息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

死神の精度

2012-10-15 10:26:49 | 著者名 あ行
伊坂幸太郎 著

死神は7日間観察し、そして結論を下す。
その定めは機械的なもので、死神はあくまで職業として冷静にそれを行う。
彼が人間界へと赴くとき、必ず雨が降る。
彼は音楽を愛し、CDショップに入り浸る。
彼が直接触れると人は一年寿命が縮む。故に彼は触らない。

そんな死神の話が淡々と綴られる。
対象となるのは若い女、ヤクザ、殺人犯、老女。
そしてそれぞれにふさわしいシンデレラ・スト-リ-やロ-ドムービー
密室事件などが展開していく。

そう、すごく豪華なのだ。
個性あふれるキャストが、それを活かす舞台設定で活躍する。

死神の冷静さがおかしみを誘い、ちょっと浮世離れした雰囲気が
空気を和らげる。
そこにあるのはまぎれもなく“死”なのに、ただ暗いだけに終わらない。
人物描写とか背景の設定とか、奇想天外な展開とか。
いかにも著者らしい味にあふれた作品だ。