保健福祉の現場から

感じるままに

PFMと入退院支援の地域戦略

2018年03月27日 | Weblog
メディウォッチ「外来から入院、退院後の在宅医療までをマネジメントするPFM、さまざまなメリットが」(http://www.medwatch.jp/?p=19798)。<以下引用>
<2018年度の診療報酬改定では、入院前から「患者の入院生活、さらに退院後の生活」を見据えた支援を行う【入院時支援加算】が新設され、外来から入院、退院、在宅までを通して患者のマネジメントを行うPFM(Patient Flow Management)が、診療報酬でも評価されることになった。この視点のもとに、院内でPFMを仕組み化することで、患者満足度の向上や各種加算の算定率向上につなげることができ、病院経営の安定はもちろん、医療の質向上につなげられる―。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)代表取締役社長の渡辺幸子は、3月24日に開催した2018年度診療報酬改定セミナーで、厚生労働省の鈴木泰裕医務技監督、迫井正深医療課長のコメントも踏まえ、このように強調しました。入院前からの患者サポート、2018年度改定で【入院時支援加算】として評価 お伝えしているように、GHCでは2018年度診療報酬改定セミナーを3月24日に開催。鈴木医務技監から、我が国の社会・経済状況全体を踏まえて「医療機関は変革をしなければならない」点を、また迫井医療課長から「加算・点数に目を奪われるのではなく、我が国の状況を行政と医療機関で共通認識を持ち、将来を考えていかなければならない」点を詳説いただきました。加えて、GHC社長の渡辺からは、より質が高く、患者満足度も高い医療提供にむけて「PFM」という視点を重視していくべきことを強調しています。2018年度改定では、従前の【退院支援加算】について、次のような大きな見直しが行われています。▽入院前からの支援が重要であり、名称を【入退院支援】に改める ▽入院前からの支援について、新たに【入院時支援加算】(入退院支援加算の加算、退院時に1回、200点)として評価する 後者の【入院時支援加算】は、予定入院患者に対し、外来時点から▼既に利用している医療・介護サービスの確認▼服薬中の薬剤確認、各種スクリーニング▼入院生活のオリエンテーション▼看護・栄養管理等に関する支援計画策定―などを行うことを評価するものです。大規模な病院であれば「入院サポートセンター」のような組織を設けることが、中小規模の病院であれば「専任の担当看護師等」を決めることでも対応可能でしょう。この点についてGHC渡辺は、多くの病院で▼紹介予約は地域連携室が担当する ▼入院前のスクリーニングは病棟看護師などが担当する ▼病床管理は看護部が担当する ▼後方連携は患者サポートセンターなどが担当する―という具合に「業務の分断」が生じており、円滑なマネジメントを阻害していると指摘。そこで、一連の業務を漏れなく・滞りなく実施するための「PFMセンター」や「入院サポートセンター」の設置を提唱しました。GHCでは、かねてより「入院サポートセンター」の重要性を指摘しており、導入のコンサルティング支援の成果から、例えば▼必要な検査の未実施や内服薬の中止漏れによる「手術中止」の解消 ▼日曜入院を可能とすることによる月曜日手術室稼働率の向上 ▼術前に必要な検査の完了や、患者への十分な説明完了に伴う、主治医、麻酔科医、病棟・外来看護師の業務負担軽減 ▼外来時での丁寧な説明等による患者の満足度向上―など、さまざまなメリットがあることが分かっています。今回、こうした入院前の業務が新たに「退院時1回、200点」と診療報酬で評価されたわけですが、この評価だけでは必要な人件費のカバーは難しく投資効果が小さいと考える病院もあるでしょう。しかし渡辺は、(1)外来介入と退院支援介入をセットにした仕組み(2)外来時点での関連加算を含めた介入―の2点を考慮したPFM強調します。まず(1)では、【入退院支援加算(対象:退院困難患者)】と【入院時支援加算(対象:予定入院患者)】の算定要件から、「入院時支援加算の対象となる全ての患者を把握」する必要があります。GHCの分析によれば、【入退院支援加算】の算定可能患者に対する算定割合は、極めて大きなバラつきがあり、「65歳以上、かつ在院日数(DPC)が8日以上の症例」を母数としてみると算定割合は、最高「95%」という病院もあれば、「ゼロ%」である病院も決して稀ではありません。【入院時支援加算】は【入退院支援加算】の加算と言う位置づけであり、【入退院支援加算】の算定割合が不十分であれば、【入院時支援加算】の算定は極めて困難となってしまいます。まず自院の【入退院支援加算】の算定状況を把握し、他院と比べて高いのか、低いのか、など「等身大の姿」を見ることが重要です。GHCの開発している「病院ダッシュボードχ」を活用すれば、こうした状況が瞬時に把握できます。また(2)では、外来-入院-外来・在宅(退院後)といったエピソードごとに、予定患者において外来の入院サポートの時点で、入院時や退院に向け「どのような介入やケアをすべきか」を“予測”する。