篠田節子 著
すぐそこにありそうな日常のひとコマが、ほんのわずか歪むことで、
大きく崩れていく。
きっかけがささやかすぎてかえって怖い、そんな短編集。
中でも表題作はずるずる引きずり込まれるようでショッキング。
妻の摂食障害が原因となっているが、むしろ嬉々として食べさせる夫の姿が
怖い。病んでいるのは彼ではないか。
心地よい真綿で彼女をくるみ、徐々に窒息させていくような展開に
ゾッとした。
「幻の穀物危機」もすごい。
食料自給率の低い日本は、本当にこんな危機と隣り合わせなのだ。
それでもあの震災のあとのモラルの高さを信じたい気持ちはあるのだが。
テーマはすべて現代社会を映し出すもの。
しかし、これはこう表現されるだろうな、とか、こういう終わり方かな、という
予測はすべていい方に裏切られる。
決して後味のよいものばかりではないが、かと言って嫌な感じはない。
寂しさとか、一抹の虚しさとか。
それは現代社会とは切り離せないものなのかもしれない。
すぐそこにありそうな日常のひとコマが、ほんのわずか歪むことで、
大きく崩れていく。
きっかけがささやかすぎてかえって怖い、そんな短編集。
中でも表題作はずるずる引きずり込まれるようでショッキング。
妻の摂食障害が原因となっているが、むしろ嬉々として食べさせる夫の姿が
怖い。病んでいるのは彼ではないか。
心地よい真綿で彼女をくるみ、徐々に窒息させていくような展開に
ゾッとした。
「幻の穀物危機」もすごい。
食料自給率の低い日本は、本当にこんな危機と隣り合わせなのだ。
それでもあの震災のあとのモラルの高さを信じたい気持ちはあるのだが。
テーマはすべて現代社会を映し出すもの。
しかし、これはこう表現されるだろうな、とか、こういう終わり方かな、という
予測はすべていい方に裏切られる。
決して後味のよいものばかりではないが、かと言って嫌な感じはない。
寂しさとか、一抹の虚しさとか。
それは現代社会とは切り離せないものなのかもしれない。