SOLOMON BURKE / NOTHING'S IMPOSSIBLE
ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルの開催が近づいてきました。今年は何と言ってもメインを務めるソロモン・バークですよね! 60年代にアトランティックから「Just Out of Reach」、「Cry to Me」、「If You Need Me」、「Everybody Needs Somebody to Love」など、数々のヒットを飛ばしたレジェンドであり、2000年代になっても「DON'T GIVE UP ON ME」や「NASHVILL」などコンスタントに傑作を発表し続けている現役バリバリのキング・オブ・ソウルです。そんなソロモン・バークが奇跡の初来日を前にして新作を発表しました。なんと、プロデュースを務めたのは、かのウィリー・ミッチェル!!
ウィリー・ミッチェルと言えば、70年代のハイ・レコードで名を馳せたサザン・ソウルの立役者の一人ですね。“ハイ・サウンド”と呼ばれる極上のソウル・ミュージックを確立し、アル・グリーン、アン・ピーブルズ、オーティス・クレイ、シル・ジョンソン、OVライトなど、数々のアーティストを手がけ傑作を産み出してきました。特にアル・グリーンの諸作品は有名ですね。しかも03年にはアルとミッチェルが久々にタッグを組み「I CAN'T STOP」という新たな名盤を産み出したことも記憶に新しいですね。
さて、ソロモン・バークです。近年のソロモン・バークと言えば、その意欲的な作品リリースと、その傑作振りには目を見張るものがあります。ですが、前作「LIKE A FIRE」はどちらかというとオーガニックでポップな路線でしたし、その前はカントリー作品、さらにプロデューサーにドン・ウォズやジョー・ヘンリーを招いた作品と、必ずしもディープ・ソウルな作品ではありませんでした。もちろんそれをキング・ソロモン流にがっつりとディープに歌うところに圧倒的な凄みがあり、私は大好きなんですけどね。でもそんな流れの末に今度はあのウィリー・ミッチェルのプロデュース作品と聞けば、やはりテンションは上がりますよね。
方やアトランティックで数多のヒットを飛ばしたキング・オブ・ソウル、方やハイの総帥としてメンフィス・ソウルを支えた大物プロデューサー、このソウル界の両雄が共に仕事をするのは実は今作が初めてだそうです。解説によりますと、実際に顔を合わせたのも最近のことだったとか。でも35年間、電話での会話を続けていたと言いますから、いったいどんな仲なのかよく分かりませんが、まあ、そんな間柄だったようです。
1曲目「Oh What A Feeling」からバークの力の入った感情的な歌唱に圧倒されます。まさか70歳になる人とは思えないハリと艶。しかしそこから滲み出る人生の酸いも甘いも知り尽くしたような濃厚な味わい。これこそソウルですよ! そしてバックはミッチェルによる麗しのメンフィス・サウンド!!