例えば、全身麻酔手術症例なら「肺血栓塞栓予防」や「周術期等口腔機能」、栄養状態や基礎疾患の把握から「栄養指導」や「特別食」、服薬中の薬剤確認から「薬剤指導」、認知機能アセスメントから「認知症ケア」、ADLや入院前介護サービス・福祉サービスから「総合評価」「介護支援連携」「退院時共同指導」など介護との連携を、外来時に“予測“し、入退院時に実施するというもの。これは「医療の質」と「他施設との連携(シームレスケア)」を向上させる取り組みであり、結果的に「加算」として経営的に評価される。外来時に必要な介入やケアを事前に”予測“できず、入院時に情報収集していたのでは必ず”漏れ“が生じるのです。渡辺はこのようなPFMの取り組みにより「地域全体でWIN-WIN-WINの関係を作る」ことの重要性も強調しています。高いケアを受け満足度の点で「患者のWIN」、高い医療の質、円滑なマネジメント、加算による「病院のWIN」、そして患者を円滑に受ける事ができかつ加算による「地域関連施設のWIN」。病院は地域関連施設もWINとなる視点が重要です。入院時の支援を呼び水として、これまで実施漏れの傾向があった加算等を確実に取得できれば、当然、大きな収益増につながります。なお、GHCではより深くPFMを理解するためのセミナーを7月21日に開催します。日本病院会副会長で小牧市民病院事業管理者の末永裕之先生、佐久総合病院副統括院長の西澤延宏先生をお招きし、円滑な退院支援に向けた「ボトルネック」をどう解消していくかを学びます。奮ってご参加ください 看護必要度IIの導入に伴い、「看護必要度」のデータ精度が十分かの確認を また、入院料の再編・統合に合わせて、看護必要度II(DPCのEF統合ファイルに基づく重症患者割合の計算方法)が導入されました。例えば、現行7対1相当の急性期一般入院料1で、看護必要度IIを用いる場合には、▼看護必要度I(一般病棟用の重症度、医療・看護必要度評価票に基づく)で重症患者割合が30%以上 ▼看護必要度IIで25%以上―の双方をクリアすることが求められます。この点について、例えば新制度(診療報酬改定後の看護必要度定義)で「看護必要度Iでは28.7%、看護必要度IIでは25.2%」という病院があったとします。看護必要度IIの「25%以上」はクリアできていますが、看護必要度Iの「30%以上」はクリアできず、このままでは急性期一般入院料3を届け出ることになりそうです。こうした病院について渡辺は「看護必要度Iが低い病院では、看護必要度評価票のチェック漏れなどがあるかもしれない」と指摘。さらに看護必要度Iが看護必要度IIに比べて著しく高い場合には、「過剰な看護必要度評価票のチェックがなされている、またはEFファイル(レセプトデータ)に漏れがある可能性がある」と指摘。データの精度管理の重要性も説いています。この点、GHCの開発した「病院ダッシュボードχ」のオプション機能「看護必要度分析」を用いれば、症例(患者)単位に遡ってデータ精度を高めることができます。新制度で重症患者割合が何パーセントになるのかを把握するだけでは不十分で、自院の病床戦略のもと、HファイルやEFファイルのデータの精度向上、在院日数の適正化の解決策が必要なのです。なお、2018年度改定では看護必要度の定義が一部見直され、「B項目」の重要性が高まりました。この点、GHCの「病院ダッシュボードχ」のオプション機能「看護必要度分析」では、B項目に関する分析も行うことはできます。B項目はEFファイルから見えませんが、他病院と同疾患でベンチマークすることにより自院の看護必要度評価票チェック漏れが改善できるのです。>

メディウォッチ「鈴木医務技監・迫井医療課長がGHC改定セミナーに登壇!「重症患者受け入れ」に軸足を置いた入院報酬に!」(http://www.medwatch.jp/?p=19786)。<以下引用>
<入院医療の報酬が2000年度の診療報酬改定で「入院基本料」に組み替えられ、専ら「看護配置」に基づいた評価となっているが、「実績をしっかりと見る報酬体系」とする必要がある。また、すでに人口減少が進む地域があるが、東京・大阪・愛知の三大都市では当面人口が増加する。こうした状況に対応するために、「地域ごとに動きやすく、作戦を立てやすい報酬体系」とする必要がある―。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は3月24日に2018年度診療報酬改定セミナーを開催。厚生労働省の鈴木康裕医務技監と、保険局医療課の迫井正深課長にご登壇いただき、このような考えを詳しくお話しいただきました。鈴木医務技監、迫井医療課長のお二方が同時にご登壇されるセミナーは、極めて異例です。ご参加いただいた全国の病院経営幹部も、お二方のお話しに聞き入っておられました。鈴木医務技監、疾患構成等はこれから激変し、医療機関も変わらなければいけない! GHCの2018年度改定セミナーは、▼鈴木医務技監「平成30年度 医療・介護同時改定 toward & beyond 変わるのは今だっ!」