六月大歌舞伎 夜の部 6/7(水)
待って待って待ちましたー。
中村福助のお米
幸薄い女を演らせたら日本一!成駒屋~!
作:長谷川伸
二世松林伯円の講談「天保六花撰」に登場する
丑松をヒントに作られたそうな。
S6年に『オール読物』に掲載。って文芸春秋だ~。
今だと、浅田次郎や山本一力の小説って感じ?
いや~エンタメ小説三人衆「大極宮」(大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆき)
の作品を是非舞台に!
序幕
夏の夜中 浅草
変な音がするって近所の人々が窓越に噂話。
お米(福助)と料理人の丑松(幸四郎)はラヴラヴ
住んでる所は母・お熊(鐵之助)の家の2階。
こいつが実の母じゃなくってね、お米を金蔓にしよーとしてるんだな。
『白雪姫』の継母のよーに腹黒いんだな。
今日もお米をビシバシ叩いてるー。ぶってるー。
イジイジ、メソメソしてっからイライラすんだろーなー。
あッ!あッ!またッ!福ちゃんに何すんのよー
邪魔者は消せ!お熊は浪人を雇って丑松を…。
ドンドンドンドン!扉を叩く音。
「丑松が帰って来た!」
暴れるお米に浪人が喝ッッッ!
あー気絶しちゃったー。
お熊が下に降りている隙に、浪人がお米に悪さをー。
福ちゃんに何すんのよー
ハっっっ!気がつくお米。
「出来心だ。誰にも黙っててくれ」
「男なんてなぜ皆こうなんだろう。たった1人、丑さんだけがそうじゃない」
「妙な所でノロケよる」
浪人は下へ降りてVS丑松!
ドッタンバッタン
ガラガラガッシャンッ
バタンッ
シーン…
フラフラと階段を上ってくる男…丑松だ!
浪人も!お熊も!殺ってしまった!
「てめえの身体の始末つけに行かなけりゃならねえんだ」
この台詞大好き~
「おらあ自訴する」
「ねえ、逃げよ」丑松にすがりつき必死!
「わたしゃお前さんと生きていたいよ。いよいよの際まで死ぬのは嫌だ」
この一言で、運命のカードは決まったのヨ…。
「いざという時はな、この手をギューッと握れ」
固く固く握り合う2人
「俺も握るぜ」
「きっとあたしゃそうするよ」
あの屋根伝いに、運を天に任せて
風鈴の音…
こんなに誓い合ったのに、何なのヨー!お米の最期はー!
嗚呼、今からもう胸が痛い
二幕目
1年後 板橋の宿
舞台中央に大きな階段。
上手が入口。扉を開けると風と雨がビュービュー!!
大雨洪水警報出てるゾ~
裏方のお仕事ど~なってんの?知りたい~。
てな日に、丑松が飛び込んで来た!
案内された座敷に、熊吉(高麗蔵)という男がやって来て、
後から出刃包丁を持った男までっ!
そいつの顔を見てビックリ!
丑松の昔の仲間・祐次(染五郎)じゃん。
喧嘩も納まって落ち着いた祐次
「熊吉&八五郎(男女蔵)達とあっちで飲みなおすわ」
急に静かになった部屋に、音もなく入って来たのは
幽霊~!?…の様に見える、女郎・おきよ。
女が男を見て顔を伏せたっ!
…男も気がついたっ…目の前にいるのはお米!
「何てことだ。俺の女房のこんな姿をみようとは」
「私、意気地がないもんだから…」
何言ってんのヨ。兄貴分の四郎兵衛にヒドイことされて、
そんでもって売り飛ばされたんでしょ!
ハッキリ言っちゃいなヨ~!
まさかそーとは知らない丑松。
「他に男が出来たんだな。悪い男に…。
そんな馬鹿な女じゃねえはずなんだが…」
何度手紙を書いても返事がない。
モヤモヤが溜まって、ビクビクしながらお前に会おうと
江戸へ帰る途中なんだ!
