息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

結婚しないかもしれない症候群

2012-10-09 10:49:03 | 著者名 た行
谷村志穂 著

斜め前の家が新築中だ。実にうるさい。
せっかく涼しくなって窓が開けられると思いきや、こんな落とし穴が
待っているとは……。

というわけでバブルの落とし穴っぽかった結婚・独立問題を取り上げた一冊。

もう20年も前の本だから、古臭さは感じるが、何しろ当時は景気がいい。
だから勢いがあるし、未来への希望もある。
なんていうかアクティブで前向きなのだ。

そして男女雇用機会均等法が施行されてから間もない時代でもある。
会社で男性とまったく同じ待遇が期待できるという、これまでになかった
チャンスが現実となったのだ。

現在の女性のように働くことが当たり前で、就職したら男女の区別なく
研修を受けて、現場に出て、ということがまだすんなりできなかったのだ、
といっても信じられないかもしれない。
「女性を現場にはだせないよね」という直属上司の判断で、ずっと事務所に
いるとか、「研修は男性だけ」とか、本当にあったのだ。
もちろん結婚を前に「寿退職」も多かった。強制的にだけど。

というわけで、ずっと仕事をして出世もできるのなら、このままでいいやと
思う人が一気に増えた、もしくは現状維持が長くなったのがこの世代なのだ。
本書はそんな人たちが結婚を考えるきっかけや、結論をどう出すかを
リアルに描き出している。

住宅問題、子供をもつかもたないか、ペットのこと。
年齢を重ねるごとに大きくなるテーマを自分なりに結論づけ、生き方をさぐる。

現在の目でみると浮き足立ってるな、と思う。一人で生きることが当たり前とは
程遠かったし、周りの目もそうだったからか、やたら力を入れていないと
前進できなかったのだなあ。
一生懸命の素敵さ、一人の素晴らしさはとてもいいのだが、それと自分勝手の
線引きはとても難しい。いや勝手上等なんですけどね。
せっかくだから、素敵に生きたいと思うなら、もうひとつ上の理想を描いて
しまうのだ。こんな特別視こそがバブル世代と笑われるかもしれないが。