▼迫井医療課長「平成30年度診療報酬改定が目指すもの」▼GHC代表取締役社長・渡辺幸子「2018年度同時改定に備える―2025年“病院のあるべき姿”を見据えて」—の3部構成で行われました。ここでは、鈴木医務技監と迫井医療課長のお話しをご紹介し、GHC渡辺の講演内容は別稿でお伝えします。鈴木医務技監は、2018年度改定では、これまでの改定と次の3点で大きく異なっていることを強調。(1)「看護配置」という体制を評価する入院報酬から、「重症患者受け入れ」という実績を評価する入院報酬への軸足移動 (2)「da Vinci等を用いたロボット支援手術や粒子線治療などについて、従前の腹腔鏡手術と効果が同じであるならば、保険収載は認めるが、点数も同一とする」といった具合に、コストに基づく従前の評価体系から、「価値」に基づく評価体系への移行 (3)人材配置の柔軟化などを可能とし、コストを抑え、「収益」ではなく「利益」をどう上げるかに着目できる報酬体系への移行 いずれも「大きな変化」をもたらすものですが、鈴木医務技監は「診療報酬体系の変革だけでなく、医療現場自らが変わらなければいけない」ことを強調しました。我が国では、▼未曽有の高齢化と、少子化に伴う人口減少 ▼厳しい財政状況 ▼働き方改革―などに対処する必要があり、医療も当然例外ではありません。その中では「地域における医療機関の一定の集約化」が必要になってくるのではないか、と鈴木医務技監は見通します。例えば、我が国を含めた先進国の医師数・看護師数を「人口1000人当たり」で見ると、大きな違いはありません。しかし、「病床100床当たり」で見ると、諸外国に比べて我が国では著しく少なくなっています。これは、質の高い医療提供にとって大きなネックとなります。鈴木医務技監は「病床の集約化」が必要になると見通しています。人口減少が進む中では、医師・看護師・介護職員等の絶対数も減少してくるため、この要請はさらに強くなるでしょう。また、医療機関の集約化は「働き方改革」にも大きく関係します。10施設で2名づつの医師で救急対応をするよりも、2施設で10名づつの医師で対応を行ったほうが、医師1名当たりの負担は減少します。救急に限らず、医師の負担軽減を行うには、「医療機関の集約化」が効果的と言えるでしょう。もっとも、「医療へのアクセス」にも考慮した上での集約化を地域ごとに検討してく必要があります。さらに鈴木医務技監は、千葉医療圏を例にとって「入院患者数の推移」を見ると、▼肺炎▼脳血管疾患▼虚血性心疾患―などが2030年に向けて増加する一方で、「がん」患者は大きく増加しない、といった「予測」が可能であることを紹介。これは、医療機関が「将来の戦略」を立てる上で、極めて重要なデータとなります。例えば、大きな増加とならない「がん」医療に力を入れ、高度な放射線治療機器などを整備していくことには極めて高いリスクが伴うのです。鈴木医務技監は、「20年後になってから『さあ動こう』と考えても遅い、日々の診療に忙しい中ではあるが、今から将来の戦略を考え、例えば『院長交替』や『大規模改修』などの機会に、大きく舵を切ってはどうか」とアドバイスしました。迫井医療課長、「地域の状況にマッチした戦略」を立てやすい診療報酬体系を目指す 2018年度改定の大きな目玉である「入院料の再編・統合」には、次のようにさまざまな意味があることが迫井医療課長から強調されました。▽医療ニーズと医療資源投入量とのミスマッチが生じないよう、看護配置等に対する「基本」部分と、重症患者受け入れなどの「実績」部分とを組み合わせることが、入院報酬の原理原則であることを明らかにする必要がある ▽2000年度改定で、従前の入院時医学管理料・看護料・質料・入院環境料が「入院基本料」に統合された。つまり、もともと入院の報酬は「看護配置」のみで見るのではなく、医学管理なども併せて評価するものであり、「実績」を勘案する必要がある ▽東京・大阪・愛知の三大都市圏では当面人口が増加する(その後、減少する)が、他の地域ではすでに人口減少が始まるなど、地域によって状況が異なる。その中で「地域の実情に合った作戦を立て、動く」ことがしやすい報酬体系にする必要がある ▽現行の7対1と10対1では、大きな報酬の格差があるため、一度7対1を取得すると、「7対1を維持する」ことが目的になってしまい、これを解消する必要がある こうした考えの下で、例えば7対1と10対1を再編・統合した「急性期一般入院基本料」(急性期一般入院料1-7)では、実績を評価するための指標として「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度を満たす患者割合」(重症患者割合)を用いています。現行7対1相当の急性期一般入院料1では、重症患者割合が「30%以上」に設定されましたが、DPCデータを用いた計算方法では「25%以上」という基準値も設定されています。少し複雑になりますが、▼現在の看護必要度評価票を用いる看護必要度Iによる場合には「30%以上」をクリアする必要がある ▼DPCデータを用いる看護必要度IIによる場合には「25%以上」をクリアすると同時に、看護必要度Iによる「30%以上」を満たし、かつ「IIの重症患者割合-Iの重症患者割合」<0.04でなければならない―といった規定が設けられています。