息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

虫送り

2012-10-26 10:22:31 | 著者名 わ行
和田はつ子 著

角川ホラー文庫って、お手軽系怖い話の宝庫だと思う。
ゆっくり本を選ぶ時間がないとき、何か読むもの読むもの!という禁断症状のとき、
とりあえず買ってみたりする。
そして時々大嫌いなグロ系を読む羽目になったり、怖けりゃいいんでしょ的な
ハズレ(自分的にね)をつかんだりもするわけだ。
これもそんな感じで買った。

閉鎖的な過疎の村を舞台に、子供たちの性病蔓延、生物農薬のテントウムシの異常繁殖、
昔から伝わる虫送りの伝統などなど伏線ぽいものはてんこ盛り。
しかし、残念ながらこれらがきれいに収まることはない。
面白そうだなあとおもうのだけれど、いつのまにかうやむやになって、話は違う方向へと
進んでいくのだ。ああもったいない。

ひたすら虫が登場するので嫌いなひとは絶対無理かも。
虫に殺される場面など、はっきり言って思い出したくないレベル。
血液のなかに蠢く虫なんて本当に気持ち悪い。

というわけで、期待しつつ読みすすめていったが、結局そのようなことは起こらず
終わってしまいましたよという感じ。
テーマとか舞台設定とかは好みなだけに残念。

アクアリウム

2012-10-25 11:05:46 | 著者名 さ行
篠田節子 著

地底湖、なんとも神秘的だ。
日が当たることなく静かに水をたたえている存在。
同じダイビングでも太陽のもと海に潜るのとは違い、こわさや危険は桁違いだ。

主人公・長谷川は趣味のダイビング中に行方不明になった友人の遺体を探し、
奥多摩にある地底湖に潜る。不気味な「弔い魚」が泳ぐ迷路のような地底で
自分の位置を見失ったとき、未知の水生生物を発見する。
それは女性のイメージで長谷川の前に現れ、テレパシーで意思を伝える。
そして彼が外に出ていくのを助ける。
長谷川はそれをイクティと名づけ、友人の遺体探しにも協力してもらう。

しかし、この土地にはトンネル工事の計画があった。この工事が行われると
水脈が狂い、イクティの住む地底湖にも影響を及ぼす。

日頃穏やかな長谷川は人が変わったように反対運動に身を投じていく。

陸封性イルカであるイクティの神秘性。奥多摩という手の届きそうな土地にある
不思議に満ちた場所。魅力的な舞台設定で読み進めるのは楽しかったのだが。

後半の反対運動の話がメインになるとちょっと退屈だった。
ドロドロした運動の裏側は面白くなくもないのだが、前半きれいにまとまっただけに
違うものを読んでいるみたいな感じ。
現実を突きつけられることによって、イクティの神秘性が陳腐に思えてくる。

しかしタイトル通り、文章全体に冷たく心地よい水の雰囲気が流れている。
こういうのってさすがだなあ。

困ってるひと

2012-10-24 10:01:32 | 著者名 あ行
大野更紗 著

本当に困っているのだ。それもはんぱなく。
しかも怖しいことに現在進行形。もちろん悪化方向へである。

のどかな田舎町で育った優等生が一念発起して上智大学へ進学。
勉学に励むうちにミャンマー(ビルマ)支援というテーマを見つける。
文字通り猪突猛進、国境の難民キャンプへ通い活動する日々。
ポジティブで過酷な環境だってへっちゃらで前向きで努力家。
世の中を変えたい、変えるつもりでいたのに。
希望に満ちて大学院進学。一時休学してタイへと旅立ってみたら。

突然の難病が彼女をおそう。
病名がはっきりするまで実に9ヶ月間ものたらい回し。
わかったのは自己免疫に関わる「筋膜炎脂肪織炎症候群」「皮膚筋炎」。
でもこれって難病なのだ。
わかったからといって治療法はわからない。どうしていいかわからない。
なのに嵐のように襲いかかる劇的な症状の数々。
とにかく想像を絶する。

