山域山名:北アルプス立山・浄土山、真砂岳(富山県)
期 日:2012年11月22日(木)~24日(土)
参 加 者:みやぶー、az、ラガー
行動記録:
待ちにまった山スキーシーズンがついに開幕。今年は新会員のラガーが立山に初参加して3名で立山へ行ってきました。
11/22 北本(3:30)=扇沢(7:30/8:30)=室堂2420m(9:40/10:15)→浄土山コル2810m(11:55/12:15)~室堂2420m(13:05/14:05)→2510m(14:20/14:35)~称名川源頭滑降2380m(14:45/14:55)→大汝山西面2610m(15:35/15:50)~雷鳥平2270m(16:10/16:25)→雷鳥荘2390m(16:45)
<天候:曇りのち濃霧、午後から晴れ>
今年の冬は早かった。大町から見る後立山連峰も麓までしっかり白い。
鹿島槍ヶ岳と五龍岳
爺ヶ岳
岩小屋沢岳
3連休前日の平日、一番トロリーバスに乗ろうと改札前には大勢の山スキーヤーの長い列。それでも扇沢に1時間前には着いて列の前の方に並んで、黒部ダムもダッシュで移動して1番ケーブルカーをゲット。
アルペンルートも混雑を見込んで臨時便を出したので、定刻よりも早く9時半過ぎには室堂へ着く。
室堂の積雪は240㎝と、いつもやきもきする雪不足はまったく問題ない。しかし、天候が今ひとつで、稜線は厚い雲が覆っている。
とりあえず一ノ越に向かう。浄土山をトラバースする斜面はパック気味で、場所によって雪質の変化が激しい。
一ノ越手前からトレースを離れて浄土山カールに向かう。どんどん視界が悪くなり10m程度になった。時々、強風も吹いて寒い。
稜線はもっと強い風が吹いているので、最後の急斜面を登り上げた岩の上で登行終了とする。
寒くて仕方がないのですぐに滑降開始。雪崩の恐れは小さいが、出だしの急斜面は横滑りで慎重に高度を下げる。斜度が緩んでからターンをするが、深い霧で雪面がまったく見えず平行感覚が喪失して、ターンどころではなくなる。
自分は止まっているのか?少し動いているのか??斜度の向きはどっち???と、訳が分からなくなり、めまいがして立ったまま転んでしまう。
先頭を交代しながら一ノ越ルートに合流し、この状況ではどうにもならないので、ひとまずは室堂ターミナルまで戻る。ここまでひどい雪酔いは初めてだった。
昼食を食べながら霧が晴れるのを待つ。ロビーでうだうだしていたら、厚い雲が少し上がってきた。
時間は午後2時、日没まで3時間ほどしかないので急いで出発。再び室堂から一ノ越ルートを登っていると、次第に雄山が姿をあらわして青空が出てきた。
モチベーションは一気に急上昇、まずはパウダー溜まりの称名川源頭へ。
ヤッホー!と大斜面に飛び込む。
素晴らしいパウダー、3人ともボトムで笑顔が弾ける。
まだ時間があるので、山崎カール下斜面を狙いに再びハイクアップ。
大汝山西面2610mまで登る。
眼下には大雪原、夕陽に照らされる立山と月をバックに、再び雄叫びをあげて滑る3人であった。
称名川までたっぷりとパウダーをいただいて雷鳥平へ。
称名川の流れはすべて雪で埋まっていた。
残照に光る立山三山、真砂岳を見上げて、雷鳥荘へ登り返す。
今日の宿泊者は80名ほどと空いていた。ゆっくりと温泉に入り、宴会ルートに突入した。
11/23 雷鳥荘(10:00)~雷鳥平で雪上訓練→雷鳥荘(13:20)
<天候:濃霧時々雪>
日本海と太平洋南岸を通過するふたつの低気圧の接近で朝から雪が降っていたので、小屋でしばし待機。予報では午後から回復傾向だったので、ひとまず雷鳥平で雪上訓練をして、天候次第で雷鳥沢を登ることにして小屋を出る。
