山域山名:飯豊山(山形県)
期 日:2014年5月18日(日)
参 加 者:みやぶー、ドクターQ、くり♂
行動記録:大日杉600m(5:00)→ザンゲ坂(5:25)→長之助清水(5:45/6:05)→御田1000m(6:15)→山靴デポ1200m(6:40/7:00)→地蔵岳1538m(7:50/8:00)→1508ピーク南大又沢下降点1470m(8:45/8:55)~大又沢1250m(9:00/9:20)→御沢出合(9:45)→1550m(10:10/11:05)→飯豊山神社2102m(12:25/13:00)~大又沢1250m(13:40/13:55)→1508ピーク南(14:20/14:25)→地蔵岳1538m(15:10/15:35)~山靴デポ1200m(15:45/16:00)→大日杉600m(16:55)
<天候:曇り時々雨、午後2時から晴れ>
2008年5月に梅花皮小屋に泊まり、石転び沢、門内沢、洗濯沢源頭を滑った時に、「石転び沢に引けを取らない大きなルートが飯豊山にもあるから、次は是非そちらに行った方がいいよ」と地元の方から教えていただいてから、ずっとチャンスを狙っていた飯豊山東面。
大日杉までの林道が開通するのが早くてGW、沢下部の融雪状況によっては進退極まるので、適期はせいぜい3週間ほどと賞味期限も非常に短い。
地元のエキスパートからも素晴らしいルートと聞いていたので、今年は「是非」にと飯豊山を目指して来ました。
埼玉から登山口の大日杉まで約350㎞、喜多方から大峠トンネルを越えて行ったが、深夜の4時間ドライブは長かった。仮眠はたったの2時間ほど。
まだ暗いうちに起きたが、夜に止んでいた雨が再び降っていた。寒気が入っていたため、しぐれのような天気で、大日杉の気温は8℃だったので稜線上は雪か。
予報では午後から回復傾向だが、果たしてそのとおり天候がよくなってくれるか?分からないが、この時期の飯豊山には入ったことがないので、ダメなら偵察と割り切って出発する。
が、いきなり尾根に取り付く夏道を、杉林に残るまだら状の雪で見失ってしまい、30分ほど薮中を彷徨ってしまい、いったん登山口に戻る。
そうでなくても、今日は標高差2000mを遙かに超える登行をしなければならないのに、登り始める前から汗びっしょりになって、無駄な(精神的)疲労もプラス。とほほ…。
気を取り直して(直さなくては登れないので)、再び出発。ほぼ同じ頃に大日杉を登り始めた坪足ガイドパーティと抜きつ抜かれつ歩く。
ザンゲ坂の鎖場は出ていた。
寒気が下がっているとはいえ5月も半ば、樹林帯は蒸して暑くて汗びっしょり。
先週は取れなかったらしい長之助清水も出ていたので、水をがぶ飲み。
午前中の天候回復はあり得ず、あまり早く登ってもしょうがないので、半ば時間調整のための大休止。
標高ちょうど標高1000mの御田。雪が少しづつ出てきた。
まだ雪がつながっていないので、重荷を背負った急な尾根をひたすら登る。
急な箇所を抜けた1200mから雪がつながった。ハイキング靴をデポしてやっとスキーで登る。
だまし地蔵を巻いて、やっと地蔵岳が見えた。
ガイドパーティが地蔵岳から先を目指す。この天候では、どことなく足取りは重たい。
この天候では、目標としていた本社ノ沢ルートは断念せざるを得ない。
サブルートとしていた大又沢から御秘所沢をつめるルートに変更することに決定。
さりとて、この状況でどこまでいけるか。
地蔵岳直下斜面はシール滑降したが、すぐに再び担ぎの歩き。
大日杉から地蔵岳を約1000m登ったあとからが言わば本番。飯豊は体力がなければ話しにならない。
大又沢まではこの支沢を滑る。
やっと滑れて少しだけ気分UP。
大又沢1250m地点に滑り込む。
意外と広い1300m付近を行く。
その先にある滝(地形図には記しはないが逆くの字になっている箇所)は、割れ始めた急傾斜で滝音も聞こえていたので、安全のため左岸側を巻く。
左が種蒔山につめる御沢、右が飯豊本山につめる御秘所沢。
沢下方から吹き上げる風と、山頂稜線から吹き下りる風の双方から吹いてくる。
本社ノ沢でも強風への対応が必要らしいが、おそらく山頂から凄い風が襲ってくるのだろう。
地蔵岳までの尾根登りと地蔵岳先の稜線の状況、この風を感じられただけでも偵察の成果ありと話しながらも、まだまだ登る。
ホヤホヤの熊さんの足跡。
ガスに入る手前の1550m地点で、昼食タイム兼天候回復待ちの待機とする。
1時間ジッとしていたが、寒くて堪らなかった。
1600mを越えると新雪が積もっていた。1800mからは視界20m以下のホワイトアウトへ。
源頭部は無木立のホワイトアウトで、斜面の角度さえ分からなくなったので、熊笹を目印にどんどん御秘所沢をつめる。
最後の200mはカリカリのアイスバーンで、クトーを叩きつけながらの登行だった。
ガレ場にスキーをデポして強風吹き荒れる稜線を行く。5月とは思えない寒さだった。
ついに飯豊山神社まで登った。三角点のある飯豊山はもの凄い強風なのでパス。悪条件のなか、ここまで来れば十分でしょう。
本山小屋に逃げ込み、コンロで熱いコーヒーを飲む。避難小屋は本当にありがたい。
いよいよ下山開始。表情が厳しい状況を表している。
何も見えない斜面を滑る。転倒は許されない。
一瞬だけ山頂稜線が姿を見せた。
1800mまで下ると視界も出てきた。登行時より、雲の下層ラインが上がった。
ここまで来れば安全地帯。
御秘所沢も素晴らしいバーンが続く。
いや~、こんなに楽しめるとは思いもしなかった。
がんばった甲斐がありました。
大又沢の登り返しポイントに着いたら、急に青空が拡がってきた。太陽が眩しく、さっきまでの寒さが嘘のように暑い。
地蔵稜線まで250mの登り返し。
稜線は再び担ぎで歩く。二人の視線に先には、
飯森山の奥に吾妻連峰と安達太良山。
三角錐の山は会津磐梯山。
飯豊山をバックに。
地蔵岳はまだ遠い。
種蒔山へと続く稜線と、うねる大又沢の先に御沢が良く見える。
そして飯豊山と真正面に本社ノ沢。右俣、左俣の斜面を目に焼き付ける。
夏道がない大丸森山。残雪期には地元山岳会で雪稜登攀の山だろう。
地蔵岳にデポしておいたデザート。これで元気が復活?
今日一番の気持ちよかった滑降。
だまし地蔵南東面が最後の斜面。
あとは600mの尾根下り。
雨だった登りには咲いていなかった花がたくさん開いてました。
雪解けの春山を楽しみながらの下山でした。
山ツツジも鮮やか。
ザンゲ坂を下れば大日杉まであと少し。
大日杉小屋へ。
長い一日でした。
行動時間12時間、累積標高差2400mのロングルートでした。
麓にある白川温泉にゆっくりと浸かる。
ダム湖の畔から飯豊連峰がよく見えた。麓から眺める飯豊山は、手前の地蔵岳が小さく見えるほど、とてつもなく大きかった。