このDPCデータを用いた看護必要度IIについて迫井医療課長は、「本来、考えるべきは『急性期の入院患者をどう評価するか』という点であり、看護必要度評価票(I)やDPCデータ(II)は過渡的なものである。今後、時間をかけ、『どのような指標が急性期の入院患者像の評価にふさわしいか』を議論・研究していくことになる」と強調しています。また、療養病床については、「看護配置20対1以上」を基本とし、「看護配置25対1」の医療療養2(従前)は4月以降「経過措置」としてのみ存続が可能となります。介護報酬も併せると、療養病床には、▼医療療養(新たな療養病棟入院基本料1と2)▼医療療養の経過措置(新設は不可)▼介護医療院(介護報酬で新設)▼介護療養(新設は不可)—など、多くの選択肢が用意されたことになります。この点について迫井医療課長は、「可能な限り、どこかの選択肢が『得』にならないように設定した。地域のニーズを見て、戦略を立ててほしい」とコメント。仮に「○○が点数とコストを考えると『得』である」といった報酬設定がなされれば、地域のニーズとは関係のない戦略が立てられ、ミスマッチが生じてしまいかねません。こうした事態が生じないよう、診療報酬を担当する保険局医療課と、介護報酬を担当する老健局老人保健課とが連携をとった報酬設定となっています。さらに2018年度改定で注目される点として、「入退院支援加算」があげられます。迫井医療課長は、「入院は患者にとって『非日常』である。これまで退院支援を充実してきたが、さらに『入院前からのサポート』を行うことが、効率的な医療提供はもちろん、患者の満足度向上に深く関係することが分かった」と述べ、予定入院患者に対し、外来時点から▼既に利用している医療・介護サービスの確認 ▼服薬中の薬剤確認、各種スクリーニング ▼入院生活のオリエンテーション ▼看護・栄養管理等に関する支援計画策定―などを要件とする【入院時支援加算】(退院時に1回、200点)を創設した経緯を詳しく説明しています。この【入院時支援加算】については、「外来-入院―退院-在宅」といった患者の流れをマネジメントするPFM(Patient Flow Management)を行っている病院にとっては、従前から手弁当で行ってきた取り組みを報酬で下支えするものと言えます。これから、医療機能の分化、連携の強化を進めていく上で、PFMは欠かせない重要視点であり、GHCでは7月21日に、より深くPFMを理解するためのセミナーを開催します。日本病院会副会長で小牧市民病院事業管理者の末永裕之先生、佐久総合病院副統括院長の西澤延宏先生をお招きし、円滑な退院支援に向けた「ボトルネック」をどう解消していくかを学びます。奮ってご参加ください。さらに迫井医療課長は、▼DPC ▼外来 ▼在宅―などの各項目について、次のような重要ポイントを指摘・説明し、2018年度改定の正しい理解を求めています。▽DPCにおいて、機能評価係数IIの後発医薬品係数を廃止し、後発医薬品使用体制加算として機能評価係数Iに置き換える。一部報道では係数の大きさのみを見て「縮小」などとしているようだが、廃止される後発医薬品係数部分は、他の項目(効率性や複雑性、地域医療など)に振り替えられるため、縮小ではない。※実際には、後発品医薬品以外に地域医療などに力を入れて高い機能評価係数IIを確保している病院では、今般の見直しで機能評価係数Iが「上乗せ」されることになり、経営的にはさらに安定する ▽日本医師会総合政策研究機構や健康保険組合連合会の調査で、国民は「どこの医療機関にかかればよいか」というガイダンスを求め。かつ「全人的な医療提供」を欲していることが分かる。この視点に立って、大病院では専門・紹介外来に、中小病院・診療所では一般外来にという機能分化を進める必要がある。その一環として、「かかりつけ」機能の評価充実(例えば、機能強化加算の新設など)を行った。▽高齢者の居住場所としてサービス付き高齢者向け住宅などの整備が進んでいる。ここには医療提供が伴わないため、今後、在宅医療ニーズが高まる。そこで、在宅療養支援診療所・病院と、一般の診療所(かかりつけ患者が高齢となり、自然の流れで在宅医療も提供)がともに在宅医療を提供できる報酬体系とした ▽透析の評価について、一部報道では「切り下げ」と誤って伝えられているが、(1)透析予防に関する評価の充実 (2)移植・腹膜透析といったメニューも提示し、患者の状態に応じた腎代替療法の推進を行う医療機関の評価充実 (3)保険財政の安定化を見込んだ、効率的な透析を行う医療機関の評価適正化—というメリハリを付けている点に留意してほしい>

