篠田節子 著
地底湖、なんとも神秘的だ。
日が当たることなく静かに水をたたえている存在。
同じダイビングでも太陽のもと海に潜るのとは違い、こわさや危険は桁違いだ。
主人公・長谷川は趣味のダイビング中に行方不明になった友人の遺体を探し、
奥多摩にある地底湖に潜る。不気味な「弔い魚」が泳ぐ迷路のような地底で
自分の位置を見失ったとき、未知の水生生物を発見する。
それは女性のイメージで長谷川の前に現れ、テレパシーで意思を伝える。
そして彼が外に出ていくのを助ける。
長谷川はそれをイクティと名づけ、友人の遺体探しにも協力してもらう。
しかし、この土地にはトンネル工事の計画があった。この工事が行われると
水脈が狂い、イクティの住む地底湖にも影響を及ぼす。
日頃穏やかな長谷川は人が変わったように反対運動に身を投じていく。
陸封性イルカであるイクティの神秘性。奥多摩という手の届きそうな土地にある
不思議に満ちた場所。魅力的な舞台設定で読み進めるのは楽しかったのだが。
後半の反対運動の話がメインになるとちょっと退屈だった。
ドロドロした運動の裏側は面白くなくもないのだが、前半きれいにまとまっただけに
違うものを読んでいるみたいな感じ。
現実を突きつけられることによって、イクティの神秘性が陳腐に思えてくる。
しかしタイトル通り、文章全体に冷たく心地よい水の雰囲気が流れている。
こういうのってさすがだなあ。
地底湖、なんとも神秘的だ。
日が当たることなく静かに水をたたえている存在。
同じダイビングでも太陽のもと海に潜るのとは違い、こわさや危険は桁違いだ。
主人公・長谷川は趣味のダイビング中に行方不明になった友人の遺体を探し、
奥多摩にある地底湖に潜る。不気味な「弔い魚」が泳ぐ迷路のような地底で
自分の位置を見失ったとき、未知の水生生物を発見する。
それは女性のイメージで長谷川の前に現れ、テレパシーで意思を伝える。
そして彼が外に出ていくのを助ける。
長谷川はそれをイクティと名づけ、友人の遺体探しにも協力してもらう。
しかし、この土地にはトンネル工事の計画があった。この工事が行われると
水脈が狂い、イクティの住む地底湖にも影響を及ぼす。
日頃穏やかな長谷川は人が変わったように反対運動に身を投じていく。
陸封性イルカであるイクティの神秘性。奥多摩という手の届きそうな土地にある
不思議に満ちた場所。魅力的な舞台設定で読み進めるのは楽しかったのだが。
後半の反対運動の話がメインになるとちょっと退屈だった。
ドロドロした運動の裏側は面白くなくもないのだが、前半きれいにまとまっただけに
違うものを読んでいるみたいな感じ。
現実を突きつけられることによって、イクティの神秘性が陳腐に思えてくる。
しかしタイトル通り、文章全体に冷たく心地よい水の雰囲気が流れている。
こういうのってさすがだなあ。