ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

フジ予習:キティー・デイジー&ルイス

2010-05-20 13:58:49 | フジロック
KITTY, DAISY & LEWIS / KITTY, DAISY & LEWIS

フジ予習第3弾、キティー・デイジー&ルイス。

何なんですかね?この3兄弟は!!
1st作「KITTY, DAISY & LEWIS」がリリースされた08年当時、キティが15歳、デイジーが20歳、ルイスが18歳という若さで、やっている音楽はロカビリーを中心に40年代から50年代あたりのオールドなブルースやカントリー、ジャンプ、さらにハワイアンまで。とにかくタイムスリップしたかのようなオールドタイムに徹しています。この若さでですよ! しかもデビュー・シングルを発表した時点までさかのぼれば、キティが12歳、ルイスが15歳で、デイジーが17歳だったそうですから、驚きです。恐るべき子供達です。

いやいや子供と呼ぶにはあまりにもキティとデイジーが色っぽい。何というか、ロカビリーな色気に溢れています。この3兄弟、サウンドだけではなく、ファッションを含めた容姿からも、オールドタイムな臭いを発散していて、どうやったらこんな子達が育つんだろう?みたいな。しかもアメリカではなくイギリスから登場している。しかしこのイギリスからというのが案外キー・ポイントだったりするんですよね。

例えば、オールド・ジャズを現代に甦らせたジャネット・クラインとか、古き良き南部ソウル愛の塊のようなイーライ“ペーパーボーイ”リードあたりの、時代を逆行と言うか超越した“秘境感”には通じるものがありますが、彼らはアメリカ的なエンターテイン性が濃いのに対し、キティー・デイジー&ルイスはもっとモッズ的な先鋭さを感じます。それはロカビリーをやっているからというより、もっと感覚的なもの。現代の若者が古いスカやロック・ステディを愛好するような、そんなヒップな感性に近いかもしれません。

実際に彼らは、アルバム・デビュー前からギャズ・メイオールのクラブでDJをやっていたとか。しかも78回転のSPレコードを回していたといいますから、確信犯なのか?天然なのか?どちらにしろやはり凄い子供達なのです。しかもアルバム・デビューより前に「A-Z of Kitty, Daisy & Lewis: The Roots Of Rock 'n' Roll 」という、自分セレクトのコンピ盤をリリースしているんです。ま~、恐ろしく渋い選曲なんですけどね。でも普通、アルバムを出して、それが話題になったのを受けて、そのルーツを紐解くコンピ盤を出すんじゃないんですか? それがシングルを数枚(多分2枚)しか出してない時点で、いきなりルーツ探訪のコンピ盤からリリースしてしまうという型破りさ。やはりDJ的と言うかモッズ的な感じ。 型破りといえば、デビュー作「KITTY, DAISY & LEWIS」は、通常のCD以外にSP盤5枚組というフォーマットでも発売されたらしく、そんなの一般家庭では再生出来ないでしょ?みたいな。この子達、若いのに洒落が効いてます。

さて、そんなキティー・デイジー&ルイスのデビュー作「KITTY, DAISY & LEWIS」です。ロカビリー・ナンバーはもちろん、マディ・ウォーターズで有名な「Got My Mojo Working」やサニー・ボーイ・ウィリアムソンの「Polly Put The Kettle On」、ルイ・ジョーダンの「Ooo Wee」なんかもカヴァーしています。なかでもムーン・マリカンのヒット曲「Honolulu Rock-A Roll-A」というハワイアン・テイストを取り上げるあたりに、彼らの計り知れないセンスを感じます。カヴァーに混じって2曲のオリジナル曲も収録されていますが、その1曲「Swinging Hawaii」もハワイアン! また、ブルース・ロックのキャンド・ヒート曲「Going Up The Country」をロカビリー・スタイルに仕立て上げるセンスにも脱帽です。

キティーとデイジーによるパンチの効いたヴォーカルも良い感じですが、ギター、ピアノ、ドラム、ハープ、アコーディオン、スティール・ギター、バンジョー、ウクレレ、トロンボーンなど、多彩な楽器を操るという3兄弟の芸達者振りに驚かされつつ、クール且つ瑞々しい演奏に心が躍ります。特にハワイアン曲でのスティール・ギターは、このアルバムに豊かな色彩を与えてますね。格好良いです! また、ヴィンテージなアナログ機材でレコーディングされたという音質も、現代の硬質なサウンドとはちがうふくよかさがありますね。

さて、フジロックのキティー・デイジー&ルイス、楽しみですね~。どのステージに出演するのでしょうか? たぶんヘヴンかオレンジでしょうね。でもそれ以外にもアヴァロンとか、木道亭なんかも面白そう。いや一番似合うのは深夜のパレスかも? ぜひ、複数ステージに出演して欲しいですね!



では、彼らのライヴ映像をいくつかご紹介。やっぱり彼らはライヴですよ! と言っても私は彼らのライヴは観たことないんですけどね…。


http://www.youtube.com/watch?v=hDjk0rBrpAU&feature=player_embedded
「Going Up The Country」。 やっぱり色っぽい。そして格好良い! ちなみにウッドベースはお母さん(元レインコーツ!!)、ギターがお父さん(元アイランド・レコードのエンジニア)、らしいです。跳ねるスネアが堪りません!

http://www.youtube.com/watch?v=I9De1jWDw1Q&feature=related
兄弟達の芸達者振りが伺える映像、その1。っていうかお母さんのスラッピングなタッチに痺れます。

http://www.youtube.com/watch?v=Pe8O14VTeMo&feature=related
兄弟達の芸達者振りが伺える映像、その2。



はじめて彼らの噂を聞いたとき、若さに任せたハチャメチャな兄弟なのかと想像しましたが、CDを聴き、こういった映像を観てみると、パンキッシュなDIY精神と同時に、以外と言っては失礼ですが、音楽に対する真摯な姿勢というか、真面目さの方が強く感じられたりもします。さて、ライヴが楽しみです!