ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ソロモン・バーク黄金期

2010-05-27 13:26:43 | ソウル、ファンク
前回、ソロモン・バークの最新作「NOTHING'S IMPOSSIBLE」を紹介しましたが、いやいや近年のソロモン・バークの作品は、どれもが捨てがたい傑作揃いなんです!というわけで、第2の黄金期を突き進むソロモン・バークの諸作品をご紹介。



SOLOMON BURKE / DON'T GIVE UP ON ME
ソウルの帝王が、ボブ・ディラン、ヴァン・モリソン、ブライアン・ウィルソン等から贈られた楽曲を歌った02年の傑作。このアルバムは良いですよね~。はじめて聴いた時はちょっと地味に感じたんですけど、聴けば聴く程味わいが染みてきます。プロデューサーは今をときめくジョー・ヘンリー。彼の作り出す陰影豊かなしっとりとしたサウンドが、エモーショナルなバークの歌声を見事に浮かび上がらせます。アコギやオルガンを中心に据えたアコースティックな質感で纏めた手腕も見事。そして情緒豊かなリズムを提供するジェイ・ベルローズとデヴィッド・ピルチにも拍手ですね。グラミー賞「Best Contemporary Blues Album」部門を受賞。この作品でキング・ソロモンの復活を印象づけたのはもちろん、実はジョー・ヘンリーにとってもこれが出世作だったり。それにしてもトム・ウェイツ作の「Diamond In Your Mind」は名曲ですね。



SOLOMON BURKE / MAKE DO WITH WHAT YOU GOT
いきなりストーンズばりのギター・リフで幕を開ける痛快なこの作品、前作に比べるとアルバム単位での説得力では一歩譲るかもしれませんが、ジェイムズ・ギャドソン(ds)、レイ・パーカー・ジュニア(g)、レジー・ヤング(g)などの腕利きによるカラッとしたサウンドに乗る、バークの“帝王節”としか言いようのない大きな歌唱は圧倒的に素晴らしい! ザ・バンドの「It Makes No Difference」も良いですけど、ストーンズ「I Got The Blues」のコテコテ加減が堪りません。とにかく全体を通じてバークのとてつもなくでかいスケール感にやられます。プロデュースはドン・ウォズ。ちなみにこの人、同じ頃にストーンズの「A BIGGERBANG」もプロデュースしてるんですよね~。05年リリース作。



SOLOMON BURKE / NASHVILLE
近年のソロモン・バーク作品から一枚選べと言われれば、私は迷わずこのアルバムを選びます。ソロモン・バークによるカントリー作品です。案外カントリーとは縁の深いソロモン・バークですが、この作品は“ソウル・シンガーがカントリーを歌いました”という以上に、黒人音楽と白人音楽の垣根を飛び越えた、芳醇なルーツ・ミュージックの素晴らしさを伝えてくれるアルバムです。じわりと染みる土っぽい演奏、渋みと枯れをたたえたバークの男臭い歌唱。ホント最高です! プロデュースはオルタナ・カントリーの旗手バディ・ミラー。バックには、そのバディ・ミラーを中心にカントリー界隈の名手達を配し、ドリー・パートン、エミルー・ハリス、パティ・グリフィン、ギリアン・ウェルチといった女性シンガー達が花を添えています。06年作。



SOLOMON BURKE / LIKE A FIRE
エリック・クラプトン提供の1曲目「Like A Fire」を聴いたとき、流石にこれは無いだろう?と思う程にポップでフォーキーな曲調に驚きました。でも聴き進めているうちに、そのオーガニックなサウンドと、ゆったりとしたバークの歌声に惹かれて行きます。リラックスした和やかさが心地よいですが、ここぞという時はソウルを込み上げるように歌う。その辺りの力加減は名人芸にして、そのコクのある艶やかで円やかな歌声に痺れます。ケブ・モ、ベン・ハーパー、ジェシー・ハリスなどが、自作曲を持ち寄りゲスト参加。プロデュースはスティーヴ・ジョーダン。素晴らしいギター・プレイでサポートするダニー・コーチマーとディーン・パークスにも注目です。08年作。



それにしても近年のソロモン・バークにハズレなし! 大ベテランにしてこの充実振りは奇跡に近いです。例えばアレサ・フランクリンやスティーヴィー・ワンダー、アル・グリーンなど、今でもレジェンド達が元気に頑張っていますが、この10年でおよそ2年に1枚の頻度でアルバムをリリースし、その全てが傑作なんて、ソロモン・バークしか居ませんからね。ジョー・ヘンリーやバディ・ミラーといったオルタナティヴな感性を持った人にプロデュースを任せた意欲にも脱帽。いや最も驚きなのはその歌唱にまったく衰えを感じさせないこと。どころかその貫禄に磨きをかけているかのよう。間近に迫ったジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルが本当に楽しみでなりません!


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