しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

保内町川之石を歩く

2022年01月06日 | 令和元年~
場所・愛媛県八幡浜市保内町川之石
訪問日・2021年12月24日

何年か前から佐田岬に行きたかった。
しかし佐田岬は、三崎港から灯台まで道が狭隘のため運転に自信がなく実現できてない。
今回南予方面に行くのを機に、佐田岬の付け根にある保内町川之石を訪れた。
(佐田岬とセットで行こうと以前から思っていた町)


(もっきんろーど)






「商い・海運の港を訪ねる」

ハイカラの意味を実感する保内町(ほないちょう)



佐田岬の付け根にあるのがここ保内町。
半島の先端へ陸路でたどり着くには、どうしても通らなければならない町だ。
シーボルトの弟子で、その娘イネを養育した二宮敬作の出身地としても知られる。



(川之石の前は海、三方はミカン畑に囲まれている)



主産業は昭和初期頃までは、紡績、製糸、銅山開発と激変を続けてきたが、現在は柑橘栽培が盛ん。

五穀豊穣や人民の繁栄を願って、大三島の大山祇神社から分霊された、三島神社には懸仏がある。
そうめん流しで人気の平家谷などがある。



かつての栄光を町並みに見る

江戸後期から明治中期にかけては、和ろうそくの原料になるハゼの栽培、木ろうの生産や海運業で栄え、
明治11年(1878)には県下で最初に第29国立銀行が開設された。
これを機に、南予地方の商業、金融の中心地になった。
四国最初の紡績工場である宇和紡績(東洋紡の前身)が操業し、電灯がともったのも四国で初めてと、
四国の近代化の先駆けでもあった。
この町で、まず訪れたいのが磯崎港石波止。
江戸後期に建造された堤防で、後にコンクリートでかさ上げ工事が施されているが、原形は当時のままのほぼ完全な姿を保っている。
また、八坂神社には21枚の船絵馬がある。
藩政時代、吉田藩の重要な港であった喜木津(ききつ)は、明治期になっても変わることなく、海運業を支えた。
船絵馬は、その当時の船主が奉納したものだ。



大正8年(1919)建築のモダンな建物は、愛媛蚕種。

当時最先端であったトラス工法が採用された木造3階建てで、文化庁の登録文化財にもなっている貴重なもの。
付近には、明治期に建てられ、ギリシャ建築を思わせる洋館の旧白石和太郎洋館や、ケヤキの大黒柱やシャンデリアなど贅を尽くした和洋館の二宮医院、
赤煉瓦倉庫が美しい旧東洋紡績川之石工場など、明治から大正にかけてのハイカラを感じさせる町並みが残る。


「愛媛県の歴史散歩」 愛媛県高等学校教育研究会  山川出版社 2006年発行

愛媛蚕種
今では県内で唯一残っている蚕種製造会社である。
1919年(大正8)に建てられた木造3階建てで、玄関と窓にペデュメント(二等辺三角形の飾り)、羽目板張(板を縦に張ったもの)を使った美しい外観となっている。
また蚕室のため赤レンガの防火壁がほどこされている。






(蚕種会社の建物は存在感があった。玄関が開いていたので、建物を周回したら入ろうと思ったが、その時は施錠がしてあった。
ここでは、蚕種以外に蚕を育てる→繭の工程作業もしていたようす)







「愛媛県の歴史散歩」 愛媛県高等学校教育研究会  山川出版社 2006年発行

美名瀬橋
1933年(昭和8)につくられた。
親柱は灯篭の役目を果たしていた。
欄干は鉄柵があったが、太平洋戦争のため供出し、現在はコンクリートになっている。



(美名瀬橋)



「愛媛県の歴史散歩」 愛媛県高等学校教育研究会  山川出版社 2006年発行

旧東洋紡赤レンガ倉庫
宇和紡績(のち東洋紡)は1887年(明治20)愛媛県で最初に設立された紡績会社で、
四国ではじめて電灯が灯った場所としても知られる。
昭和35年に閉鎖し、現在は赤レンガ倉庫だけ残り、川之江地区の繁栄を象徴する貴重な建物である。
東洋紡績の広大な敷地跡は、現在、保内中学校、八幡浜紙業、八興産業などになっている。
保内町にはボランティアで文化遺産の案内をしてくれる人たちがいる。





(東洋紡績跡地の工場)





(白石和太郎洋館、右は宇都宮医院)




(青石の塀・二宮家住宅)



(赤レンガ小路)

・・・・


内之浦公会堂ふきんを歩いていたら、突然「みかんの咲く丘」が流れてきた。
正午だった。



この町にぴったりだと思った。




(内之浦公会堂)


(川之石港の前は宇和海)


・・・・・・・・

ほぼ予想していた通りの川之石の町並みだった。
静かな町だが、南予らしい明るさを感じた。





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