レコーディングはミッチェルのお膝元、ロイヤル・レコーディング・スタジオで行われています。ハイの名作群を生んだあの歴史的なスタジオですね。アル・グリーンの「I CAN'T STOP」ももちろんここで録られています。バック・ミュージシャンも、ギターのティーニー・ホッジズをはじめ、ドラムスにスティーヴ・ポッツ、鍵盤にレスター・スネルなど、「I CAN'T STOP」と似たようなメンツが揃えられています。もちろんハイ・サウンドに欠かせなホーン隊に THE ROYAL HORNS、ストリングスに THE NEW MEMPHIS STRINGS と、完全にミッチェルの土俵です。
ですが流石にアル・グリーンの代名詞のような、流麗且つセクシーなアップ・ナンバーは収録されておらず、サザン・マナーのスローが 中心。ですが「Dreams」のイントロに響く甘いストリングスの感じなんかは、やはりウィリー・ミッチェル!! さらにここでのバークの歌唱も情緒豊かで味わい深い。この曲はミッチェルとバークの共作ですが、全12曲中9曲でミッチェルが作曲に携わっています。このことからも今作におけるミッチェルの気迫が伝わってきますね。
タイトル曲の「Nothing's Impossible」なんかも和やかな曲調ながら、重心の低いリズムに、軽やかなホーンと流れるようなストリングスが絡む、往年のハイ・サウンドを感じさせてくれますね。これにスケールの大きな、それでいて渋みのあるバークの歌唱がまた以外に合うんですよ!そして「New Company」なんかもアル・グリーンが歌ったら相当セクシーになりそうですが、バークが歌うとまるで大海原のようなソウルになるから凄い。
サザン・フィーリング濃厚な「It Must Be Love」や「When You're Not Here」あたりはもう堪らないものがありますね。まるでソウルを込み上げるように歌う。そして何処か切ない。これはもう王道というか名人芸ですね。バックの極上サウンドも相まって本当に素晴らしい! そして唯一のカヴァー曲、ランディ・グッドラムの「You Needed Me」。この曲なんかはもうメロウの極致に仕上がっていまして、バークの歌にもメロメロです。
今作中2曲のアップ・ナンバー「Everything About You」と「You're Not Alone」はどちらもバーク自身のペンによる作品。溌剌とした歌声に惹かれますね。さらにキャンディ・バークとミッチェルの共作曲「The Error Of My Ways」もあります。キャンディってソロモン・バークの娘さんですよね? こちらはどっぷりとブルージーな味わいで、こういうバークも良いですね。
古き良きソウル・ミュージック華やかしき頃から、長い年月が過ぎた後にようやく実現した夢のコラボレーション。残念ながらウィリー・ミッチェルは今年1月に亡くなられてしまいました。これがミッチェルにとって最後の作品になったかどうかは、今の時点ではまだ不明だそうですが、最後の作品の1つであることは間違いないでしょう。そういう意味でも何か運命的で感慨深い作品ですね。
さて、ソロモン・バークの初来日、本当に楽しみですね。本物のソウルと、本物の歌を体感しましょう!
ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルの開催が近づいてきました。今年は何と言ってもメインを務めるソロモン・バークですよね! 60年代にアトランティックから「Just Out of Reach」、「Cry to Me」、「If You Need Me」、「Everybody Needs Somebody to Love」など、数々のヒットを飛ばしたレジェンドであり、2000年代になっても「DON'T GIVE UP ON ME」や「NASHVILL」などコンスタントに傑作を発表し続けている現役バリバリのキング・オブ・ソウルです。そんなソロモン・バークが奇跡の初来日を前にして新作を発表しました。なんと、プロデュースを務めたのは、かのウィリー・ミッチェル!!
ウィリー・ミッチェルと言えば、70年代のハイ・レコードで名を馳せたサザン・ソウルの立役者の一人ですね。“ハイ・サウンド”と呼ばれる極上のソウル・ミュージックを確立し、アル・グリーン、アン・ピーブルズ、オーティス・クレイ、シル・ジョンソン、OVライトなど、数々のアーティストを手がけ傑作を産み出してきました。特にアル・グリーンの諸作品は有名ですね。しかも03年にはアルとミッチェルが久々にタッグを組み「I CAN'T STOP」という新たな名盤を産み出したことも記憶に新しいですね。
さて、ソロモン・バークです。近年のソロモン・バークと言えば、その意欲的な作品リリースと、その傑作振りには目を見張るものがあります。ですが、前作「LIKE A FIRE」はどちらかというとオーガニックでポップな路線でしたし、その前はカントリー作品、さらにプロデューサーにドン・ウォズやジョー・ヘンリーを招いた作品と、必ずしもディープ・ソウルな作品ではありませんでした。もちろんそれをキング・ソロモン流にがっつりとディープに歌うところに圧倒的な凄みがあり、私は大好きなんですけどね。でもそんな流れの末に今度はあのウィリー・ミッチェルのプロデュース作品と聞けば、やはりテンションは上がりますよね。
方やアトランティックで数多のヒットを飛ばしたキング・オブ・ソウル、方やハイの総帥としてメンフィス・ソウルを支えた大物プロデューサー、このソウル界の両雄が共に仕事をするのは実は今作が初めてだそうです。解説によりますと、実際に顔を合わせたのも最近のことだったとか。でも35年間、電話での会話を続けていたと言いますから、いったいどんな仲なのかよく分かりませんが、まあ、そんな間柄だったようです。
1曲目「Oh What A Feeling」からバークの力の入った感情的な歌唱に圧倒されます。まさか70歳になる人とは思えないハリと艶。しかしそこから滲み出る人生の酸いも甘いも知り尽くしたような濃厚な味わい。これこそソウルですよ! そしてバックはミッチェルによる麗しのメンフィス・サウンド!!
