三崎亜記 著
著者の作品にはありえない世界が展開する。
それも矛盾せず、完成したかたちで。
作品を読めば読むほど、それらがひとつの揺るがない世界にあって、
どこかでつながっていることがわかってくる。
おとぎ話のような甘口ではない、ただ超然と存在する世界。
それなのにノスタルジックであたたかみがある世界。
本書はどっぷりその世界を楽しめる短編集だ。
私は廃墟が好きで、三崎亜記の不可思議な世界観が好きだ。
というわけで、とことん楽しめた。
期待していたのは表題作だったが、ほかの作品もまったく負けていない。
「七階闘争」なんて、えっと思うようなテーマなのに、人の心の
迷いやご都合主義、そして哀しみまでも取り込んだ深い話だ。
本好きとしては「図書館」も好き。夜になると活気づく本なんて
素晴らしいではないか。
もちろん表題作にはとりこになった。
仕事への情熱や矜持、弟子の成功と失墜、細やかに描かれる物語は
ビジネスの現場をうつし、人間関係を語る。
そして人生の夕暮れに迎えるあこがれの場所での仕事。
美しく時を経て崩れていく廃墟の魅力がこんなにも独創性のある
物語になるとは。
そして主人公がもともと専門にしていたのが「二回扉による分散型
都市モデル」というのもいい。これはあれですね『バスジャック』の
「二階扉をつけてください」のあれ。
というふうな発見も実に楽しい。
著者の作品にはありえない世界が展開する。
それも矛盾せず、完成したかたちで。
作品を読めば読むほど、それらがひとつの揺るがない世界にあって、
どこかでつながっていることがわかってくる。
おとぎ話のような甘口ではない、ただ超然と存在する世界。
それなのにノスタルジックであたたかみがある世界。
本書はどっぷりその世界を楽しめる短編集だ。
私は廃墟が好きで、三崎亜記の不可思議な世界観が好きだ。
というわけで、とことん楽しめた。
期待していたのは表題作だったが、ほかの作品もまったく負けていない。
「七階闘争」なんて、えっと思うようなテーマなのに、人の心の
迷いやご都合主義、そして哀しみまでも取り込んだ深い話だ。
本好きとしては「図書館」も好き。夜になると活気づく本なんて
素晴らしいではないか。
もちろん表題作にはとりこになった。
仕事への情熱や矜持、弟子の成功と失墜、細やかに描かれる物語は
ビジネスの現場をうつし、人間関係を語る。
そして人生の夕暮れに迎えるあこがれの場所での仕事。
美しく時を経て崩れていく廃墟の魅力がこんなにも独創性のある
物語になるとは。
そして主人公がもともと専門にしていたのが「二回扉による分散型
都市モデル」というのもいい。これはあれですね『バスジャック』の
「二階扉をつけてください」のあれ。
というふうな発見も実に楽しい。