閻魔堂の騙し討ち

「江戸っ子だってねぇ」
「神田の生まれよ」
「だってねぇ。寿司喰いねぇ。酒飲みねぇ」
--のセリフでお馴染みの清水次郎長伝の中の「石松三〇石船」の一クダリ…。

 一人旅の石松は、この大阪から伏見への船の中での話の後、草津身受け山鎌太郎の所へ寄って、一〇〇両を次郎長の奥さんの香典として預かり、清水への帰り道、「中の町」の閻魔堂の前で、都鳥一家に呼び止められます。

 ここから預かった香典を貸すことになり、結局返す当てのない都鳥一家は石松を計略にかけて、閻魔堂の前で殺すことになる。石松は四十三太刀切られて逃げ傷一つなかった……。
 この閻魔堂は、秋葉街道沿いの浜北の道本にある、現在の観音堂。

「バカは死ななきゃ治らねぇ」というセリフを全国に広めた虎造の「石松殺しの話」は、「義理と人情に生きたお人好し」という日本人が好きな人柄を見事に伝え、平成の御世まで名を残しているのです(何だか雑誌の紀行コーナーみたいな終わり方になってしまった。ぎゃははは)。

 写真は閻魔堂の縁側に座る、石松になりきっているお坊さん。わははは。家内は呆れかえりながらも、けっこう真剣に撮ってくれました。去る二月十三日(金)のことであります。
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