バースデイ

鈴木光司　著

『リング』シリーズの外伝。
３つの短編からなる作品だ。
個人的にはシリーズ三部作よりもこっちが好きかもしれない。

前にも書いたが、この作品はただ怖いだけではなく、その裏にたくさんの物語が潜んでいる。
貞子は人と違う才能をもって生まれたために不幸になった。
そしてなぜかその念が巡り巡って何度も何度も登場する。

その渦中に巻き込まれた多くの人たちに事件が起こった。
しかし、表に出てきたたくさんの事件と登場人物のほかに、それ以前の事件があったのだ。
それが種明かしともいうべき本作であるが、これだけを読んでも十分に楽しめる。

リングシリーズを読んでから手にとったので、事情も登場人物もわかっていたのだが、
読む前だったらまた違ったかなあとも思う。
つまり事情がわかったうえでリングシリーズを読めばよく理解できて面白かったかも。
これは好みもあるので一概にはいえないが。

個人的に世界観がしっかりした作品が好きだ。
だからこのように背景をいろいろな角度から見ても揺るぎなく、
別の世界が見えてくるというのは魅力的。

ちょっと古い作品なのに読み返したら意外にも取り込まれてしまった。