息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

奇談蒐集家

2012-10-11 10:08:41 | 著者名 あ行
太田忠司 著

新聞の片隅に掲載された「奇談求む」の広告を見て、「strawberry hill」という
バーを訪れる人々。
彼らはそれぞれに不思議な話を語る。

どこにでもあるような路地にある小さなドア。そこには九つのスツールが並ぶ
バーがあり、その奥に本に囲まれた個室がある。
奇談蒐集家を名乗る男・恵美酒は、シガリロをふかしつつ話に耳を傾ける。

自分の影に襲われる男、鏡のなかに住む美女に恋する男。
運命を予言するマジシャンと出会った女。

どれもこれも秀逸な話と思えたが、すべてが美貌の助手によりあっさりと
解明されてしまう。
夢の中から現実に引き戻されるような。

そして最終章「全ては奇談のために」でさらなる現実を突きつけられるのだが。

う~ん、それぞれに面白いのだけれど、ここまでひっくり返すのなら
あとひとつ物足りない感じ。
いや十分にいいのだが、クオリティが高いだけに、残念な感じがしてしまう。