歌声は凛として優しい。グラム・パーソンズと過ごした日々を歌ったという「The Road」や、2010年に亡くなったケイト・マクギャリグル(エミルーの前作にもコーラスで参加していた)に捧げた「Darlin' Kate」など。タイトル曲「Hard Bargain」はロン・セクスミスのカヴァー。


第14位

CORNELL DUPREE / DOIN' ALRIGHT
コーネル・デュプリーの最新ソロ作にして遺作となってしまったこのアルバム。故郷テキサスで録音。これは制作側のコーネル・デュプリー愛を感じさせる作品ですね。まさにこういうコーネル・デュプリーが聴きたかった!いぶし銀の魅力ながら、まるでギターが語りかけてくるようなフィーリング。このタイム感が堪らない。


第15位

VA / THE LOST NOTEBOOKS OF HANK WILLIAMS
カントリー界のみならず、広くアメリカン・ミュージックに多大な影響を残した伝説的人物ハンク・ウィリアムス。彼は53年に29歳という若さで逝ってしまいましたが、その時歌詞や曲のアイデアが書かれたノートが残されました。時を経てそのノートを元に、ボブ・ディラン、ノラ・ジョーンズ、ルシンダ・ウィリアムス、レヴォン・ヘルムなどが新たな命を吹き込んだのがこの作品。なんかロマンを感じますよね。こういうの好きです。


第16位

ARETHA FRANKLIN / ARETHA: A WOMAN FALLING OUT OF LOVE
クイーン・オブ・ソウル、アレサ・フランクリンの最新作。クリスマス・アルバムを覗けば03年の「SO DAMN HAPPY」以来8年振りだそう。まあ凄いですよ!全てを包み込むような大きな歌。自由奔放でいて包容力に溢れてる。自作の「How Long I've Been Waiting」も素晴らしいですし、カレン・クラーク・シェアードと魂をぶつけ合うのようなゴスペル曲「Faithful」も強力。


第17位

MARCIA BALL / ROADSIDE ATTRACTIONS
ルイジアナ/テキサスのピアノ・ウーマン、マーシャ・ボール。1曲目「That's How It Goes」からスワンプ臭濃厚なノリに嬉しくなってしまいます。弾力抜群の鍵盤も、貫禄すら感じさせる歌声も、気持ち良い程絶好調! ホーンもゴキゲンな「We Fell Hard」も良いですし、スロー・ナンバー「This Used To Be Paradise」も味わい深い。


第18位

JOLIE HOLLAND + THE GRAND CHANDELIERS / PINT OF BLOOD
バックにSHAHZAD ISMAILYとGREY GERSTENという切れ者達を従えたジョリー・ホランドの最新作。この人の歌声が作る空気感というのは特別なものがありますね。オルタナティヴのようでもあり、古いブルースのようでもある。陰影の深いニュアンスでアメリカーナの移ろいを描いていくよう。バックの演奏も秀逸。1曲でマーク・リボーも参加。


第19位

Booker T. Jones / Road from Memph
ブッカー・Tとザ・ルーツがまさかこれ程までに相性が良いとは! ジム・ジェームス、ルー・リードなど豪華ゲスト・ヴォーカル陣を配しながらも、インスト曲がすこぶる格好良い! クエストラヴを中心にキレのあるしなやかなグルーヴを提供するザ・ルーツに対し、あくまでも無骨なプレイに徹するブッカー・T のハモンド。一見ミス・マッチな両者の邂逅がミラクルを生んでます。


第20位

TEDESCHI TRUKS BAND / REVELATOR
デレク・トラックス&スーザン・テデスキ夫妻によるニュー・バンド。スーザンの土っぽくもソウルフルな歌声に、デレクの天翔るスライド。もちろん熟練のバンドも最高。 サザン・ロックに加え、ジャム・バンド世代ならではの風通しの良い爽快なサウンドが気持ち良い。で、実は楽曲も相当良い!