過去の厚労省「在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)で紹介されている都道府県医療介護連携調整実証事業では、退院調整ルールが策定されているが、今回の同時改定を踏まえて、「入退院支援ルール」として改訂する必要があるように感じる。診療報酬改定について、平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977_1.pdf)p62~「「退院支援加算」から「入退院支援加算」に名称を変更」、「【入院前からの支援】;入院時支援加算・(入院前に)利用しているサービスの利用状況の確認 ・服薬中の薬剤の確認、各種スクリーニング ・入院生活に関するオリエンテーション ・看護や栄養管理等に係る療養支援の計画作成」、「入退院支援の対象となる患者;・虐待を受けている又はその疑いがある ・生活困窮者」、「【退院時共同指導】 ・医師、看護職員以外の医療 従事者が共同指導する場合も評価対象とする  共同指導が行えなかった時は【情報提供】・療養に必要な情報提供に対する評価について、自宅以外の場所に退院する患者も算定可能とする」、p65「入退院支援加算1の施設基準の一つである介護支援等連携指導料の算定件数の要件を、小児を専門とする医療機関や病棟に対応する要件に見直す。また、入退院支援加算1、2に小児加算を新設する。」、p66「入退院時の連携を評価した報酬のうち、入院医療機関が連携先の医療機関と「特別の関係」にあたる場合も算定可能となるように見直す。 [見直す対象] (1) 在宅患者緊急入院診療加算 (2) 精神科救急搬送患者地域連携受入加算 (3) 入退院支援加算1 (4) 精神疾患診療体制加算 (5) 退院時共同指導料1及び2 (6) 在宅患者連携指導料 (7) 在宅患者緊急時等カンファレンス料 (8) 施設入所者共同指導料」、p67「【介護支援等連携指導料】医療・介護・福祉事業者間での切れ目ない連携を推進する観点から、入退院支援や退院時の指導等における要件に障害福祉サービスの相談支援専門員との連携を追加する。」、p79「訪問看護;退院時共同指導の評価を充実する。連携に関する評価において、特別の関係にある医療機関等と訪問看護ステーションが連携する場合も算定できるように見直す。」、「療養情報提供加算(診療情報提供料(Ⅰ));保険医療機関が、患者が入院又は入所する保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院に対して文書で診療情報を提供する際、当該患者に訪問看護を定期的に行っていた訪問看護ステーションから得た指定訪問看護に係る情報を添付して紹介を行った場合に加算。」「訪問看護情報提供療養費3;保険医療機関等に入院又は入所する利用者について、当該利用者の診療を行っている保険医療機関が入院又は入所する保険医療機関等に対して診療状況を示す文書を添えて紹介を行うにあたって、訪問看護ステーションが、当該保険医療機関に指定訪問看護に係る情報を提供した場合に算定。 また、当該文書の写しを求めに応じて、入院又は入所先の保険医療機関等と共有する。」などが関連してくる。介護報酬改定について、介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の「平成30年度介護報酬改定の主な事項について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)p5「入院時情報連携加算について、入院後3日以内の情報提供を新たに評価する。」、「退院・退所加算について、退院・退所時におけるケアプランの初回作成の手間を明確に評価するとともに、医療機関等との連携回数に応じた評価とする。加えて、医療機関等におけるカンファレンスに参加した場合を上乗せで評価する。」「特定事業所加算について、医療機関等と総合的に連携する事業所を更に評価する。」「訪問介護事業所等から伝達された利用者の口腔に関する問題や服薬状況、モニタリング等の際にケアマネジャー自身が把握した利用者の状態等について、ケアマネジャーから主治の医師や歯科医師、薬剤師に必要な情報伝達を行うことを義務づける。」、p2「特定施設入居者生活介護退院・退所時連携加算;医療提供施設を退院・退所して入居する際の医療提供施設との連携等に対する評価を創設する。」等が関連する。平成30年度からの「保険者機能強化推進交付金」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/info/saishin/saishin.files/jouhou_622-1.pdf)の都道府県評価指標p4「(5)在宅医療・介護連携」には「退院支援ルールの作成等市区町村単独では対応が難しい広域的な医療介護連携に関して支援を行っている」「入退院に関わる医療介護専門職の人材育成に取り組んでいる」があり、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「在宅医療の充実に向けた取組について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000196001.pdf)p11「目標設定するべき項目・指標のイメージ」には「退院支援ルールを設定している二次医療圏数」、p23「在宅医療に係る取組状況を把握する際に都道府県に確認する事項について(案)」には「退院支援ルールの策定の有無」があることは認識したい。