息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

ドイツ婦人の家庭学

2012-10-16 10:21:59 | 著者名 や行
八木あき子 著

家庭生活や家事についての本はたくさんある。
仕事でそんなものに関わったこともある。
雑誌の特集やムックだけでも普段の家事をうまくこなすには十分だろう。

その上とっても古いので、現代の日本の生活には合わない部分も多い。
それでも、暮らしを愛し、少しでも快適にしようと工夫し、効率化し、
というアイデアと知恵にあふれた本書には抗いがたい魅力がある。
何度読んでも面白いし、家事への意欲が(ちょっとだけ)湧いてくるのだ。

それは著者の考え方にあるのだろう。
放送作家として活躍したのちにヨーロッパにわたり、文筆業を続けながら
現地に根をおろして暮らしている。
仕事や家事や文化というものを体感したうえで、快適な家の大切さ、
家族の役割分担などを考え、ドイツの主婦の家事に価値を見出しているのだ。

だから効率を追求しても手抜きにはなりえないし、清潔にこだわっても
見た目の美しさは捨てない。便利な新製品にも目をやりつつ、昔からドイツの
おばあさんたちが使ってきた方法も大切にする。

窓を美しく保つことは景観への考え方にもつながっていることや、
トイレの清潔への意識は、ドイツに比べ確かに日本は遅れていたようだ。
本書が書かれた時代にはそれが際立っていたのだろう。
このあたりはずいぶん解決されたのかな。著者は臭い消し(当時は樟脳)を
吊るすよりも、徹底的な清掃と乾燥した花びらや使い終えた香水瓶などを飾り、
ほのかな香りと美しさを楽しむ方法を提案している。こんなことは一般家庭にも
普及したのではないかと思う。

身近にあるものを使った掃除や家具の手入れなどのテクニックは、まさに
エコ家事そのもの。
汚れがひどくなってから強い洗剤を使うのではなく、毎日ちょっとずつ
きれいを保つのがコツというのは、いずこも同じで耳が痛い。

いずれにせよ、また読み直したら家事への意欲が(ちょっとだけ)出たので、
大掃除(すでにこの段階。手抜きしすぎ)でもしてみるか。
試験が終わってからね。