”手紙が来てたなんて知らないー!!”
心の中で叫ぶお米。
「私という馬鹿な女の泣き言も聞いておくれ。
それを聞いてもらいたいばっかりに、
こんな姿の恥かしさを今まで堪えてきたんだもの」
四郎兵衛を信じきっている丑松には、何も聞こえない。
逆にお米を傷つけるだけ
「お前さんは一本気だから…」
宿の三吉がお酒をどーぞと持ってくる。
「お客さんお酌して下さいまし…」
注いでもらったお酒…。
ソッポを向く丑松の顔を見つめながら、お酒を注ぎ返す。
…諦めたように笑うお米。
嗚呼、末期の酒だっちゅ~の、丑松のバカ~!
お米がお色直しに席を立ってみると、
気になるのはさっきの話。
三吉にそれとなく尋ねてみる丑松。
廊下からお米が愛しそうに後姿を見てるヨ!!
丑松が気がつくと、スーッと襖を閉めた。
決心が着いたんだね、お米…。
下手の薄暗い廊下をゆーっくり歩いて行く…。
1年前のあの日「生きていたい」って言ったお米の、
これが運命…。
丑松が三吉から話を聞き終わった頃、
宿の中が急に大~騒ぎ!!!
銀杏の木に首を括って死んだって!!お米が!!
風が強くてブラブラ揺れてるって!!お米が!!
玄関先を戸板に乗せられた死体が通る。
丑松はこっそりと手を合わせて、ダッシュで逃げた!
入れ違いにやって来たのは岡っ引きだ~。
ギリギリセーフ…。
幸四郎の丑松。
時々台詞が時代物系に走っちゃって…アララ。
祐次:八十助(現:三津五郎) 三吉:松助
1998年版は、江戸からちょっと離れた宿屋の空気。
そこに住む人達の生活がジワ~っと漂ってきて好きだったな。
”昔は女も博打も大好きだった。威勢のいいヤツ。苦み走ったイイ男”
それが丑松なんだよね。
私の中のチャンピオンは音羽屋だ~!
福ちゃんのお米が観れて幸せ~
でも、ごめんやけど、
8年前と同じ菊五郎バージョンでいつかも~1度!
大詰
本所 四郎兵衛の家
岡っ引きがクンクン嗅ぎまわってるぞい。
暫くしてダラシな~く起きて来る四郎兵衛の女房・お今(秀太郎)
若い料理人達になんだぁかんだぁ文句ばっか。
クワ~ッッ!!アデージョ(艶女)だ~な~。
お米を散々いじめたんだろ~な~。秀ちゃんステキ~
四郎兵衛(段四郎)が出てきた所へ、
板橋から「お米死亡」の知らせが入った。
なのにこの2人、涙ひとつ零さないー。迷惑がってるー。
足音を忍ばせてやって来たのは丑松。
ビビッたお今は、必死に色仕掛け!
でも効果なしだ。グッサリだ…。
「女のその心が憎い悲しい…たまらねえ。お米だってそうだったんだからなあ」
四郎兵衛を追って銭湯へ。
待ってましたっっ!!
釜場で、アクロバティックでジェットコースターな動きを見せる
番頭・甚太郎役は中村蝶十郎
男湯と女湯を行ったりきたり。
お湯を埋めたり抜いたり。一休みもホンノ一瞬。
手桶も取り入れ、褌一丁で走り回るっっ。
こいつがめちゃくちゃカッチョイイ~!
誰がこんな場面作ったの~!?
サンキューベリマッチョ(by千昌夫)
丑松は男湯で四郎兵衛をグサッッッ
湯槽に沈めて逃げて行く…。
幕
誰が悪いというのだろう。
女の為に始めに2人、後にも2人。
4人もあの世に送ってしまって…
愛する女との再会はあまりにも惨めで…
暗い。どこまでも暗い…。照明も暗い~。
島田正吾・辰巳柳太郎ほか新国劇総出演
映画『初姿丑松格子』(1954年)見始めたっ。ナイスッ!
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