レコーディングはミッチェルのお膝元、ロイヤル・レコーディング・スタジオで行われています。ハイの名作群を生んだあの歴史的なスタジオですね。アル・グリーンの「I CAN'T STOP」ももちろんここで録られています。バック・ミュージシャンも、ギターのティーニー・ホッジズをはじめ、ドラムスにスティーヴ・ポッツ、鍵盤にレスター・スネルなど、「I CAN'T STOP」と似たようなメンツが揃えられています。もちろんハイ・サウンドに欠かせなホーン隊に THE ROYAL HORNS、ストリングスに THE NEW MEMPHIS STRINGS と、完全にミッチェルの土俵です。
ですが流石にアル・グリーンの代名詞のような、流麗且つセクシーなアップ・ナンバーは収録されておらず、サザン・マナーのスローが 中心。ですが「Dreams」のイントロに響く甘いストリングスの感じなんかは、やはりウィリー・ミッチェル!! さらにここでのバークの歌唱も情緒豊かで味わい深い。この曲はミッチェルとバークの共作ですが、全12曲中9曲でミッチェルが作曲に携わっています。このことからも今作におけるミッチェルの気迫が伝わってきますね。
タイトル曲の「Nothing's Impossible」なんかも和やかな曲調ながら、重心の低いリズムに、軽やかなホーンと流れるようなストリングスが絡む、往年のハイ・サウンドを感じさせてくれますね。これにスケールの大きな、それでいて渋みのあるバークの歌唱がまた以外に合うんですよ!そして「New Company」なんかもアル・グリーンが歌ったら相当セクシーになりそうですが、バークが歌うとまるで大海原のようなソウルになるから凄い。
サザン・フィーリング濃厚な「It Must Be Love」や「When You're Not Here」あたりはもう堪らないものがありますね。まるでソウルを込み上げるように歌う。そして何処か切ない。これはもう王道というか名人芸ですね。バックの極上サウンドも相まって本当に素晴らしい! そして唯一のカヴァー曲、ランディ・グッドラムの「You Needed Me」。この曲なんかはもうメロウの極致に仕上がっていまして、バークの歌にもメロメロです。
今作中2曲のアップ・ナンバー「Everything About You」と「You're Not Alone」はどちらもバーク自身のペンによる作品。溌剌とした歌声に惹かれますね。さらにキャンディ・バークとミッチェルの共作曲「The Error Of My Ways」もあります。キャンディってソロモン・バークの娘さんですよね? こちらはどっぷりとブルージーな味わいで、こういうバークも良いですね。
古き良きソウル・ミュージック華やかしき頃から、長い年月が過ぎた後にようやく実現した夢のコラボレーション。残念ながらウィリー・ミッチェルは今年1月に亡くなられてしまいました。これがミッチェルにとって最後の作品になったかどうかは、今の時点ではまだ不明だそうですが、最後の作品の1つであることは間違いないでしょう。そういう意味でも何か運命的で感慨深い作品ですね。
さて、ソロモン・バークの初来日、本当に楽しみですね。本物のソウルと、本物の歌を体感しましょう!