入退院支援ルールにかかる市町村・都道府県の全数調査は、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169786.html)で公表されるべきであろう。なお、それぞれの病院における入退院支援にかかる取り組みは、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「在宅医療の充実に向けた取組について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000196001.pdf)p16「既存の統計調査等における在宅医療に関する調査項目」にあるように、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)による実態把握が欠かせない。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「病床機能報告の項目の追加・見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166638.pdf)p3「報告項目の追加・見直しについて(案)」では「「入院前・退院先の場所別の患者数」、「退院後に在宅医療を必要とする患者数」について、報告対象期間を、現在の1か月間から、1年間に見直してはどうか。」とあり、今後、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)のデータベース化による病棟単位の詳細な分析が普遍化されなければならないであろう。そして、「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)をみれば、医療保険・介護保険での在宅医療の取り組み状況と実績の詳細(往診、訪問診療、訪問看護・指示書交付、訪問リハビリ、在宅看取り等の実施件数)が把握できることは常識である。しかし、入退院支援は個別病院のデータだけを評価する時代ではないように感じる。そもそも入院は自院外来からの予定入院だけではない。また、医療・介護資源や人口構成など、地域特性が勘案されなければならない。例えば、①厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」、②日医総研(http://www.jmari.med.or.jp/)の「地域の医療介護提供体制の現状 - 市区町村別データ集(地域包括ケア関連) - (2017年度)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_637.html)、「地域の医療提供体制の現状 - 都道府県別・二次医療圏別データ集 - (2017年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_636.html)、③株式会社ウェルネス「地域包括ケア版基礎データ」(https://www.wellness.co.jp/siteoperation/msd/)による地域特性の把握が有効であろう。そして、医政局の「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)では、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159906.pdf)p11「別表11 在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」がそれぞれの地域ごとの数値が出ているほか、経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)では、二次医療圏別、市区町村別の在宅医療にかかるSCRが公表されており、地域診断の参考になるであろう。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159901.pdf)p33「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際、保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)での保健所の役割を重視したい。改正「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146721.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000146722.pdf)p4「特に、在宅医療体制の整備、医療及び介護の連携に向けた取組等はこれまで市町村になじみが薄かったことから、都道府県がより広域的な立場から、保健所の活用等により、市町村の後方支援等を積極的に行うことが重要である。」も踏まえたい。医療介護連携は市町村と保健所の連携・協働で推進すべきである。
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