息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

沈みゆく大国 アメリカ

2015-01-03 10:07:40 | 著者名 た行
堤未果 著

アメリカもついに「国民皆保険」制度を取り入れた……単純に
そう思っていた「オバマケア」。
本書を手にし、それがとんでもない誤解であることに気づいた。

貧しい人たちをもカバーするはずのオバマケアは、実は診療の機会を減らし、
加入していた医療保険の掛け金を急増させ、たった一度の病気やけがが
破産につながるほどの負担を強いる、恐怖の制度となりつつある。

こんな制度を生み出してしまったのは、製薬会社と保険会社、そして
ほんのわずかな富裕層たちががっちりと結束したからだ。
利益を得ているものはそれを手放さず、結果としてもっとも弱いものが
そのぶん被害を受けることになる。
生死にかかわる医療分野でそれが行われたことで、医師たちの立場すら
危うくなり、適切な治療やケアが困難になっている。

これに比べると、ほぼ全員が健康保険に加入し、保険証があれば
たいていの医療機関で診察治療が受けられる日本は天国である。
しかし、それはあくまでも現在は、ということなのだ。
今まさに動いている政治の方向性は、あきらかにアメリカが歩んできた
ほうを向いている。

オバマケアに期待し、その実現のための運動に尽力した人たち自身が
まともな医療を受けることができない状況に追い込まれている。
身内が病と闘い、健康保険のありがたみを感じている今、
それは明日のわが身かもしれない、と思うとぞっとする。

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