そしてもっと想像を絶するのが、手続き難民。
100m歩くのも命懸けの病人が、あの書類とこの証明を揃えて手数料を払って
自ら手続きする、という過程を経なければなにひとつ制度を利用できない。
彼女は東京一人暮らしだった。両親ははるか東北の不便な地にいる。
ある時期まで友人たちに甘えまくったという。そして失ったものも多かった。
これは切ない。
ちょっとした買い物や手続き、できることなら経済的なサポートや相談も、
カバーできるような制度があったらどんなにいいだろう。
小さなことなら学生ボランティアでも可能ではないのか。
そんなものが一切この日本には存在しないと知ったのは驚異だった。

暮らす、ということには些細で膨大なたくさんのことがくっついている。
それは普段は何も考えることなくクリアできるようなことなのだが、
こんなアクシデントが突然ふりかかったとき、どうすればいいのか。
おまけに生活費のことまで考えるとなると、大げさでも言葉のあやでもなく
死んだほうが楽というものだ。

彼女は賢く強い。
自力でなんとかしなければ、と腹をくくり、彼女は退院して一人暮らしを敢行する。

読んでいて苦しくなる、辛くなることばかり。
しかも何ら解決することなく終わるのに。
それでも1000の言葉で励まされるよりも支えられる。
世界中のみんなと一緒に生きようという強い思いが伝わってくる。


和菓子のアン

2012-10-23 11:21:20 | 坂木司
坂木司 著

ほのぼの、ほんわか。優しい気持ちになれる。
デパ地下の和菓子屋を舞台に、ちょっと太めの女の子が初めて仕事に就き、
社会の入口に立つ。
そこには多くの先輩たちやちょっと変わり者の同僚、さまざまなお客様がいて、
主人公・杏子にとっては驚きと学ぶことばかりだ。

ただ!私は忘れていたのだ!
著者は大変な甘いもの好きである。
ひきこもり探偵シリーズ「青空の卵」を読んだ以上異論は認めない。

……そして私はそこまで甘いものが得意ではない。
いや嫌いじゃないのよ。さっきだって大福食べたし、高級和菓子なんて大好きだ。
でもでも、著者のようにお土産菓子までもまんべんなく愛し、満腹でも別腹!と
たからかに宣告し…というのには程遠いのだ。
なのでちょっとひきました。

しかし和菓子のもつ歴史や背景とか、接客を学ぶ課程などはとても興味深い。
もちろんデパートの裏の顔も。

学生の頃ちょこっとだけ茶道をかじったことがある。
実は餡が食べられるようになったのはこれがきっかけだ。
毎週菓子店から届く和菓子は、季節感や物語を秘めた美しいもので、
その魅力のとりこになった。
だから菓子の説明の部分は熟読した。
楽しい。
そしてそのときに学んだのだ。見た目が綺麗と食べて美味しいは両立しないことがある。
ちなみに私にとって苦手系は夏に多かったです。涼しげなやつ。
そう言う意味では「未開紅」をはじめとする師匠のお菓子はハズレなしという感じで
是非ともお味見したい。

忘れていたがこれはミステリーだ。
だから謎解きがある。
それもお菓子にからみ、季節感があり、そして決して人を傷つけない小さな謎。
それを店頭にいながらにして解き明かしていく「みつ屋」のスタッフたち。
そのすっきり感もとてもいい。

って甘いものがどうこう言った割にはしっかりと堪能してしまった。

つかれた…

2012-10-22 10:00:12 | 基本情報技術者受験
体中が痛い。
年を感じるわ。

しかしパシフィコは巨大会場。
室内最高齢は免れた、と思う。

自己採点してみました。
配点は前回を参考に。

午前68.7
午後63.9

マーク間違いとか、配点とか、もろもろを考えると
そうそう安心できる数値とは言えないが、
これまでのことを考えると頑張ったよ!
終わったときにもうだめだ~と思ったのだが、
要するにこれまでより問題の内容がわかったのだろう。

ああ、合格しているといいなあ。
午前はきっと大丈夫だけど、午後は配点が大きい(と予想される)ものほど
できなかったんだよね~。