息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

十五少年漂流記

2013-03-01 10:21:49 | 著者名 あ行
ジュール・ヴェルヌ 著

『二年間の休暇』という邦名も知られている。っていうか、別物と
思って読んであまりの既視感ありありに驚いた過去の私。

15人の少年を乗せた船「スラウギ号」が事故に遭い、見知らぬ土地に流れ着いた。
周辺を探索し、ここが無人島であるという結論を出した彼らは、住める洞窟を探し、
なんとか暮らしていこうと試みる。

大統領を選出し、さまざまな動植物を発見し、生活を整えていく少年たち。
しかし生命の危険が去ったとともに、人間関係には亀裂が入り始める。
ことにフランス人のブリアンとイギリス人のドニファンとの対立は深刻で、
二つの派閥は島での暮らしの根本を危うくする。

2年の年月が過ぎ、謎の船が島にやって来る。
それは決して幸せの使者ではなかった。

人望があついブリアン。冷静沈着なゴードン。
ブリアンの弟でなぜか全く元気のなくなったジャック。
頭がよく、ブリアンをねたむドノヴァン。その部下的なクロッス。
バクスターの器用さにいたっては、あなた世界のどこでも生きていけますよレベル。
結構おぼっちゃまっぽい寄宿学校の生徒という設定であるが、
かの国のおぼっちゃまはたくましいのか、それともニュージーランドとは
のどかな名に反してこれくらいサバイバルでないと生き残れないのか、
いろいろと余計なことまで考えてしまうくらいなたくましさだ。

それゆえに衣食住の問題はクリアしている彼らなのだが、
初めて読んだ子どもの頃はそこに注目してしまった。
自分がいま漂流したら、何が必要だろう。
この部屋に何を置いておけばいいだろう。
いつも何を持ち歩くべきか。
そんなことばかり考えていた時期があった。

しかし、大人目線で読むと、これはやっぱり人間関係メインだよなあ。
同じ年頃、しかも一番自己主張の強い世代の男の子たちが、協力せざるをえない
状況においてどううまくやっていくか。
これをクリアできるならば、仕事のうえでのマネジメントなど
お茶の子さいさい、という気がしないでもない。