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平家物語・義経伝説の史跡を巡る
清盛や義経、義仲が歩いた道を辿っています
 





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鎌倉地蔵説明板に書かれている「玉藻前」伝説は、
鳥羽院の御所に現われた美女を鳥羽院は寵愛するが、
院の健康がだんだんすぐれなくなり、安倍泰親(一説には子の泰成)に
占わせたところ、病気の原因が妖狐(ようこ)玉藻前であることが判明し、
泰親が悪霊祓いの「泰山府君祭」をおこなっている途中、
突然玉藻前の姿が消えてしまいます。
占いが間違いでなかったことが分かり、
鳥羽院は三浦介、上総介に妖狐退治を命じます。

我国では狐や異類の霊がとりつき病気になるという考え方は多く、
正体を見破られた狐や異類が異界に戻っていくという
伝説や物語が数多く生み出されました。
この物語も妖怪狐と陰陽師の悪霊祓いの儀式を、母胎にして作られたようです。
※「泰山府君祭」(たいざんふくんさい)
陰陽師が悪霊祓い、延命、栄達の目的でおこなった祭礼。
中国・泰山の神を府君といった。
   


阿倍泰親(1110~83)
平安時代後期の陰陽師、阿倍晴明から五代目の子孫。
雅楽頭(うたのかみ)、陰陽権博士、正4位の下にまで昇進し、
陰陽頭兼大膳権大夫(だぜんのごんのだいぶ)に任じられます。
邸は樋口京極(現在の下京区万寿寺通寺町)にあった。

晴明に匹敵するほどの占いの天才と言われ、
泰親のはなばなしい活躍ぶりは「平家物語」「台記」「玉葉」に
承安2年(1172)の斎宮の死去、久安4年(1148)の土御門内裏の炎上、
治承3年(1179)の政変(清盛のクーデター・後白河法皇を鳥羽殿に幽閉)を予見、
泰親が肩に落雷を受けたが無事であったことなどが記されている。


※「台記」(たいき) 藤原頼長の日記 「玉葉」(ぎょくよう)九条兼実の日記


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「平家物語巻三」(法印問答の事)には
治承3年(1179)11月7日の夜、都で大地震があり、
陰陽頭安倍泰親が内裏へ参って申すには
「今度の地震天文の示すところでは、近々大変なことが起こります。」
とはらはらと泣くので、申請や訴訟を院に取り次ぐ職の人は顔色が変わり、
帝も驚かれるが、若い公卿や殿上人は大した事はないだろうと笑いあった。
けれどもこの泰親は阿倍晴明から五代目の子孫として、天文道を極め、
吉凶を推理すれば一つとしてはずれたことがなかったので
「指御子」(さしのみこ)と呼ばれた。
雷が肩に落ち狩衣の袖は焼けたけれども、泰親の身に異状はなかったという。
上代にも末代にも泰親はめったにない人物であった。

「平家物語巻四」(鼬の沙汰の事)では
鳥羽殿で鼬が走り回ることがあり、不審に思った後白河法皇が安倍泰親の所に
使いをやり占わせたところ三日以内に吉事と凶事ありとのこと。
吉事とは、その翌日法皇は幽閉を解かれ、
凶事とは、熊野の別当湛増が以仁王の謀反を飛脚で知らせてきた。
と記されている。

「真如堂縁起」(三巻本)には、
陰陽家安倍氏の祖・安倍晴明が生死の境をさまよった時、
不動明王が閻魔大王に命乞いをして、蘇生することができたという
安倍晴明蘇生譚が記されている。
真如堂本尊の阿弥陀仏の右には千手観音、
左には安倍晴明の念事仏と伝えられる不動明王が安置されている。

※ご本尊とともに不動明王公開・例年11月15日

※能「殺生石」
玄翁という修行者が下野国那須野ヶ原で、飛鳥が石の上に落ちるので
不思議に思っていると、里の女がこれは恐ろしい殺生石だという。
訳を聞くと、昔鳥羽院に仕えていた玉藻の前が化生のものであると見破られ、
逃げてきてここで殺され、その執心が石になったと語る。
自分はその石魂で夜になると懺悔のために本体を表すといい、石の中に隠れる。
玄翁が供養して引導を渡すと野干(やかん・狐)が現われる。
自分は三国を跨にかけて悪事をした老狐だが、安倍泰成の祈祷で苦しくなり、
那須野に隠れ住み、ついに射伏せられて命を失った。
そこで殺生石になり多年人を殺したが、ありがたい供養を受け、
この後は決して悪事はしないと約束して消え失せる。(第35回・篠山春日能パンフレットより)


『アクセス』
「真如堂」京都市左京区浄土寺真如町82
市バス「真如堂前」「錦林車庫」下車西へ徒歩10分

『参考資料』
「平家物語」(上)新潮日本古典集成 「平家物語」(上)角川ソフィア文庫

「源平合戦事典」吉川弘文館 「平安時代史事典」角川書店 「京都・伝説散歩」京都新聞社 

「異界と日本人」小松和彦 「京都異界の旅」志村有弘 「昭和京都名所図会」(洛東下)竹村俊則


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