小屋下斜面を滑って、雷鳥沢テン場小屋脇に荷物をデポ。アイゼン歩行とピッケルの使い方をレクチャーし、小尾根を何度も登り下る。
その後にビーコン操作の復習をしてから昼食となる。時々、雷鳥沢中腹まで見える時もあるが、すぐに深い霧に包まれる。風もほとんどなく、回復する兆候がなかったため小屋に戻る。
小屋の前には凄い数のスキー板とボードにびっくり。今日は300人が雷鳥荘に泊まるらしい。空いているうちにと温泉へ直行。昨日に続いて生ビールのピッチャーで乾杯。夕方になると、小屋の中は大勢の人で溢れていた。
11/24 雷鳥荘2390m(7:15)~雷鳥平2380m(7:20/7:30)→2660m(9:05/9:25)→真砂岳2861m(10:00/滑降開始10:25)~内蔵助カール2660m(10:30/10:45)→真砂岳(11:15/11:30)~称名川2300m(11:45/12:20)→室堂2420m(13:20)
<天候:朝曇りのち晴れ、午後から雪>
大陸の高気圧が北に張り出す北高形の冬型気圧配置で、立山周辺は微妙な予報が出ている。今日は最終日、視界があれば真砂岳を目指すことにする。
定刻より早く開いた食堂で朝食を取って出発。朝の天気は稜線が見えたり隠れたりの曇天模様。昨日からの新雪が20㎝ほど積もっていた。
雷鳥平まで滑って、雪原でシールを貼って真砂岳尾根に取り付く。
尾根に入ると雪面は風で叩かれて硬く、その上の乾雪の結合も悪くシールが効きづらい。ふたりはクトーを装着。慎重にルートを選びながらジグザクに登る。
徐々に雲がとれてきて、西から青空が拡がってきた。振り返る大日岳はいつも格好いい。
2660mの平坦地でアイゼンに履き替える。ここから北側の谷に滑り込む者も多い。
今日は風がほとんどないのでまったく寒さは感じない。
締まった雪にアイゼンがよく効いて、快適な登行で真砂岳山頂稜線へ。
雪稜の向こうに富士ノ折立、剣岳、後立山連峰と素晴らしい景色だ。
稜線を進んで三角点のある真砂岳山頂へ。雪庇はあまり発達していなかったので、山頂から内蔵助カールを1本滑ろう。
眼下には、まだ誰も滑っていない真っ白なバージンバーンが待っている。
さぁ、今山行のハイライトです、真砂岳山頂からドロップイン! ヤッホー!!
特大斜面、締まったパウダーを気持ちよく飛ばす。あっという間にカール底へ。山頂にいた他パーティの女性から「ずるい~」の大声。
続いてふたりが飛び込んで、きれいにシュプールを3本並べてハイタッチ。いやー、最高でした。
最終バスまでに室堂に行かなければならないので、あまり時間はない。すぐにシールを貼って登り返す。
一番斜度が緩い北側から稜線に上がる。稜線はシュカブラの世界。この景色が見られて最高だ。
西側には大日岳、
東側には、白馬岳から鹿島槍ヶ岳まで後立山連峰が素晴らしい。
後続パーティもトレースについてくる。
真砂岳西面の出だしは毎度のことだが岩混じりのアイスバーン、横滑りを交えて慎重に通過。尾根上に入ってから谷に滑り込む。
大日岳を正面にパウダー斜面を飛ばす。
まだそれほど荒れてなかったので、ここも楽しいパウダー滑降だった。
風もなく穏やかな大雪原で、のんびりと昼食を取る。
今年は雪が多いので、室堂までは称名川を詰めた方が早い。登りながら周りを見渡すと、そこらじゅうの斜面にスキーヤーが取り付いて、きれいなシュプールを刻んでいる。
こんなシチュエーションは立山だけでしょう。
称名川を詰めて室堂に登り返す。次第に西から黒い雲に覆われて、我々が室堂に着く頃には雪が降り出し始めた。まるで待っていたかのようだった。
今年は天候が不安定であったが、豊富な雪に恵まれて、素晴らしい仲間とともに、充実した立山初滑り3Daysでした。
今シーズンも寒い冬の予報が出ています。安全を最優先に、山スキーを楽しみましょう。